【アメリカ合衆国での初回放送日 = 2006年11月27日】※今回はタイトル通り、各キャラクターの過去が描かれる。ただし、過去に跳んだキャラにとっては現在進行形。
『Lost』ではお馴染みのフラッシュバックだが、悪役を含む全主要キャラの過去がまとめてわかるところが嬉しい。全員に同じ日に大転機が訪れるわけはないのだが、もしかすると、2006年4月24日というのは(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の場合のように)時空連続体にとって特殊な日なのかも?なお、各シーンは必ずしも時間順に並んでるわけではないようだ。
あと、ここ3話にわたってシャンドラ・シュレッシュ(『デアデビル』でエレクトラの父親役を演じたErick Avari)の活躍が描かれているのも嬉しい。本の裏表紙の「著者近影」だけで終わらせたら、もったいない役者さんだからね。
チャーリーの命を救うために「昨日」に跳んだはずの中村ヒロは6ヶ月前(2006年4月24日)のBurnt Toast Dinerに到着する。その日はちょうど、チャーリーの誕生日で、ヒロはまだ状況を把握しないまま、彼女とともに写真を撮ってもらう。(だから、あの写真では困惑した顔をしてるわけね。なお、各キャラの動きは前回のラストとは微妙に異なる。)
やはり6ヶ月前のブルックリン(NY)。シャンドラ・シュレッシュは時計修理技師のゲイブリエル・グレイを訪れる。シャンドラはゲイブリエルが「人類の次の進化の一歩を踏み出した者の1人」だと推測してやって来たのだ。ゲイブリエルはまるで時計のメカニズムが透視できるかのように、シャンドラの腕時計が数秒ズレていると判断し、その場で直してしまう。シャンドラは持論である『新進化論』(私が勝手に使っている便宜上の表現)について話し、「とにかく、これを読んでみてくれ」と自著を1冊渡す。(ゲイブリエルはなんとなく、クラーク・ケントに似ている。)
同じ日のLA。マット・パークマン巡査は交通違反を犯した女性ドライバーを停め、運転免許証と車の登録証の提示を求める。女性(イーデン!)はしゃあしゃあと、「どうせ盗んだ車だから…」と言ってのける。また、助手席には飲みかけの酒の瓶が無造作に置いてあった。CA州(もしかすると全米?)では蓋がいったん開けられた酒類の瓶や缶を車の中に入れておくこと自体(たとえ運転手自身は一滴も飲んでいなくても)、違法なのである。
マットは「車を降りなさい」と命じる。だが、イーデンはそれを拒否し、声色を変えて「あなた、本当はドーナツを食べたいのよ」と暗示をかける。マットはパトカーに戻り、ドーナツを買いに行く。イーデンが車を出そうとすると、前に謎のハイチ人(ザ・クリーナー)が立ちはだかる。
同じ日のテキサス州オデッサ。ベネット家のクレアの部屋。ジャッキーが「チアリーダーが1人辞めたのよ」と言って、クレア・ベネットに制服を渡そうとする。クレアはずっとチアリーダーを目指して、空席ができるのを待っていたのだが、突然の出来事に困惑し、躊躇する。すると、ジャッキーは本気か否か、「嫌なら良いのよ」と制服を持って去ろうとする。2人は制服を奪い合う形になり、クレアは勢い余って、棚のガラス戸に手をぶつけてしまう。ガラスが割れ、クレアは手のひらに深い傷を負う。
ベネット家の居間。ベネット夫妻がクレアの応急手当てをしながら、「救急病院に行かなきゃ」と話していると、電話が鳴る。ベネット氏が電話を取ると、相手はシャンドラ・シュレッシュと名乗り、「娘さんのことで話があります」と言う。
ラスベガスのAA(Alcoholics Anonymous=アルコール中毒者救済機関)の会合。ニキ・サンダーズ(カジノのディーラーの服装をしている)が皆の前に出て、「私はアル中です。アルコールを絶ってから、ちょうど1年が経ちました」と報告する。皆が拍手する。その中に、ニキは父、ハルの姿を見つける。ハルとニキは仲違いし、長い間会っていなかった。だが、ハルは再び父親として受け入れてほしいというのだった。
マンハッタン(NY)。ピーター・ペトレリが看護学校の卒業を家族や友人たちとともに祝っている。やがて、兄のネイサン・ペトレリ夫妻が到着する。検察局員のネイサンは「検察局長からリンダーマンを起訴しろと言われたんだが、どうしようか悩んでるんだ」と話す。リンダーマン氏は悪名高いマフィアのボスだったが、ネイサン&ピーター兄弟の父親とも取引していた。つまり、リンダーマン氏の裁判が行われれば、自分たちの父親も弾劾されることになってしまうのである。
どこかの事務所らしき部屋(ベネット氏が所有する製紙会社の建物の中?)。イーデン・マケインが椅子に縛りつけられている。ベネット氏はイーデンのこれまでの罪状を読み上げる。イーデンは殺人、放火、強盗…と、いろいろやって来たらしい。イーデンは例の暗示調の声色で「あたしを逃がしなさい」と言うが、ベネット氏には通じない。傍に立っているザ・クリーナーがイーデンの能力の効果をブロックしているのだろうか?
翌日(4/25)。テキサス州ミッドランドのBurnt Toast Diner。ヒロはチャーリーにバースデー・プレゼントを渡す。日本語のフレーズの本だ。チャーリーは本を少し見ただけで、たちまち日本語を流暢に話し出す。彼女は最近、「一度読んだものは何でも覚えてしまう」能力が芽生えたのだという。
ヒロは「君も僕も特殊能力の持ち主なんだ」と、自分の時空間操作能力について説明するが、チャーリーは信じてくれない。ヒロは両目をつぶって、力む。すると、次の瞬間、ヒロは花束を手にしており、チャーリーが客のテーブルに持って行くはずだった注文がすでに届けられていた。
同じ日。ラスベガス郊外の墓地。ニキ・サンダーズが19年前(1987年)に11歳で亡くなった双子の姉妹、ジェシカの墓参りをしていると、夫のDLが現れる。ニキは「ハルが戻って来たの」と明かす。ニキはハルを父親として受け入れるべきか否か、決めかねているのだ。
マンハッタンの高速道路。ネイサンと妻のハイディはピーターのパーティーを辞し、自宅に向かっていた(あれ?翌日じゃなかったの?ま、いっか)。ネイサンは弟のピーターが看護夫になることを快く思っておらず、「あいつは独善的だ」と決め付ける。でも、ハイディには献身的で素晴らしいことに思えるのだった。
ネイサンたちの車は3車線ある高速道路の真ん中を走っており、前後左右、他には全く車がなかった。ところが、突如、後ろに大型車が迫って来て追突する。明らかにわざとぶつけたのだ。助手席のハイディは悲鳴を上げながら、運転席を見遣る。しかし、運転席は空になっていた。ネイサンはいつの間にか宙に浮いていたのだ。運転手を失った車はそのまま前方に突っ込んでいく。
ピーターのアパート。すでに床に着いていたピーターは悪夢(?)にうなされ、飛び起きる。ネイサンたちが事故に会った夢を見たのだ。その時、電話が鳴る。ネイサンだった。本当に事故が起きたのだ。ハイディは手術中だという。
病院。ピーターはネイサンに夢のことを話し、「もう1台の車が関わってたんだろう?」と訊く。ネイサンは最初、否定するが、やがて、ピーターが正しいことを認める。その車に乗っていたのはリンダーマンの手の者に違いない。ネイサンが起訴を検討していると知り、脅しをかけて来た(殺そうとした?)のだ。
Burnt Toast Diner。「未来から来た」というヒロがチャーリーの前に現れてから、しばらく経っていた(数日?数週間?数ヶ月?)。だが、チャーリーはヒロの能力のことをまだ信じていない。ヒロは「日本には折り紙っていうのがあるだろ?千羽鶴を折った者は願いが1つだけ叶うと言われてるんだ」(ちょっと違うけど…)と言い、両目をつぶって力む。すると、次の瞬間、天井から千羽の鶴がぶら下がっていた。チャーリーは驚く。(いくら、時間を止めたとはいえ、千羽鶴を1人で折るのは大変だよ。あらかじめ、折ってあったのかな?)
ヒロは日本行きの航空券をチャーリーに渡し、「日本に行ってほしい」と頼む。運命の日(10/24頃)に日本にいれば、殺されることもないだろう。チャーリーは承諾する。チャーリーが「でも、1枚しかないの?」と訊くと、ヒロは恥ずかしそうに「念のため、もう1枚買っといたんだ」と答え、自分の航空券を出す。(これって、『あいのり』みたい!?)
ブルックリン。シャンドラのアパート。シャンドラはゲイブリエルにさまざまな検査を施すが、「健康」だという事実を除いて特に変わったところはなかった。シャンドラが「君には特殊能力はないのかもしれない」と言うと、ゲイブリエルは怒り、飛び出して行く。その際、ゲイブリエルはシャンドラのファイルに貼り付けてあったメモ(Stick-It Note)の「Brian Davis」という名前を記憶に焼き付ける。シャンドラによると、ブライアン・デイヴィスは念力者らしい。
ゲイブリエルと入れ違いにベネット氏がシャンドラを訪れる。この時、ベネット氏はアパート・ビルから出て来たゲイブリエル(=サイラー)を見かけるのだが、まさか、近い将来、その男が自分の娘を狙うことになるなんて予想できただろうか?
シャンドラはベネット氏に特殊能力者の分布図を見せる。シャンドラは自分がこれと睨んだ特殊能力者やその候補者をリストアップしたコンピュータ・データベースを作っており、壁の分布図には各自の名前と写真が貼ってある。クレア・ベネットの写真は彼女の高校のウェブサイトから入手したのだという。シャンドラはクレアに会いたがるが、ベネット氏は「妻や娘がどんな反応を示すか心配」という態度で返事を保留する。
ラスベガス郊外のニキたちの家。夕食後、ハルはマイカにノートパソコンをプレゼントする。マイカがそれを持って自室に下がった後、ニキとDLは「マイカを私立学校に通わせたいんだけど、お金がないんです」という話を持ち出す。ハルは「お金なら、いくらでも出してあげるよ」と快諾する。
マイカの部屋。ハルが様子を見に来る。だが、マイカはノートパソコンでゲームやインターネットを楽しんでいるわけではなく、なんと、解体していた。ハルは「2000ドルもしたのに!」と怒る。騒ぎを聞きつけたニキとDLはハルの態度に不快感を示す。孫に向かって怒鳴るなんて…やはり、ハルを受け入れるのは間違いだったんだろうか?ハルは居たたまれなれなくなり、小切手をニキに叩きつけるように渡し、立ち去る。
ホテル。ハルの部屋をニキ…いや、ジェシカが訪れる。ジェシカはハルの首を圧迫しながら、自分がハルに殺された時のことを話す。ハルは昔からアル中で怒りっぽかったが、19年前のあの日、酔っ払った勢いでジェシカを絞め殺してしまったのだった。でも、ニキはそのことを知らない。ジェシカは小切手を丸めてハルの口に突っ込み、「二度とあたしたちの前に現れないでちょうだい」と言って、去って行く。
テキサス州オデッサ。ベネット氏が帰宅すると、クレアは自室でチアリーダーの練習をしていた。クレアは「チアリーダーになることによって、ジャッキーみたいなb*tchになっちゃうんじゃないかしら?」と心配していたが、ベネット氏は「チアリーダーであろうとなかろうと、問題は自分がどういう人間かっていうことさ」と励ます。
ベネット氏が「手の方はどうだい?」と訊くと、クレアは「痛みは引いたけど…」と言いながら包帯を外す。すると、なんと、あれだけヒドかった傷が何事もなかったかのように完治していた。
LA。マットは妻のジャニスに「刑事昇格試験にまた落ちた」と報告する。マットは答は全部わかっているのだが、失読症(dyslexia)で読み書きがまともにできないため、筆記試験は苦手なのである。ジャニスは「本当のことを話せば(理解を示してくれるのでは)?」と、慰めようとする。だが、マットは「自分にはジャニスに愛される価値がない」と勝手に思い込み、結果的にジャニスを拒絶する形になってしまう。この会話の際、マットにはジャニスの心の声が一瞬聞こえるのだが、この時点ではまだ、それとは気付かない。
マンハッタン。ピーターのアパート。ピーターはスーツを着、裁判所に赴く準備をしていた。今日、自分の父にとって不利になるとわかっている宣誓証言をすることになっているのだ。やがて、ネイサンが迎えに来た…と思ったら、「父さんは今朝、心臓発作で死んじゃったよ」と告げる。父は息子たちが自分を裏切ろうとしていることを知らないまま、死んでしまったのである。
Burnt Toast Diner(この場所しかないの?ヒロはどこに寝泊りしてるのかな?)。チャーリーは「あなたが現れてから、ずっと幸せよ」と言う。ヒロにとっても、チャーリーとともに過ごす時間は幸せに満ちていた。だが、チャーリーは「実はあたし、脳の中に血の塊があって、もうすぐ死ぬ事になってるの」と打ち明ける。ヒロはショックを受ける。チャーリーはいずれにせよ、死ぬ運命にあったのだ。(このあたりになると、ヒロの英語がかなり上達している?)
チャーリーは日本語で「愛してる」と告白する。ヒロも同じ気持ちだった。チャーリーが目を閉じ、キスを待つ。ヒロも目を閉じ、キスしようとする…が、目を開けると、そこは東京のビルの屋上だった。ちょうど、屋上に敷き詰められた人工芝の上で同僚たちが体操しているところだった。同僚の1人が「あれ?休暇でアメリカに行ってるんじゃなかったの?」と言う。なんと、元の時間に戻って来てしまったのである。(キス直前にタイムリープしてしまうなんて、可哀相。)
ブルックリン。ゲイブリエルが工房で腕時計の修理をしていると、ブライアン・デイヴィスが現れる。ゲイブリエルに呼ばれて来たのだ。ゲイブリエルは「私の名前は…」と言いかけて腕時計の文字盤に目をやる。その時計は「SYLAR」という銘柄だ。ゲイブリエルはあらためて、「私の名前はサイラーです」と自己紹介する。
ブライアンはテーブルの上に置かれたコップを念力で移動させてみせる。だが、彼はその特殊能力を失くしてしまいたいのだという。ブライアンは気弱で、「自分が普通ではない」という事実が重荷になっているのだ。しかし、ゲイブリエル…いや、サイラーには「せっかくの能力を失くしたいなんて、とんでもない」と思えるのだった。
その瞬間、サイラーにはブライアンの頭の構造が手に取るように見えた…時計の故障を見抜くのと同じように。サイラーは「君は壊れてるんだ。大丈夫、治してあげるよ。進化にとって必要なことなのさ」と言いながら、ブライアンの頭を後ろから殴る。ブライアンは血を流しながら倒れる。(そうか、サイラーは他の特殊能力者たちを「治してあげてる」つもりだったのか…。「特殊能力者=奇形」に見えるというわけだ。)
テキサス州(?)。イーデンはベネット氏に協力することにする。彼女の最初の任務はシャンドラ・シュレッシュに接触し、特殊能力者リストからクレアの名前を削除することだ。
ブルックリン。シャンドラのアパート。ゲイブリエル(サイラー)は念力を使い、テーブルの上のコップを動かす…ブライアンがそうしたのと同じように。だが、勢い余り、コップは壁に向かって飛んで割れてしまう。ゲイブリエル(サイラー)はあらためて、「先日は怒ったりして、すみませんでした」と謝る。ゲイブリエル(サイラー)はさらに、「今の私は違うんです。まるで生まれ変わったようです」と目を輝かせる。
そして、ゲイブリエル(サイラー)壁に貼られている特殊能力者の分布図を示し、「私にはこれらの全ての人々の存在を感じることができます。彼らは自分の本当の才能が開花する時を待っているのです。あなたと私で一緒に彼らを見つけてあげましょう」と、使命に燃えるのだった。
現在。Burnt Toast Diner。ヒロが戻って来る。安藤は歓喜して抱きつく。奥の壁際にあるチャーリーの遺影はそのままだ。ヒロは「チャーリーの命を救えなかった」と嘆く。安藤は「もう1回、過去に戻ってやり直せばいいじゃないか」と言うが、ヒロは「たとえ、何度やっても、過去を変えることはできない」という結論に達していた。たとえ超能力を使っても、時間の流れを変えることは不可能なのだ。でも、未来のヒロはそう思ってないようだし、現にクレアを救うことに成功してるのだが…。(ところで、ヒロは安藤に「バスで戻って来た」と言ってるんだけど、東京からは再び飛行機で来たのかな?)
いやあ、ますます面白くなってきた。特にサイラーの行動原理がわかったのが(視聴者にとっては)大きな収穫だ…サイラーの正体に関する推理は大ハズレだったけど。ただ、彼が他者の能力をどうやって盗んでいるのかはまだ明確にされていない。(脳を食べてたりして!?)
また、マットやネイサンやピーターの能力は意外と早い時期に芽生えていたようだ。
★名言・迷言集
【その1】
Mr. Bennett: (イーデンに) No person in the world can say, "No." to you. Now there is.
【その2】
Nathan Petrelli: (ピーターに) Dad's dead. He had a heart attack this morning. Take comfort in the fact that he didn't know his sons were about to stab him in the back.
【その3】
Gabriel Gray (Sylar): (ブライアンに) You're broken. Don't worry. I can fix it. It's an evolutionary imperative.
【その4】
Gabriel Gray (Sylar): (シャンドラに) I'm different now. I feel like I've been given a chance to start over. New life. New identity. New purpose.
『Lost』ではお馴染みのフラッシュバックだが、悪役を含む全主要キャラの過去がまとめてわかるところが嬉しい。全員に同じ日に大転機が訪れるわけはないのだが、もしかすると、2006年4月24日というのは(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の場合のように)時空連続体にとって特殊な日なのかも?なお、各シーンは必ずしも時間順に並んでるわけではないようだ。
あと、ここ3話にわたってシャンドラ・シュレッシュ(『デアデビル』でエレクトラの父親役を演じたErick Avari)の活躍が描かれているのも嬉しい。本の裏表紙の「著者近影」だけで終わらせたら、もったいない役者さんだからね。
チャーリーの命を救うために「昨日」に跳んだはずの中村ヒロは6ヶ月前(2006年4月24日)のBurnt Toast Dinerに到着する。その日はちょうど、チャーリーの誕生日で、ヒロはまだ状況を把握しないまま、彼女とともに写真を撮ってもらう。(だから、あの写真では困惑した顔をしてるわけね。なお、各キャラの動きは前回のラストとは微妙に異なる。)
やはり6ヶ月前のブルックリン(NY)。シャンドラ・シュレッシュは時計修理技師のゲイブリエル・グレイを訪れる。シャンドラはゲイブリエルが「人類の次の進化の一歩を踏み出した者の1人」だと推測してやって来たのだ。ゲイブリエルはまるで時計のメカニズムが透視できるかのように、シャンドラの腕時計が数秒ズレていると判断し、その場で直してしまう。シャンドラは持論である『新進化論』(私が勝手に使っている便宜上の表現)について話し、「とにかく、これを読んでみてくれ」と自著を1冊渡す。(ゲイブリエルはなんとなく、クラーク・ケントに似ている。)
同じ日のLA。マット・パークマン巡査は交通違反を犯した女性ドライバーを停め、運転免許証と車の登録証の提示を求める。女性(イーデン!)はしゃあしゃあと、「どうせ盗んだ車だから…」と言ってのける。また、助手席には飲みかけの酒の瓶が無造作に置いてあった。CA州(もしかすると全米?)では蓋がいったん開けられた酒類の瓶や缶を車の中に入れておくこと自体(たとえ運転手自身は一滴も飲んでいなくても)、違法なのである。
マットは「車を降りなさい」と命じる。だが、イーデンはそれを拒否し、声色を変えて「あなた、本当はドーナツを食べたいのよ」と暗示をかける。マットはパトカーに戻り、ドーナツを買いに行く。イーデンが車を出そうとすると、前に謎のハイチ人(ザ・クリーナー)が立ちはだかる。
同じ日のテキサス州オデッサ。ベネット家のクレアの部屋。ジャッキーが「チアリーダーが1人辞めたのよ」と言って、クレア・ベネットに制服を渡そうとする。クレアはずっとチアリーダーを目指して、空席ができるのを待っていたのだが、突然の出来事に困惑し、躊躇する。すると、ジャッキーは本気か否か、「嫌なら良いのよ」と制服を持って去ろうとする。2人は制服を奪い合う形になり、クレアは勢い余って、棚のガラス戸に手をぶつけてしまう。ガラスが割れ、クレアは手のひらに深い傷を負う。
ベネット家の居間。ベネット夫妻がクレアの応急手当てをしながら、「救急病院に行かなきゃ」と話していると、電話が鳴る。ベネット氏が電話を取ると、相手はシャンドラ・シュレッシュと名乗り、「娘さんのことで話があります」と言う。
ラスベガスのAA(Alcoholics Anonymous=アルコール中毒者救済機関)の会合。ニキ・サンダーズ(カジノのディーラーの服装をしている)が皆の前に出て、「私はアル中です。アルコールを絶ってから、ちょうど1年が経ちました」と報告する。皆が拍手する。その中に、ニキは父、ハルの姿を見つける。ハルとニキは仲違いし、長い間会っていなかった。だが、ハルは再び父親として受け入れてほしいというのだった。
マンハッタン(NY)。ピーター・ペトレリが看護学校の卒業を家族や友人たちとともに祝っている。やがて、兄のネイサン・ペトレリ夫妻が到着する。検察局員のネイサンは「検察局長からリンダーマンを起訴しろと言われたんだが、どうしようか悩んでるんだ」と話す。リンダーマン氏は悪名高いマフィアのボスだったが、ネイサン&ピーター兄弟の父親とも取引していた。つまり、リンダーマン氏の裁判が行われれば、自分たちの父親も弾劾されることになってしまうのである。
どこかの事務所らしき部屋(ベネット氏が所有する製紙会社の建物の中?)。イーデン・マケインが椅子に縛りつけられている。ベネット氏はイーデンのこれまでの罪状を読み上げる。イーデンは殺人、放火、強盗…と、いろいろやって来たらしい。イーデンは例の暗示調の声色で「あたしを逃がしなさい」と言うが、ベネット氏には通じない。傍に立っているザ・クリーナーがイーデンの能力の効果をブロックしているのだろうか?
翌日(4/25)。テキサス州ミッドランドのBurnt Toast Diner。ヒロはチャーリーにバースデー・プレゼントを渡す。日本語のフレーズの本だ。チャーリーは本を少し見ただけで、たちまち日本語を流暢に話し出す。彼女は最近、「一度読んだものは何でも覚えてしまう」能力が芽生えたのだという。
ヒロは「君も僕も特殊能力の持ち主なんだ」と、自分の時空間操作能力について説明するが、チャーリーは信じてくれない。ヒロは両目をつぶって、力む。すると、次の瞬間、ヒロは花束を手にしており、チャーリーが客のテーブルに持って行くはずだった注文がすでに届けられていた。
同じ日。ラスベガス郊外の墓地。ニキ・サンダーズが19年前(1987年)に11歳で亡くなった双子の姉妹、ジェシカの墓参りをしていると、夫のDLが現れる。ニキは「ハルが戻って来たの」と明かす。ニキはハルを父親として受け入れるべきか否か、決めかねているのだ。
マンハッタンの高速道路。ネイサンと妻のハイディはピーターのパーティーを辞し、自宅に向かっていた(あれ?翌日じゃなかったの?ま、いっか)。ネイサンは弟のピーターが看護夫になることを快く思っておらず、「あいつは独善的だ」と決め付ける。でも、ハイディには献身的で素晴らしいことに思えるのだった。
ネイサンたちの車は3車線ある高速道路の真ん中を走っており、前後左右、他には全く車がなかった。ところが、突如、後ろに大型車が迫って来て追突する。明らかにわざとぶつけたのだ。助手席のハイディは悲鳴を上げながら、運転席を見遣る。しかし、運転席は空になっていた。ネイサンはいつの間にか宙に浮いていたのだ。運転手を失った車はそのまま前方に突っ込んでいく。
ピーターのアパート。すでに床に着いていたピーターは悪夢(?)にうなされ、飛び起きる。ネイサンたちが事故に会った夢を見たのだ。その時、電話が鳴る。ネイサンだった。本当に事故が起きたのだ。ハイディは手術中だという。
病院。ピーターはネイサンに夢のことを話し、「もう1台の車が関わってたんだろう?」と訊く。ネイサンは最初、否定するが、やがて、ピーターが正しいことを認める。その車に乗っていたのはリンダーマンの手の者に違いない。ネイサンが起訴を検討していると知り、脅しをかけて来た(殺そうとした?)のだ。
Burnt Toast Diner。「未来から来た」というヒロがチャーリーの前に現れてから、しばらく経っていた(数日?数週間?数ヶ月?)。だが、チャーリーはヒロの能力のことをまだ信じていない。ヒロは「日本には折り紙っていうのがあるだろ?千羽鶴を折った者は願いが1つだけ叶うと言われてるんだ」(ちょっと違うけど…)と言い、両目をつぶって力む。すると、次の瞬間、天井から千羽の鶴がぶら下がっていた。チャーリーは驚く。(いくら、時間を止めたとはいえ、千羽鶴を1人で折るのは大変だよ。あらかじめ、折ってあったのかな?)
ヒロは日本行きの航空券をチャーリーに渡し、「日本に行ってほしい」と頼む。運命の日(10/24頃)に日本にいれば、殺されることもないだろう。チャーリーは承諾する。チャーリーが「でも、1枚しかないの?」と訊くと、ヒロは恥ずかしそうに「念のため、もう1枚買っといたんだ」と答え、自分の航空券を出す。(これって、『あいのり』みたい!?)
ブルックリン。シャンドラのアパート。シャンドラはゲイブリエルにさまざまな検査を施すが、「健康」だという事実を除いて特に変わったところはなかった。シャンドラが「君には特殊能力はないのかもしれない」と言うと、ゲイブリエルは怒り、飛び出して行く。その際、ゲイブリエルはシャンドラのファイルに貼り付けてあったメモ(Stick-It Note)の「Brian Davis」という名前を記憶に焼き付ける。シャンドラによると、ブライアン・デイヴィスは念力者らしい。
ゲイブリエルと入れ違いにベネット氏がシャンドラを訪れる。この時、ベネット氏はアパート・ビルから出て来たゲイブリエル(=サイラー)を見かけるのだが、まさか、近い将来、その男が自分の娘を狙うことになるなんて予想できただろうか?
シャンドラはベネット氏に特殊能力者の分布図を見せる。シャンドラは自分がこれと睨んだ特殊能力者やその候補者をリストアップしたコンピュータ・データベースを作っており、壁の分布図には各自の名前と写真が貼ってある。クレア・ベネットの写真は彼女の高校のウェブサイトから入手したのだという。シャンドラはクレアに会いたがるが、ベネット氏は「妻や娘がどんな反応を示すか心配」という態度で返事を保留する。
ラスベガス郊外のニキたちの家。夕食後、ハルはマイカにノートパソコンをプレゼントする。マイカがそれを持って自室に下がった後、ニキとDLは「マイカを私立学校に通わせたいんだけど、お金がないんです」という話を持ち出す。ハルは「お金なら、いくらでも出してあげるよ」と快諾する。
マイカの部屋。ハルが様子を見に来る。だが、マイカはノートパソコンでゲームやインターネットを楽しんでいるわけではなく、なんと、解体していた。ハルは「2000ドルもしたのに!」と怒る。騒ぎを聞きつけたニキとDLはハルの態度に不快感を示す。孫に向かって怒鳴るなんて…やはり、ハルを受け入れるのは間違いだったんだろうか?ハルは居たたまれなれなくなり、小切手をニキに叩きつけるように渡し、立ち去る。
ホテル。ハルの部屋をニキ…いや、ジェシカが訪れる。ジェシカはハルの首を圧迫しながら、自分がハルに殺された時のことを話す。ハルは昔からアル中で怒りっぽかったが、19年前のあの日、酔っ払った勢いでジェシカを絞め殺してしまったのだった。でも、ニキはそのことを知らない。ジェシカは小切手を丸めてハルの口に突っ込み、「二度とあたしたちの前に現れないでちょうだい」と言って、去って行く。
テキサス州オデッサ。ベネット氏が帰宅すると、クレアは自室でチアリーダーの練習をしていた。クレアは「チアリーダーになることによって、ジャッキーみたいなb*tchになっちゃうんじゃないかしら?」と心配していたが、ベネット氏は「チアリーダーであろうとなかろうと、問題は自分がどういう人間かっていうことさ」と励ます。
ベネット氏が「手の方はどうだい?」と訊くと、クレアは「痛みは引いたけど…」と言いながら包帯を外す。すると、なんと、あれだけヒドかった傷が何事もなかったかのように完治していた。
LA。マットは妻のジャニスに「刑事昇格試験にまた落ちた」と報告する。マットは答は全部わかっているのだが、失読症(dyslexia)で読み書きがまともにできないため、筆記試験は苦手なのである。ジャニスは「本当のことを話せば(理解を示してくれるのでは)?」と、慰めようとする。だが、マットは「自分にはジャニスに愛される価値がない」と勝手に思い込み、結果的にジャニスを拒絶する形になってしまう。この会話の際、マットにはジャニスの心の声が一瞬聞こえるのだが、この時点ではまだ、それとは気付かない。
マンハッタン。ピーターのアパート。ピーターはスーツを着、裁判所に赴く準備をしていた。今日、自分の父にとって不利になるとわかっている宣誓証言をすることになっているのだ。やがて、ネイサンが迎えに来た…と思ったら、「父さんは今朝、心臓発作で死んじゃったよ」と告げる。父は息子たちが自分を裏切ろうとしていることを知らないまま、死んでしまったのである。
Burnt Toast Diner(この場所しかないの?ヒロはどこに寝泊りしてるのかな?)。チャーリーは「あなたが現れてから、ずっと幸せよ」と言う。ヒロにとっても、チャーリーとともに過ごす時間は幸せに満ちていた。だが、チャーリーは「実はあたし、脳の中に血の塊があって、もうすぐ死ぬ事になってるの」と打ち明ける。ヒロはショックを受ける。チャーリーはいずれにせよ、死ぬ運命にあったのだ。(このあたりになると、ヒロの英語がかなり上達している?)
チャーリーは日本語で「愛してる」と告白する。ヒロも同じ気持ちだった。チャーリーが目を閉じ、キスを待つ。ヒロも目を閉じ、キスしようとする…が、目を開けると、そこは東京のビルの屋上だった。ちょうど、屋上に敷き詰められた人工芝の上で同僚たちが体操しているところだった。同僚の1人が「あれ?休暇でアメリカに行ってるんじゃなかったの?」と言う。なんと、元の時間に戻って来てしまったのである。(キス直前にタイムリープしてしまうなんて、可哀相。)
ブルックリン。ゲイブリエルが工房で腕時計の修理をしていると、ブライアン・デイヴィスが現れる。ゲイブリエルに呼ばれて来たのだ。ゲイブリエルは「私の名前は…」と言いかけて腕時計の文字盤に目をやる。その時計は「SYLAR」という銘柄だ。ゲイブリエルはあらためて、「私の名前はサイラーです」と自己紹介する。
ブライアンはテーブルの上に置かれたコップを念力で移動させてみせる。だが、彼はその特殊能力を失くしてしまいたいのだという。ブライアンは気弱で、「自分が普通ではない」という事実が重荷になっているのだ。しかし、ゲイブリエル…いや、サイラーには「せっかくの能力を失くしたいなんて、とんでもない」と思えるのだった。
その瞬間、サイラーにはブライアンの頭の構造が手に取るように見えた…時計の故障を見抜くのと同じように。サイラーは「君は壊れてるんだ。大丈夫、治してあげるよ。進化にとって必要なことなのさ」と言いながら、ブライアンの頭を後ろから殴る。ブライアンは血を流しながら倒れる。(そうか、サイラーは他の特殊能力者たちを「治してあげてる」つもりだったのか…。「特殊能力者=奇形」に見えるというわけだ。)
テキサス州(?)。イーデンはベネット氏に協力することにする。彼女の最初の任務はシャンドラ・シュレッシュに接触し、特殊能力者リストからクレアの名前を削除することだ。
ブルックリン。シャンドラのアパート。ゲイブリエル(サイラー)は念力を使い、テーブルの上のコップを動かす…ブライアンがそうしたのと同じように。だが、勢い余り、コップは壁に向かって飛んで割れてしまう。ゲイブリエル(サイラー)はあらためて、「先日は怒ったりして、すみませんでした」と謝る。ゲイブリエル(サイラー)はさらに、「今の私は違うんです。まるで生まれ変わったようです」と目を輝かせる。
そして、ゲイブリエル(サイラー)壁に貼られている特殊能力者の分布図を示し、「私にはこれらの全ての人々の存在を感じることができます。彼らは自分の本当の才能が開花する時を待っているのです。あなたと私で一緒に彼らを見つけてあげましょう」と、使命に燃えるのだった。
現在。Burnt Toast Diner。ヒロが戻って来る。安藤は歓喜して抱きつく。奥の壁際にあるチャーリーの遺影はそのままだ。ヒロは「チャーリーの命を救えなかった」と嘆く。安藤は「もう1回、過去に戻ってやり直せばいいじゃないか」と言うが、ヒロは「たとえ、何度やっても、過去を変えることはできない」という結論に達していた。たとえ超能力を使っても、時間の流れを変えることは不可能なのだ。でも、未来のヒロはそう思ってないようだし、現にクレアを救うことに成功してるのだが…。(ところで、ヒロは安藤に「バスで戻って来た」と言ってるんだけど、東京からは再び飛行機で来たのかな?)
いやあ、ますます面白くなってきた。特にサイラーの行動原理がわかったのが(視聴者にとっては)大きな収穫だ…サイラーの正体に関する推理は大ハズレだったけど。ただ、彼が他者の能力をどうやって盗んでいるのかはまだ明確にされていない。(脳を食べてたりして!?)
また、マットやネイサンやピーターの能力は意外と早い時期に芽生えていたようだ。
★名言・迷言集
【その1】
Mr. Bennett: (イーデンに) No person in the world can say, "No." to you. Now there is.
【その2】
Nathan Petrelli: (ピーターに) Dad's dead. He had a heart attack this morning. Take comfort in the fact that he didn't know his sons were about to stab him in the back.
【その3】
Gabriel Gray (Sylar): (ブライアンに) You're broken. Don't worry. I can fix it. It's an evolutionary imperative.
【その4】
Gabriel Gray (Sylar): (シャンドラに) I'm different now. I feel like I've been given a chance to start over. New life. New identity. New purpose.
サイラーはどうやって能力を取り入れているのかが一番気になります。
ニキの母親そういえば登場しませんが、ニキの母にも能力があるのですかね。
とするとネイサンとピーターは兄弟で能力を持っているなら父親にもあった?
あっ、ピーターの夢(ヴィジョン)は近くに能力者がいた可能性が高いですよね。まさか、サンジョブ少年?
Nikkiパパはyou don't "remember" anythingとdidn't seeでもdon't knowでもないセリフを言っていたのですが、あれはJessica殺害のシーンのことなんでしょうか。記憶がないというのとJessicaに関連があるのかなあ、と思いました。
アンドー君ずっと待ってたの? Heidiは空飛ぶご主人を覚えているの? Peterは近くに能力者がいたの? など疑問いっぱいですが、楽しいですね。でも、Mattはいつも悲しい...