投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

新忘れられた日本人 - 佐野 眞一(毎日新聞社)

新忘れられた日本人
佐野 眞一
毎日新聞社

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2009年7月5日印刷 2009年7月20日発行

著者は佐野眞一。1947年東京生まれ。早稲田大学文学部卒。出版社勤務を経てノンフィクション作家へ。1997年「旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三」で第28回大宅壮一ノンフクション賞を受賞。

サンデー毎日2008年6月8日号~2009年5月31日号に50回連載。50回の連載をまとめたものである。

新というからには旧がある。それは宮本常一の「忘れられた日本人」。題名は宮本常一の作品からとっているが、内容は全く異なる。著者も自ら書いているが著者がこれまで書いてきた作品の中から脇役を探し出し、スポットライトを当てた内容になっている。結果、登場する人々はチェーンのように繋がるものが多い。相関図が書けそうである。例えば日本野球と満鉄。満鉄と日本映画。ダイエー創業と肉について中内功と上田照雄。光クラブの山崎晃嗣と太宰治と藤田田・・・。

石原慎太郎についてのメモ。

彼は太陽の季節で文壇に登場する。実際の彼は非常に目立った弟の影に隠れるような存在で、初期の作品に出てくる奔放な生活をする若者とはかけ離れた性格だった。弟の裕次郎はケンカも強く女にも持てたが、兄の慎太郎は全く真逆。陰と陽。初期の小説は弟の裕次郎の友人であり、弟の兄貴分であった山本淳正がモデル。作品に登場する不良少年たちの様子も山本やその取り巻きの様子を見聞きしたもの。慎太郎は完全な山本のプロンプターであり慎太郎は装っていたにすぎない。ヘミングウェーみたいなものだ。石原たちと山本の関係だが、裕次郎は慶応農業高校から慶応高校への編入組で、その際に埼玉から神奈川へ通学を変える。慶応高校転校後に逗子開成高校の学生から目を付けられイジメに会う。助けを求めに行った先が山本淳正だった。

ちなみに父親の潔は山下汽船の一社員に過ぎない。店童という丁稚から小樽支店長にまでなった人物で一晩で支店の金庫を空にするような遊びを行う豪快な人だったそうだ。

(2010年6月 西図書館)
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