*** june typhoon tokyo ***

MILLI MILLI BAR@六本木VARIT.


 爽やかな涼風をもたらした微笑ましいステージ。

 あいにく雨で覆われていたミッドウィークの東京の夜に、“座って聴ける、オトナのアイドルポップス”をテーマに掲げるポップ・バンド、MILLI MILLI BAR(ミリミリバール)がライヴハウス「六本木VARIT.」と企画したライヴ〈MILLI MILLI BAR × VARIT. presents Mi sueno〉へと向かう。MILLI MILLI BARのライヴは、ヴォーカルのミア・ナシメントのサプライズ・バースデー企画も飛び出した1月25日の北参道でのライヴ以来(その時の記事はこちら→「MILLI MILLI BAR@北参道STROBE CAFE」)となる。

 先日、MILLI MILLI BARからドラムの菅田直人の脱退の報があり、しばらくはミア・ナシメント、矢船テツロー、菱川浩太郎の3名にサポートを迎えながらフレキシブルに活動するとのこと。この日は21歳の女性ドラマー、田辺真成香が参加。



 楽曲構成にさほど変化はないが、ミア・ナシメントのヴォーカルも場数を踏んできての成長が窺え、何より安定感が増したのは好材料。まだ成熟した大人の色香とまではいかなくとも、少女性から着実にステップアップした歌唱も見え始め、“オトナのアイドルポップス”というコンセプトにかなり近づいてきたのではないかと感じた。
 また、田辺のドラムが思いの外タイトにリズムを刻んできて、メリハリを強くつけていたこともあってか、立体感が際立ったバンド・サウンドに。これは会場の六本木VARIT.の音鳴りの良さもその一因に加えられよう。

 楽曲数の関係もあり、まだまだコンパクトなスケールのステージが多い彼ら。そのなかでも、やはりラテンのリズムで展開する「満月のDANCE」や「Sandalia Dela」は、ミアがブラジル人ということもあって、その相性は言わずもがな。ミディアム・スロー~スローのバラード系を腰を据えて歌えるようになれば、よりそのヴォーカルの幅も広がってくると思う。個人的には既にバンドの代表曲ともいえる「遊 び 半 分」路線のファンキー・ポップが増えてくると、ステージ構成の上でも盛況を大いにプラス出来るのではないか、と感じている。



 そして何よりも、ヴォーカルのミアをはじめ、演奏している時のメンバーの表情がいい。ミアはヴォーカルゆえに楽曲によってその世界観を顔や体躯を使ってより表現することが求められるだろうが、それを除けば、いい意味で緩やかな心持ちと距離で楽しみながら演奏しているバンドの一体感がフロアにも伝わってきて、実に微笑ましい。リラックスしながらオシャレなポップスを嗜むというスタイルの完成度も高まっていきそうな気配だ。

◇◇◇

<SET LIST>
01 みゆき通り
02 満月のDANCE
03 Call me, Catch me
04 Sandalia Dela
05 遊 び 半 分
06 My Sweet Seventeen
07 Laugh Again
≪ENCORE≫
08 Surprise You

<MEMBER>
ミア・ナシメント / Mia Nasciment(vo)
矢舟テツロー(key)
菱川浩太郎(b)
田辺真成香(ds)


◇◇◇





◇◇◇

 この日はミア・ナシメントの弾き語りソロのほか、朿恩あい、ひなたせり、彼女のサーブの3組がランナップ。ミア・ナシメントがソロ活動を始めてから約半年間で知り合い、交流を深めたシンガーに声をかけて実現したとのことで、ヴァラエティに富んだものとなった。

<TIME SCHEDULE>
19:30~19:40 ミア・ナシメント(solo)
19:40~20:00 朿恩あい
20:05~20:25 ひなたせり
20:25~20:45 彼女のサーブ
21:00~21:30 ミリミリバール

◇◇◇


 朿恩あい(しおん・あい)は19歳のシンガー。あまり素性は分からないのだが、彼女のYouTubeチャンネルにはユーミンやキャロル・キング、エド・シーラン、ノラ・ジョーンズなどの弾き語りカヴァーがアップされていて、いわゆる“ギター女子”系。名前はおそらく芸名だろうが、“朿”(とげ)という字を入れていることから、心にささくれだった感情や胸にチクリと刺さる苦しみなどを吐露したいという気持ちの表われなのかもしれない。以前“女・尾崎豊”と呼ばれた橘いずみ(現・榊いずみ)とまではいかないが、ストイックで自虐的なアプローチはそのあたりの気風も感じる。

 歌い終わると可憐で人懐こそうな顔立ちを見せるが、歌唱での表情は人の心を鷲掴みしそうなほどの訴求力とそれを可能にする歌唱力で迫ってくる。先ほど“ギター女子”とは言ったが、よくある恋愛を爽やかに歌う弾き語り勢とは異なる、葛藤と渇望の歌だ。憂いと苦悩のなかでもがき這いつくばりながら、不格好でも必死にあるべき理想へと手を伸ばすスタイルは、同世代はもちろん、閉塞を感じる大人たちへも十分に共感が得られそう。
 強いて言えば、ギター弾き語りは激戦区だけに、何を一番のウリにしていくか。どのようにきっかけを掴むかだろう。




◇◇◇


 ひなたせりは群馬県出身のソロ・アイドルで、ツインテールがチャームポイントとのこと。愛称は“せりぴょん”。世間でいう“地下アイドル”系でこのあたりは本当に明るくないのだが、数人彼女の“親衛隊”らしきファンも。“太陽のようにあなたのこころをポカポカにします”のモットーを映し出したようなキュートな「ありがとうの花が咲いたよ。」や、アップ・テンポのアイドル・ソング「ミラクル☆ホイホイ」などを披露。控え気味なファンたちのコールも届く中、「今日は(観客が)温かい」とふと呟きながら歌い踊る。

 ラストの「バニラアイス」では口上があるといってファンに口上が書いてあるスケッチブックを持たせて“高めのツインテ マジサイコー”“俺が生まれてきた理由 それは「せり」に出逢うため”“一生「せり」を応援したい 世界で一番愛してる”などと“言わせ”たりと、個人的になかなか見かけない光景を体感することができた。おそらく彼女自身の色とは異なるラインナップでのステージだったと思うが、それでも自身のスタイルをブレずにやり切るメンタルの強さは、小さなステージに数多く出演している経験のなせる業なのだろう。(あまりに自分にとって珍しく、注目し過ぎた結果、写真は撮り忘れた)


(顔は元Especiaの“ちかぶー”こと三ノ宮ちか路線か)
◇◇◇


 そして、“彼女のサーブ”こと長崎出身の安達葵紬(あだち・あおぎ)。腰より下まであるロングヘアが印象的だ。東京を拠点としているが、週末は福岡を拠点とする“彼女のレシーブ”(えり)とともにアイドル・ユニット“彼女のサーブ&レシーブ”として活動する。以前、アイドル・グループMi-IIのすずなと石田彰プロデューサーによる期間限定ユニット“木村沙織全国ツアー2017”が話題となったことがあったが、こちらはサーブ&レシーブといってもバレーボールではなくて、テニスがコンセプト。ジョン・マッケンローのライヴァルとして名勝負を繰り広げたビヨン・ボルグのスポンサー〈FILA〉(フィラ)のウェアを着用し、〈スポルディング〉のテニスラケットを持って歌う(この日はしてなかったがヘアバンドは〈エレッセ〉らしい)という、どこか昭和のアイドル像を想起させるルックスだ(個人的にはFC東京の高萩に似ている瞬間がたまにあるので、洋次郎と勝手に名付けていた)。

 70~80年代に流行った大学のテニスサークル風のルックスで、ラケットを持ちながら「Racket Love」「スキッ!~Love Magic~」「Cheerio!!!」「Wondering Girl」などといった昭和の青春アイドル・ソング風の詞世界を歌う。歌唱自体は高いキーがやや苦手なのかピッチが不安定だったりするが、トラックは昭和懐古ではなく、洒落たビートも敷いた颯爽としたポップ・サウンド。福岡の音楽&サブカルチャー系ラジオ番組『ドリンクバー凡人会議』の構成員周辺によるクリエィティヴ・チーム“NEW TOWN REVUE”が手掛けていることもあり、古臭さを全く感じない良ポップ・トラック。本人も「曲は本当にいいので」と言うのも分かる気がした。機会があれば、彼女のレシーブとのコラボレーション(テニス・アイドルだけに“ダブルス”というらしい)も見てみたいと思った。

 モデル系のクール・ビューティな顔立ちだが、時々ポッと出てくる方言がいい“萌え”ポイントなのかも。



























にほんブログ村 音楽ブログ ライブ・コンサートへにほんブログ村 音楽ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

野球狂。
次回は是非現場へ!
すずきさん、コメントありがとうございました。

映像は中途半端なものが多くて申し訳ないですが、喜んでいただけてよかったです。
ミリミリバールの動画はほかにもいくつかありますので、よかったらぜひ。
https://www.youtube.com/user/amaralamaralamaral10/videos
すずき
すばらしい
この日行きたかった! 
Miaちゃんパーフェクトムービーありがとうございます。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ライヴ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事