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H2型ロケットとプラザ合意 テクノスーパーライナーと原油高

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2005年2月26日に7号機の打ち上げに成功したH2A型ロケットの経費は約85億円。1機100億円を下回らなければ世界の商業ロケットとしては成功しないといわれているから、それをクリアしていることになる。この一つ前の型というか原型であるH2型のコストが約190億円だったことを考えるとコストを半減させている。

しかしH2型のコスト約190億円でも計画段階では充分競争力があったのだ。

1986年8月13日に1号機の打ち上げに成功し1992年までに9機打ち上げられた液体燃料ロケットH1型はアメリカのデルタロケットの技術でつくられたものだった。この1号機の打ち上げの2年前、純国産の液体燃料ロケットの開発プロジェクトが開始される。H2型である。この時点では世界で打ち上げコストの最も安いロケットを目指していた。

H2型は1984年にプロジェクトが開始され1994年に計画に遅れること2年で1号機の打ち上げに成功する。1997年に5号機の打ち上げに成功。この段階で1機の打ち上げコストは約190億円。何でこれで国際競争力があったのか?

H2型のプロジェクトが開始された1984年の翌年1985年にアメリカニューヨークのプラザホテルでプラザ合意が結ばれる。この直前の為替相場は1ドル=242円。

プラザ合意後急激な円高が始まる。1988年には1ドル=128円。H2型1号機の打ち上げが成功した1994年の6月27日には東京市場で1ドル=99円50銭。H2型が計画された1984年の時点ではこの国産ロケットは世界で一番安い打ち上げコストのロケットのはずだったのに、出来上がってみれば世界で一番コストのかかるロケットになってしまっていた。

まあ、これじゃあどんな製造業でも音を上げる。だから製造業が人件費の安い海外へドンドン出て行くわけだが国策事業じゃそうもいかない。

H2A型は部品に関しては国産技術にこだわらず使えるものは使うという態度で臨み(もちろん日本側で検証する目が培われてのことなんだが)エンジンの軽量化等の設計を改めぐっとコストを下げることができたわけだ。

めでたしめでたし。

テクノスーパーライナーは今後の行く末が案じられる状態だ。ついこの間までこんなに原油価格が高騰するとは全く思っていなかったんだと思うが、捨てるにはもったいない技術だ。

だから今は踏ん張り時だと思う。
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