投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

海辺のカフカ - 村上春樹(新潮文庫)

 
 
 
私が読んだのは上下で別れている方。

平成17年3月1日発行 平成29年3月20日第50刷

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・田村(カフカ)は15歳の少年。東京の中野で彫刻家の父と二人暮らしをしていた。母と姉はカフカが幼い時に家を出て記憶が朧気である。ある日、カフカは家を出る。行先は香川県の高松。高松でカフカは不思議な現象に合う。目が覚めると血だらけなのだ。その日、東京では父が殺害されていた。カフカは警視庁から重要参考人として捜査される人物になる。


・カラスはカフカの頭の中にいる少年。田村(カフカ)が自問する時、自答するように要所要所の場面でカフカの相談に乗る。


・大島は高松市にある私立図書館の司書。見かけは青年だが性別は女性、本人が自覚している性別は男性、Sexではゲイの男性を相手にし自分は女性の立場になる。カフカを気に入り館長の佐伯に紹介しカフカを図書館に住まわせる。


・佐伯は大島が勤める甲村記念図書館の館長。19歳の時に作曲した「海辺のカフカ」が大ヒットした過去がある。カフカが密かに自分の母親ではないかと思う人。


・さくらはカフカが高松に来る時に使った夜行バスで出会った女性。カフカは彼女を自分の姉ではないかと考える。


・ナカタは東京の中野で生活保護で生活している老人。戦争中の国民学校で山梨に疎開している際に事故にあう。それまでは聡明な少年であったが事故で昏睡状態になり目が覚めた時には全ての記憶と読み書きする能力を失っていた。その代わり猫と会話できる能力を身に着ける。今は迷子猫の捜索を請け負い生活費の足しにして暮らしている。ある日、何かに導かれるように高松に行く。


・星野はヒッチハイクをしていたナカタを拾ったトラックの運転手。神戸までナカタを乗せたが、何を思ったのか休暇を取りそのままナカタと一緒に高松まで来る。ナカタ亡き後はナカタの能力を引き継ぐ。


・田村(カフカ)は高松に来る。そして決着をつけるため、そしてまた高松に戻るために東京へ帰る。


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この本を読みながら甲村記念図書館を訪れたくなり探したら架空の図書館だった。


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上p274
時間を超えて、そこにある過去の影を指でなでることができる。その影に自分をかさねることができる

上p384
ただね、僕がそれよりさらにうんざりさせられるのは、想像力を欠いた人々だ。T・S・エリオットの言う《うつろな人たち》だ。その想像力を欠如した部分を、うつろな部分を、無感覚な藁くずで埋めて塞いでいるくせに、自分ではそのことに気づかないで表を歩きまわっている人間だ。そしてその無感覚さを、空疎な言葉を並べて、他人に無理に押し付けようとする人間だ。

下p201
巨大な暗雲は緩慢な速度で市内を横断し、まるで失われた道義を隅々まで糺すかのように、落とせるだけの稲妻を矢継ぎ早に落としたが、やがては東の空から届くかすかな怒りの残響へと減衰していった。それと同時に激しい雨も唐突にあがった。あとには奇妙な静けさが訪れた。

(2022年2月、3月 西宮図書館)
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