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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「美男におわす」展(埼玉県立近代美術館)

2021年10月25日 | 展覧会(日本美術)
美男におわす
2021年9月23日〜11月3日
埼玉県立近代美術館
 
かまくらや  みほとけなれど  釈迦牟尼は
美男におわす  夏木立かな
ー  与謝野晶子
 
   2014-15年の島根県立石見美術館「美少女の美術史」展の男性バージョン。
   今回は、石見美術館に加え、埼玉県立近代美術館でも開催。後期訪問。
 
   日本の視覚文化のなかの「美男」のイメージをたどり、人々が理想の男性像に何を求めてきたかを探ります。麗しい歴史上のヒーロー、江戸の粋を体現する伊達男、挿絵やマンガのなかの妖しい美少年、現代作家がとらえた男性の身体など、時代やジャンルをまたいだ多様な男性像をめぐりながら、男性を美しいものとして表現すること/見ることに光を当てます。
 
【本展の構成】
第1章   伝説の美少年
第2章   愛しい男
第3章   魅せる男
第4章   戦う男
第5章   わたしの「美男」、あなたの「美男」
 
   近世絵画、浮世絵、近代日本画、雑誌の表紙や挿絵、現代作家の作品、漫画などが展示される。
 
 
 
   気になった作品3選。
 
村山槐多
《二人の少年(二少年図)》
1914年、個人蔵(世田谷文学館寄託)
 
   画家18歳の水彩画。上京して小杉未醒邸に寄宿していたとき、同邸に住む未醒の兄の子および妻の弟の二少年を描く。
 
 
山村耕花
《梨園の華   十一世片岡仁左衛門の大星由良之助》
《梨園の華   初世中村鴈治郎の茜半七》
1916年、島根県立美術館
 
   新版画の役者絵。初めて見るが、江戸時代の役者絵が持つ濃いものが落ちて、非常にすっきりとしていて、取っ付きやすい印象。
 
 
月岡芳年
《和漢百物語   小野川喜三郎》
1865年、町田市立国際版画美術館
 
   小野川喜三郎は、1780〜90年代に活躍した大相撲の横綱。「胸の下の線で胸板の厚さを表しているようですが、お腹はのっぺりとしていて、現在の私たちがイメージする「マッチョ」の表現とは少し違いますね。」なるほど。
 
 
 
   現代作家の作品は、一部を除き撮影可能。
   以下、作家3選、画像とともに。
 
 
入江明日香(1980〜)
《持国天》
2016年、丸沼芸術の森
   東大寺戒壇堂の四天王像に着想を得たもので、少年の姿をした《持国天》《廣目天》は本展出品、少女の姿をした《増長天》《多聞天》は本展出品対象外。
 
 
 
木村了子(1971〜)
《男子楽園図屏風 − EAST & WEST》
2011年、作家蔵
《月下美人図》
2020年、作家蔵
 
 
 
   これらが女性像だったら、よく目にするイメージだ。
 
 
 
井原信次(1987〜)
《Afterimage》
2018年、個人蔵
《Daily gate》
2012年、個人蔵
   闇の絵画。冷蔵庫をのぞき込む、煙草を手にストーブの横に佇む。モデルは作家自身とのこと。絵の題材になるとは思えない、ごく日常の光景。これを女性像にしたら、だいぶ印象が変わるだろう。
 
 
 
   舟越桂(1951〜)の1980年代前半の男性像彫刻2点もあり(撮影不可)。私的にはやはり女性像のほうに惹かれるかな。
 
 
   奇抜ではない構成・作品選択で、私のような不案内者にも入りやすい印象。


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