Josephcunlife107の日記

ロンドン(カナダ)生活、IVEY BUSINESS SCHOOLの日常。

WBC

2006年03月19日 | カナダ
 メキシコの勝利により、棚ぼたで手に入れた準決勝の切符を、日本は見事に生かすことができた。6-0というスコアは、少々出来すぎた気もするけれど、今日の試合にかける日本選手の意気込みの結果だと思う。福留のホームランの後で、選手達が抱き合う姿は、まるで高校野球のようだった。日本のプロ野球でもあれ位全力でプレーする姿が見られたら、視聴率も上がると思うのだが。今日の勝利の立役者は、何といっても上原。テンポの良いストライク先行の投球と手元で伸びる速球は、2年前に東京ドームで見た姿とは別人だった。当時は、上原がこんなに良いピッチャーだとは、思えなかった。

 日本チームの残念な点を上げるとすれば、松井、城島、井口といったプレーヤーが参加していない事だと思う。投手力と比較すると、どうしても打線が見劣りしている感が否めない。スモールベースボールはスピード感があっていいと思うのだけど、投手戦になればホームランで点を取ることも必要になる。なにより見ている僕達が、日本の打線に物足りなさを感じてしまった。松井が居たら、イチローや松中は、もっとリラックスして打席に立てただろうし、迫力のあるシーンを沢山見ることができたのではないだろうか。

 球場内のトヨタ、コナミ、ニコン、AMPM等数多くの日本企業の広告とは対照的に、球場には、韓国人応援団が多数詰め掛けていた。日本企業のプレゼンスの大きさを改めて感じてしまう一方で、観客席に占める韓国人の多さと比較すると、エコノミックアニマル日本を感じてしまったのは、僕だけだろうか。アメリカにおける韓国移民の絶対数が多いので、仕方がないといえば仕方がないのだが。

 そんな雰囲気の中では、例の30年発言のせいもあり、イチローが打席に入った時のブーイングは、さながらアウエーだった。そういうプレッシャーの中でも、イチローのプレーは、際立っていた。そして、何より、結果を出すのだから素晴らしい。それだけに、例の30年発言には、少々疑問を覚えてしまう。イチローがどういう意図で30年発言をしたのかは分からないが、発言にはなんとなく韓国や台湾を下に見ているように感じる。日本チームは、韓国チームよりも強いかもしれないが、WBCにおける結果だけをみれば、完敗である。

 仮に、日本と韓国のチーム力に遜色がないと仮定し、同じチームが3回試合をするという仮設を立てる。そうすると、韓国が日本に3回続けて勝利する確率は、12.5%である。一方、日本が3回連続で韓国に負けない確率は、87.5%である。ということは、2回連続で韓国が勝利した後の試合では、10回の内8.7回は日本が勝利するのだから、今回負けるということは日本チームが明らかにチーム力で韓国よりも劣っていると推測することができる。故に、この試合は、ある意味で勝って当たり前であって、今回の結果だけを見て、イチローに同調して、“向こう30年間韓国は日本に勝てない”という思い上がりは慎むべきだと思う。アジアの国々が切磋琢磨した結果、野球の母国アメリカを上回る成績を残したことに、同じアジア人として誇りを持つことを僕ら日本人は考えるべきだと思う。

 アメリカのアナウンサー達が、時折イチローの30年発言と微妙な日韓関係について取り上げていた。韓国は、日本を追い越せという気持ちで野球を続けてきて、WBCでその目的を半分は達成したのだと思う。イチローが大会に参加した理由の一つは、メジャーで受けた人種差別に由来するともいわれている。いわゆる、白人至上主義である。日本にいると中々実感することは出来ないが、実際、人種差別は世界中至るところで存在する。日本人は、おとなしくて、くみしやすいので、他国の人から嫌われることは殆どないのだが、白人の中には、黄色人種、ヒスパニック、黒人を下に見ている人がいる。彼らの姿勢は、言葉や態度に如実に表れる。そういう輩は無視するに限るのだけれども、イチローは、アメリカ社会のそういった風潮を見返したかったようだが、現実難しいと思う。人種問題は、プレーが巧い下手の粋で何とかなることでは、無いと思う。

 世界第二位の経済大国となり、日本は豊かな国になった。結果、日本人は、ハングリー精神を失いつつあると思う。特に、僕らの若い世代には顕著だ。発展途上国の学生と勉強をしていると、そういうものを時々感じてしまう。世界は、急速なスピードで動いているので、今の地位に安穏としていると、いずれ日本は足元をすくわれるであろう。野球も同じで、日本はもはやアジアの盟主ではないのかもしれない。そういう事を再確認する上では、WBCは凄く良い機会だったのではないだろうか。

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