2017年6月24日 第1版第1刷発行
著者は1972年岡山県倉敷市生まれ。古本屋「蟲文庫」店主。岡山県は晴れの日が多い県で(本当にそうなのかはよくわからないが、、、)天文台や星や人工衛星の観測所が点在する。そんな土地柄かなのか著者は星空を眺めるようになったそうだ。他の著書には「苔とあるく」「亀のひみつ」「ときめくコケ図鑑」「わたしの小さな古本屋」などがある。
P18に「星の人、宇宙の人」というのがある。
古本として持ち込まれる蔵書でその人がどういう性格かというのが見て取れるという話。「星の人」は実践派で「宇宙の人」は理論派。「星の人」は使用する機材であったり、テクニックであったり、自分の目で見るための知識や技術に興味が行く。「星の人」は他の自然観察にも興味があり野鳥観察や野草の知識に興味が向くアウトドア派なのに対し、「宇宙の人」は膨張宇宙やハッブル宇宙望遠鏡で見る宇宙だったり相対性理論だったり太陽系の謎というようなことに興味が行くインドア派なのだそうだ。
もちろん双方の本は混在してその人の本棚に並ぶことが多いが、どちらかに必ず偏るそうだ。
これは他のことでも同じだろう。ネットで日本経済や世界経済を語る人と、実際に知識を駆使して投資をしている人は別だと思う。私が出入りしている某作家のBLOGのコメント欄にも経済関係の実践派と理論派が入り乱れていて面白い。某作家さんは理論派で投資や経営にはこれっぽっちも興味を持っていなくて、さらに言えば投資を実践する人を蔑みもしているようにも見える。その某作家さんは宇宙にも興味があり時々その手の話もBLOGに書いているのだが、完全に「宇宙の人」である。私は「星の人」だ。この本の著者も「星の人」だと思う。
古本屋「蟲文庫」は倉敷美観地区にある。よく紹介される倉敷川沿いの屋敷街ではなくて少し離れた店舗が並ぶ街道沿いの美しい街並みの中にある。先日、倉敷市民会館で開催された磯田道史氏が登壇した岡山県の幕末をあつかった講演会を聴きに倉敷を訪れた際に散策中に古本屋「蟲文庫」を見かけた。その時はまだこの本を読んでいなくて、古本屋があるとしか思わなかったのだが、もう少し暖かくなってから大原美術館を訪れる予定なので、その時には古本屋「蟲文庫」を訪れてみようと思う。
(2025年3月 岡山市立図書館)