生まれてから死ぬまでの記録

人生とは、生まれてから死ぬまでの間のこと

ヒトラー~最期の12日間

2005-08-09 00:31:15 | 映画の記録
いや~、観終わって頭クラクラしました
すぐにDVD化されるでしょうが、映画館で観るチャンスのある人は映画館で観て欲しい
なぜかというと、この映画の話の多くは司令室である地下要塞が舞台なんですが、
ソ連軍から近距離の砲撃を受けてて、つねに「ドーん、ドーン」と音が聞こえてるんですが、
その聞こえ方がすごいリアルでして、地下要塞は光の差さない密室でして、映画館もそうじゃないですか。
だから、ずっと観てるうちに、自分もその地下要塞にいるかのような感覚になってきて、くらくらきます。
このくらくら感は家では味わいにくいと思うので、是非映画館で味わっていただきたい

さて、お話なんですが、邦題は「ヒトラー~最期の12日間」なので、ヒトラーが主役みたいですけど、
原題は「崩壊」「破滅」という意味でして、その名の通り、ベルリン陥落にまつわる
ドイツのいろいろって感じで、ヒトラーが死んでからも映画は結構続きます。
監督が「es」のオリヴァー・ヒルシュビーゲルって人でして、さすがに人間心理をよく達観して
いらっしゃって、この映画の主役は極限状態における人間心理なんじゃないかと思うほど。

ヒトラーは完全に人格が分離してしまってて、プライベートな人たちに対しては、気遣いもみせ
自殺の算段もしてるくせに、部下たちを前にすると妄想爆発で、もうない戦力をあるものとして
「第9軍が進撃して云々」とあくまでも負けを認めず当り散らしまくりで、困ったおっさんなんですが、
そんなヒトラー像もさりながら、ヒトラーの周囲の人たちの心理が面白い。
徹底抗戦を唱える人、無益な戦いはやめようと言う人、どうにもならんと酒に逃げる人、
どれも人間なんですねぇ
そして、つくづくやるせないと思ったのが、「秩序維持」の名の下に、脱走兵や共産主義者が
殺されてる描写です。
敗戦は決定で、いまさらそんなことしても何の意味もないのに、そういうことが行われる。
この監督は、権威を笠に着て(この場合秩序維持が権威ね)自分の欲望を充足させる心理対して
容赦ない描写をしますねぇ、esに引き続き 確かにそういう無反省な心理は本当に怖い。

この映画を観ながらつくづく考えたのは、あくまでも生きる方向に向かっていく人たち
(無益な戦いはやめようと言う人たち。この人たちによってヒトラー亡き後、ドイツは降伏
するわけですが、これが容易ではなかったのも映画でわかりました。)と、あくまでも
徹底抗戦を唱える人たち(多くが自殺してしまうんですが)を分けるものは何だろう
ということです。

徹底抗戦を唱える人たちは「降伏の屈辱は二度とごめんだ」ということを何度も言うんですね。
基本が「逃げ」なんですよねぇ。なんなんだ、そのネガティブパワーは
でも、人間を動かすのはポジティブパワーよりも、ネガティブパワーのほうが強いんじゃないだろうか、
とか、人間はポジティブパワーに動かされる人と、ネガティブパワーに動かされる人の2種類がいて、
実はネガティブパワーに動かされる人の方が多いんじゃないだろうか、とか、そんなことを考えました。
ヒトラーは、第3帝国の建設を夢見てた人で、一見ポジティブパワーに動かされた人みたいですけど、
実はネガティブパワーに動かされた人なんじゃないかと、最期の12日間の様子を見て思いました。
自殺の算段するくらいなら降伏の算段しろよ、と思いますもんねぇ
映画観る限りでは、降伏の算段は全くしてないんですよね。部下にも降伏を禁じて自殺してますし。

やけっぱちになるのは簡単なんですよね。やけっぱちになりたいときにこそ、建設的になることが
すごく貴重で、降伏の処理にあたった人は本当にえらいなぁと思いましたよ。

だらだらと書きましたけど、人間心理をつくづく考えさせられる映画です。


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