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タイトル変えました。iSaonのブログです。

『永遠の嘘をついてくれ』

2007-08-21 15:46:15 | エンターテイメントを語る
『永遠の嘘をついてくれ』は、1995年に中島みゆきが、吉田拓郎に提供した唄です。

去年の吉田拓郎とかぐや姫のつま恋コンサートについては、以前、ここでも書きました(今度は、ちゃんと事前に調べたぞ)。

その再放送を先日、NHK BSでやっていて、ここで再度、この曲を聴いたのですが、聴いているうちに、涙が溢れ出してきて、困ってしまいました。

前回、この番組をみたときには、中島みゆきと拓郎のツーショットにばかり目がいってしまい、歌詞はおろか、曲もあまりちゃんと聴いていなかったんだけど、あらためて聴いてみると、これが素晴らしい。ノックアウトされました。

そもそも、吉田拓郎が誰かに、楽曲を依頼することなんてない。昔、フォーライフレコードが経営的に苦しかったときに、カバーアルバムを出したことはあるらしいけど、書き下ろしの曲をお願いするなんて、ありえませんでした。

中島みゆきは、自他共に認める、拓郎の大ファン。一時期はおっかけまでしていたと言われています。

また、拓郎は、94年のコンサートで、中島みゆきの『ファイト』を唄っていて、これがきっかけで楽曲依頼の話がまとまったらしいです。詳細は、こちら(http://www.begets.co.jp/doda/archive/064.html)。

この唄、中島みゆきの作品と言われないと、全然気がつかないのではないか?。

この唄は、中島みゆきから、拓郎へのメッセージソングです。つまり『永遠の嘘をついてくれ』とは、「吉田拓郎は、永遠に吉田拓郎でいてくれ」という訴えです。「拓郎も、所詮、一人の人間だったね」とか、思わせるんじゃない、と。

ただ、曲が進行していくと、もう少し違ったものが見えてくる。三番の歌詞:

♪傷ついた獣たちは最後の力で牙をむく
放っておいてくれと最後の力で嘘をつく
嘘をつけ永遠のさよならのかわりに
やりきれない事実のかわりに

この場合、中島みゆきは、拓郎に対して「あんたは死にゆく獣だ」と指摘し、「最後の力をふりしぼれ」と言っているわけで。

これって、拓郎を挑発しているようにも、引導を渡しているようにも聞こえる。すさまじい世界。

単なるリスペクトソングや、トリビュートソングじゃあないんだね。楽曲の提供を通して、戦ってますよ。この人たち。

中島みゆきという人は、報われない人たちのことを歌わせると、天下一品。

実は、僕はこの人の唄が苦手で、何度か、CDを借りて聴いてみたりはしたんだけど、だいたい数曲で、限界がきてしまいます。

人に提供した唄は、実にすんばらしい。最近ではTokioの『宙船』とか、昔で言えば、工藤静香の『慟哭』。

なのに、本人が歌うと、ちょっと濃い。まあ、この濃さと強さがたまらない、という人も多いんだろうけど。

『永遠の~』では、この歌詞が好きです。

♪この国を見限ってやるのは俺のほうだと
追われながらほざいた友からの手紙には
上海の裏街で病んでいると
見知らぬ誰かの下手な代筆文字

「見知らぬ誰かの下手な代筆文字」ここで泣けた。なんて饒舌な一行なんだろう。

世の中には、吉田拓郎にしか歌えない種類の唄というものが、確実に存在する。それは前からわかってました。でも、そういう唄は、拓郎以外には作れないんだと思っていた。

ある意味、というか、あらゆる意味で、この曲は、拓郎がつくるよりも拓郎らしい。すくなくとも、十数年間の拓郎が作った唄よりも、ずっと拓郎の本質が出ていると思う。。

そういう唄で引導を渡されるのって、いったいどんな気分なんだろうね。

そういえば、つま恋の拓郎は、決して、中島みゆきと目を合わそうとしていなかった。改めて見てみると、とっても不自然。

YouTube - 永遠の嘘をついてくれ



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