*** june typhoon tokyo ***

LOOKS GOOD! SOUNDS GOOD! @北参道ストロボカフェ


 都会の隠れ家ともいえるファンシーなライヴカフェが華やいだ、愉快でハピネスなステージ。

 ミア・ナシメントや加納エミリを手掛けるシンガー・ソングライター/鍵盤奏者の矢舟テツローが(ミア・ナシメントの意向も踏まえながら)ブッキングしたイヴェント〈LOOKS GOOD! SOUNDS GOOD!〉を観賞。会場は白い壁とカラフルな椅子やソファーがオシャレなカフェ・ライヴハウスの北参道ストロボカフェ。昨年1月や9月にはMILLI MILLI BARとしてライヴを行なった馴染みのフロアとなる。ラインナップはミア・ナシメント トリオ、LILY&YU、加納エミリ、彼女のサーブの4組。矢舟以外は全員女性というフレッシュで華やかなそれぞれのステージに歓声が沸く、ハッピーな空間となった。

◇◇◇

【彼女のサーブ】



 長崎県出身のあおぎ(安達葵紬)による“フューチャーテニスアイコン”が彼女のサーブ。福岡県出身のえりによる彼女のレシーブと共に活動すると“彼女のサーブ&レシーブ”となり、“ダブルス”というそうだ。今回はサーブ単独なので“シングルス”としてのステージ。昨年5月に六本木VARIT.で行なわれた〈MILLI MILLI BAR × VARIT. presents Mi sueno〉(記事→「MILLI MILLI BAR@六本木VARIT.」)にて観て以来。その時は黒髪でテニスサークル風のルックスだったが、今回は衣装も替わって髪も金髪に。テニスサークルの新入生だったのが、1年経ってちょっぴり先輩になった? という感じか。

 それでも元来有する性格的なものなのか、牧歌的でシャイなところが初々しさと清楚系アイドルのマナーを醸し出し、ピュアな80年代アイドル歌謡ポップスの薫りをふんわりと漂わせてくれる。メロディラインは変にクセをつけて尖らせたりすることない、ピュアネスと甘酸っぱさが伝わる“青春、思春期”濃度の高いものだ。ラケットを振りながらウェストをクイクイっとひねるダンスもキュートな「スキッ!~Love Magic~」や観客との合唱で人気の「Cheerio!!!」などを披露してくれた。

 それにしても髪が長い。スレンダーというだけじゃなく、本当に脚が長い。




◇◇◇

【加納エミリ】



 2月13日に自身初の7インチシングル「ごめんね」をリリース、同日に新宿motionでのイヴェント〈加納エミリ大生誕andリリースパーティ〉(記事→「加納エミリ@新宿Motion」)も盛況を収めるなど、昨年末から目を見張るほどの上昇一途が窺える“完全セルフのNEO・エレポップ・ガール”こと加納エミリがこの日の二番手。急激な知名度の拡大で繫忙となってか、心身に疲労が出始めた様子も見受けられたが、このステージまでには復活。2019年に賭ける思いの強さは相当のようで、3月15日にはリリースプロジェクト第1弾としてシングル「フライデーナイト」を自主レーベルの〈EMIRIKA DISC〉からのリリースが決定するなど、ファンへ次々と朗報を提供している。

 まだ歌唱やダンスも固まっていないながらも、いち早く届けたいという思いとまさに“金曜日の夜”の公演ということもあってか、彼女には珍しい動画撮影NGのアナウンスとともに新曲「フライデーナイト」を披露。軽快なカッティング・ギターが全編に走るチープなディスコ・ファンク歌謡といった趣で、週末が待てない金曜の夜の上機嫌や浮つく感情をポップな音で彩ったというところだろうか。

 「Next Town」や「ごめんね」では演者に合わせた“振り”をする観客も次第に増えている模様。若いながらも80~90年代の音楽を嗜好するという音楽的好事家のツボを押さえながらも、ルックスのイメージと合わないコミカルなダンスが目を惹き、ファンも明らかに増加。直接的には関係ないが、DA PUMP「U.S.A.」で火が付いた“ダサかっこいい”の時勢の余波に乗ったということもあるかもしれない。DA PUMPにせよ加納エミリにせよ、本人はいたって真剣、というのも、興味がそそられる要因の一つだ。今後もリリースやイヴェントが続く彼女だが、この1年でどこまで急上昇の成長曲線を描くのか、非常に楽しみだ。




◇◇◇

【LILY&YU】



 LILY&YU(リリーユー)は2012年~2018年5月に関西を中心に活動していた“歌って&踊って&喋れるパーティアイドル”ハニーゴーランのメンバー、前田侑里のソロ・ユニット。初見となったが、前所属グループで“踊って&喋れる”と称していたも分かる、関西独特のテンション高めのトークとゴムまりのように跳ねる激しいダンスが特徴。

 フックのフューチャーベース風のアレンジが印象的な「Right now」をはじめ、ソロ・デビュー・シングルの「これがいーや!」などダンサブルでアッパーな曲調が中心。アイドル時代の経験も豊富だからか、フロアを煽るのも手慣れている感じだ。常に笑顔を弾けさせながら、パワフルでノリのいいダンスとともにフロアの熱度を高めていく。

 ただ、アッパーなポップだけでなく、矢舟テツローを生ピアノに招いて披露したのは、亡くなった恩師へ向けて書いたというしっとりとした「ヒトヒラノユメ」も(冒頭のメロディラインがちょっと「TAKUMI/匠」(『大改造!!劇的ビフォーアフター』の挿入曲)に似てる気がした……笑)。アイドル時代はいかに自分のパートを少なくするかという消極的なところがあったとのことだが、その時期はやり過ごし、今はソロとして歌うことの楽しさを実感している様子。ラストは引き続き矢舟の伴奏でBONNIE PINK「Tonight, the Night」のカヴァーを。にこやかな笑顔を振りまきながら、ステージを後にした。




◇◇◇

【Mia Nascimento Trio】



 トリは矢舟テツローとManakaを従えての“ミア・ナシメント・トリオ”。この日のトピックは新曲の「Lucky Girl」の披露だろう。トロピカルな鍵盤から導くジョイフルなヴァース、ミニ鼓笛隊の行進も想起させるリズミカルなドラミングと高揚を誘うコードから“I,I,I'm a lucky girl, girl, girl”の陽気なコーラスへの展開が楽しい曲で、ハワイアンやカリビアンなどの南国的な要素は、ブラジルにルーツを持つミア・ナシメントにもよく似合う。観客と共に歌える微笑ましい楽曲だ。

 最近はライヴで定番となっている、デューク・ピアソンのジャズ・スタンダードに独自の日本語詞を乗せた「Sandalia Dela」(サンダリア・デラ)にせよ、ブラジルの国民的愛唱歌「Tristeza」(トリステーザ)にせよ、リズミカルな楽曲とミア・ナシメントとの相性は天性のもので、そこはブラジリアンが持つ独特のグルーヴネスが宿っているのだと実感。トランジスタグラマーなミアのダンスにもそのグルーヴネスはしっかりと顕われている。

 天真爛漫の明るさを持つティーンエイジャーのフレッシュネスを陽気な作風によって倍加させるプロデュースワークは、元来備わっているミアのパーソナルな資質に見合っていて有効だが、さらに「SWAN DIVE」のようなリズミカルながらもセクシーな面持ちを帯びた楽曲を歌いこなすようになっていくと、ミアの表現力とともにミア・ナシメント・トリオとしての楽曲のヴァリエーションも増えるはず。ベースレスゆえ重心の低いボトムはやや影を潜めるが、その分リズミカルかつ柔軟性の高いアレンジメントが活きるという意味で、なかなかバランスのとれたトライポッドとして精度が高まっていくのではないだろうか。Manakaのドラムも自己満足的な変なクセに陥らずに陰影のある程よくタイトなスティック捌きで、楽曲に推進力をつけるのに一役買っている。

 まだ“ミア・ナシメント・トリオ”としては手探りな部分もあるかもしれないが、バンドとしての連係やパフォーマンスにおいてはしっかりと手ごたえを得ながらエンジョイしている……そんな感覚が伝わってくるような、アットホームながらも興奮や満足度の高いステージだったように思う。






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<SET LIST>

【彼女のサーブ】
スキッ!~Love Magic~
Cheerio!
Wondering Girl

【加納エミリ】
01 Next Town
02 二人のフィロソフィー
03 フライデーナイト(new song)
04 Been with you
05 恋愛クレーマー
06 ごめんね

【LILY&YU】
Right now
これがいーや!
ヒトヒラノユメ(with Tetsuro Yafune)
Tonight, the Night(with Tetsuro Yafune)(Original by BONNIE PINK)

<MEMBER>
LILY&YU(vo)
矢舟テツロー(p)

【Mia Nascimento Trio】
01 みゆき通り
02 満月のDANCE
03 Call me, Catch me
04 SWAN DIVE
05 Lucky Girl(new song)
06 Sandalia Dela(サンダルでミア)
07 Laugh Again
08 Tristeza

<MEMBER>
ミア・ナシメント / Mia Nascimento(vo)
矢舟テツロー / Tetsuro Yafune(key)
Manaka a.k.a. 田辺真成香 / Manaka Tanabe(ds)


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【Mia Nascimento / MILLI MILLI BARに関する記事】
・2017/11/15 MILLI MILLI BAR@代官山WEEKEND GARAGE TOKYO
・2018/01/25 MILLI MILLI BAR@北参道STROBE CAFE
・2018/05/30 MILLI MILLI BAR@六本木VARIT.
・2018/09/05 MILLI MILLI BAR@北参道ストロボカフェ
・2018/10/14 Mia Nascimento with 田辺真成香@星空カフェgift
・2019/01/24 Mia Nascimento@下北沢BAR?CCO
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