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投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

無人探査機かいこう7000-Ⅱ

 2008年4月12日、神戸で海洋研究開発機構(JAMSTEC)の深海調査研究船「かいれい」と無人探査機「かいこう」7000-Ⅱの一般公開に参加。

 かいれい

 まずは「かいれい」の中を見学。下の画像は船に乗り込んでいる研究者だったかの個室の様子。司厨部の職員がベッドメイキングをしている。毛布が花びらのように整えてある。

花折

 10000Mの潜行記録を持つ無人探査機「かいこう」のビークル(子機)は平成15年5月29日、室戸岬沖南東130kmの海域で行方不明になる。その後、海面を漂流していることまでは分かったのだが結局見つけるころができないまま現在に至る。今回見学した「かいこう」7000-Ⅱはその後継機。無人探査機のUROV7Kを改造して作った「かいこう」7000の再改造版。

 かいこう ランチャー

 人が乗ることを考慮に入れなかったらこんなものでOKなのか?と失礼なことを口走ってしまうほど素人目には適当に部品を組み合わせて作ったように見えてしまう。個々のパーツの耐圧・対密性能だけ確保していれば( 実際はもっと難しいのだろうが・・・ )人が入るカプセルが必要なわけでもなく、費用から見るとゼロが一つ二つ少なくてすむそうだ。下記の画像はビークルのものだが、これは公開用に外殻を取り外しているわけではなく、見ての通りの部品を剥き出しのままの状態で7000Mまで潜行するそうだ。

 かいこう ビークル

 「かいこう」はランチャー(親機)とビークル(子機)で構成されており、平成15年に行方不明になったのはビークル。ランチャーの方は10000M潜行能力を今でも持っている。能力を制限しているのはビークルで、ベースとなった無人探査機のUROV7Kが元から持っていた7000M潜行能力を発展させていないためだ。

 予算の都合で新しく作れないのかと職員の方に問うたところ、面白い回答が帰って来た。

 元の「かいこう」はランチャーとビークル、遠隔操作システムとも三菱重工製。ビークル紛失にともない再製作を三菱重工に依頼したところ、諸般の事情によりことわられてしまったという。「かいこう」7000-Ⅱの方はメーカー製ではなく海洋研究開発機構(JAMSTEC)のお手製の品ということだ。元のビークルは油圧を多用したものだったが今のものはほとんどの機構を電気モーターで動かす。マニュピレーターも貧弱になった。潜行能力3000Mの差以外は機能的にはたいして変わらないそうだが、元の操縦システム一式とインターフェイスが上手く合わず操作に苦労しているとのこと。今後も改造を加えていくそうだが、はたして10000Mの機能まで持たせるかどうかは費用対効果を見てからとのこと。

 下の画像はビークルを前から見たところ。マニュピレーターの大きさが左右で違うことが分かる。これは目的があってのことのように見えるが、たまたまそうなっただけらしい。

 かいこう ビークル

 下の画像はランチャーとビークルを後方から見たところ。「かいこう」は有索式無人機(ROV:Remotely Operated Vehcle)とい分類に入る。有人から無人への流れは世界的なものだそうだ。7000Mの深度まで潜るのに要する時間は2時間、浮上にも2時間。その間の作業に4時間。一日一回の潜行作業が一般的らしい。潜行後のメンテナンスは簡易で、潜行は毎日でも繰り返すことができるという。これを有人機でこなすには無理がある。「かいれい」の船室に用意された「かいこう」の操縦室はモニター群と中央にランチャーオペレータ、左手にビークルオペレータ、右手にマニュピレータのオペレータの椅子が並べてある広々とした部屋だ。その背後を研究者が囲む。食事もトイレも自由。有人で潜るのはロマンだけかも・・・とは職員の方の言葉。

 今後のこの分野はROVから自律型無人探査機(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)へ進むそうで、こうなると母船すら不要になってくるとのこと。港から送り出して何日後かに指示されたことをこなして勝手に戻ってくるようになるのかも・・・。

 かいこう ビークル


 さて、平成15年5月29日に行方不明になった元のビークルは海を漂いながらどこへ行ってしまったのか。噂では某国が見つけて持って行ってしまったとか・・・あくまでも噂だが。


 
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