Josephcunlife107の日記

ロンドン(カナダ)生活、IVEY BUSINESS SCHOOLの日常。

SAYURI

2006年03月03日 | 映画
タイトル: Memoirs Of A Geisha
監督: Rob Marshall
主演: Ziyi Zhang Ken Watanabe

ストーリー:貧しい家に生まれた少女は、9歳にして京都祇園の芸者屋敷に売られる。1人の裕福な男との出会いをきっかけに、芸者になる決心をし、そして実現する過程を描くドラマ。芸者の世界の厳しさ、嫉妬、日本舞踊の美等が第二次世界大戦前後の環境と共に描かれている。

スクリーンには、懐かしくなるような日本の景色が広がっていた。野宮の竹林や京都の桜の映像は、その見事さに惚れ惚れしてしまう。世界に誇れる日本の景色がいつまでも続いて欲しいと思う。

 この映画において賛否の分かれるところは、日本を舞台にした映画にあれ程多くの中国人が出演している部分かと思う。実際、僕は友人達から日本を舞台とした映画だけれども、主演が中国人でいいのというような質問を度々されたものだ。特に、女優の大半が中国人で、日本人といえば桃木かおりと工藤由貴くらいのものだ。あくまでも推測に過ぎないのだが、僕は、“ハリウッドで認められる日本人女優”という人的供給が乏しいのだと思う。主演のZiyi Zhangは、取り立てて演技が巧いわけではないが、北京で演劇学校に通っていたこともあるらしいので、モデルあがりでかわいいだけがとりえの日本人女優よりも、英語と演技の両方ができるのであろう。彼女の奔放な私生活は、中国で好みの別れるところだそうだが、着物を着ている彼女は、僕には日本人らしく写った。

 僕ら日本人にしてみると、伊東美咲や小雪の和服姿は、チャン・ツィーの和服姿よりもより大和撫子に近いと感じるかもしれない。しかし、北米人にとっては、誤差の範囲なのだ。彼らには、日本人と中国人の区別は出来ない。彼らにとっては、黒髪のAsian Beautyを表現することができれば、実際は誰でもいいのである。そういう中では、子役を演じていた、Suzuka Ohgoは、演技が上手だったと思う。

 僕にとって1番の驚きは、“水揚げ”。芸者の世界には、“水揚げ”という、処女を捧げる習慣があるそうだ。SAYURIは、1万5千円というかつてない高額がついたそうだ。現在の貨幣価値に直すと数千万円になると思われる。水揚げの金額は、芸妓のステータスを計る一つの物差しだそうだ。だけど、冷静に考えると、水揚げという行為は、売春と遜色ないのではと思ってしまった。処女の希少性、買い手が金持ちで地位の高い人であること、伝統等という言葉で、単純に美化しているように思えてならない。この世界の習慣だからという言葉で片付けてしまえば、それまでだが、処女の買い手は、人の心は金で買えると発言した、ホリエモンと大差ないのではないだろうか。結局、お金で体を買えても心は買えないということだとろう。

 Ziyi Zhangは、日本人以上におしろいや着物が似合っていたし、それなりに大和撫子を演じていたと思う。僕ら日本人は、主演が日本人でなかったことに不満を感じるよりも、この映画が日本文化を広げるきっかけになるのであれば、それこそ素晴らしいことだと思うべきなのではないだろうか。

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