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Especia メジャー・デビュー!カウントダウン企画(6)『GUSTO』

 Especiaメジャー・デビュー直前! 明日、2月17日(火)には店頭に並ぶミニ・アルバム『Primera』ですが、そのメジャー初CDリリースを記念した完全自己満足身勝手カウントダウン企画もとうとうラストとなりました。その第6弾としてEspecia初のフル・アルバム『GUSTO』をピックアップ。6人編成での最後のアルバムとなった『GUSTO』をサラッとおさらいしたいと思います。

◇◇◇



『GUSTO』(2014/05/28)
01 Intro
02 BayBlues
03 FOOLISH
04 アバンチュールは銀色に (GUSTO Ver)
05 Mount Up
06 BEHIND YOU
07 嘘つきなアネラ
08 Intermission
09 No1 Sweeper
10 L'elisir d'amore
11 海辺のサティ (PellyColo Remix)
12 ミッドナイトConfusion (Pureness Waterman Edit)
13 くるかな
14 アビス
15 YA・ME・TE! (GUSTO Ver)
16 Outro

◇◇◇

 “楽曲派”に留まることが許されなくなったガールズ・グループのファースト・ステップ作。

 堀江系ガールズ・グループ“Especia”初のフル・アルバムは、ディスコ、ファンク、フュージョン、AORなどの多彩な音色を80年代を中心とした時代感覚で投影してきた彼女たちが、その方向性に自信と未来を感じたインディ時代の集大成となった。

 「ミッドナイトConfusion」「YA・ME・TE!」「アバンチュールは銀色に」といったシングル・タイトル曲やカップリング曲「海辺のサティ」と既発タイトル楽曲もあるが、過去作をそのままパッケージするのではなく、すべてアレンジを変えて(ヴォーカルも再録)の収録。1stシングル「ミッドナイトConfusion」はサブタイトルからも解かる通り、80年代のユーロビート・シーンを席巻したマイク・ストック、マット・エイトキン、ピート・ウォーターマンからなるプロデューサーチーム、“ストック・エイトキン・ウォーターマン”を意識した、カイリー・ミノーグ、リック・アストリー、シニータあたりの作風に。「アバンチュールは銀色に」は、イントロからデトロイト・テクノ・シーンで名を馳せたデリック・メイの代表曲「ストリングス・オブ・ライフ」(“Strings Of The Strings Of Life”)を下敷きにして、テクノとフュージョンを往来するような野心的でエッジ―な色彩へと変化。レトロフューチャー風な味付けがより耳を傾けるアレンジとなった。
 そして、一番に豹変ぶりを見せたのが「海辺のサティ」で、約8分のダブ・インストに。仮に、シングルを買わずにアルバムでこの曲を聴くことを期待していた人がいたら面を食らうだろう、ヴォーカルレスのアレンジだ。
 このような“遊び”も彼女たちの作品の良さで、単純に“良い楽曲”が多いグループに留まらないゆえんだ。

 リード曲となるのは夏の開放感みなぎるアーバン・ダンス・ポップ「No1 Sweeper」で、ひと夏の恋を加速させるような胸騒ぎを予感させる展開が魅力。キャッチーで高揚を誘うカジュアルなシンセと清涼なサックスとともに“SHAKE A BODY”や“DIVE INTO THE NIGHT”などのフレーズからは、TM NETWORKっぽさも感じられる。

 本作の秀逸さはこれらのキャッチーな楽曲だけではなく、好事家たちを唸らせるクールな楽曲が挟み込まれていることだ。「Intro」で本作アルバムへの期待を上昇させたかと思えば、一気にディープに落とし込ませる「BayBlues」はその典型で、“大阪=ブルース”というベタな構図を改めて主張したかのよう。
 「L'elisie d'amore」ではエレガントでアンニュイなラヴ・アフェア・ソング。スッキリとしない恋の行方を、杉本暁音のもの憂げなラップ・パートも含んで描いた、Especiaにとって新境地となるナンバーだ。

 シティ・ポップに強い思い入れを持っている人たちにとっては、特に「アビス」は珠玉の一曲だろう。インドネシアの4ピース・バンド“ikkubaru”が手掛けたというと異色にも聞こえるが、元来彼らは山下達郎や角松敏生ら日本の80年代シティ・ポップに影響を受けて結成されたという経緯を耳にすれば、納得だろう。奇を衒うことなく80年代のシティ・ポップの色彩を映し出したグッドメロディが漂う佳曲だ。
 また、マセラティ渚が手掛けた「くるかな」は愛らしさと煌びやかさが同居するスウィートな・ポップだが、楽曲以上にトピックとなるのはそのミュージック・ヴィデオ。テレビの放送終了直前に流れるミニ番組「サウンドウェザー」をモチーフにしたアイディアは見事。
 さらに注目したいのは「Mount Up」でメンバーの三瀬ちひろが作詞を担当していること。これまで制作陣が提供した80年代の世界観を歌ってきた彼女たちだが、その世界観から離れて、自らの心境を詞に託した楽曲を届けてきたのは、グループとしての引き出しが一つ増えたともいえる。

 ブラック・ミュージックやシティ・ポップに親しみを感じるリスナーを中心にクオリティの高いサウンドを送り届けてきたEspecia。当初はその楽曲の質が注視されたが、カラフルで豊かな表現力を持つ冨永悠香、パンチの効いた存在感のある声の脇田もなりだけでなく、フレッシュで勢いを感じさせる森絵莉加も成長を見せ、楽曲の質に見合うだけの歌唱力もつけてきた。売り出す戦略上、アイドルというカテゴリーに身を置いて活動しているが、そろそろ(アイドル)“楽曲派”という枠から抜け出して、ガールズ・グループとして勝負すべき時期が来ているのではないか。その端緒になりそうなアルバムだ。
 
◇◇◇
Especia 「No1 Sweeper」

Especia「くるかな」


◇◇◇

 いかがだったでしょうか。何の考察もないまま書きつけた連続記事だったので、言葉の齟齬が至るところにあるとは思いますが、そこはド素人が“熱”だけで企画したら引き返せなくなってとりあえずやるきることだけを考えて突っ走った……ということで大目に見ていただければ幸いです。

 さあ、メジャー・デビュー・リリースまであと二日。『Primera』が店頭に並ぶまであと一日。この世の中に万人を満足させる名盤などは存在しませんが、心にきっと何かをもたらしてくれるに違いない作品だと思います。“Listen without prejudice.”先入観を捨てて聴いてみてもらえると、そしてCDを手に取ってもらえると非常にありがたいです。Especiaのようなグッド・ミュージックが広く知られることが、シーンの成長や質の向上にも必ずや繋がると思うので。

 以上で、完全自己満足身勝手企画を終わります。訪問し記事を読んでくださった無駄な時間を費やすことが好きな奇特な方々、本当にありがとうございました。


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