「国産ワイン」2年後になくなる 8割以上が輸入果汁で製造
国税庁は15年10月に、国産ブドウ100%を使用したものを「日本ワイン」と定める新たな表示基準を定めていた。今回の調査はその決定を受けたもので、「国内でワインの製造状況を具体的に調べたのは初めて」(国税庁酒税課)という。
国産ブドウ100%使用だけを「日本ワイン」に
調査は16年3月末時点でワインを製造する261業者が対象で、247業者から回答を得た。その結果によれば、国内で15年度に製造されたワインの総量は約10万900キロリットル。そのうち「日本ワイン」は約1万8600キロで、全体の18.4%にとどまった。
残りの8万2300キロ(81.6%)は、海外から輸入した濃縮ブドウ果汁を原料として使用したものだ。実は、現状のルールではこうした輸入原料を使用したワインも、「国産」として販売することが可能になっている。
現状のルールでは、国内で製造されたワインであれば何であっても「国産ワイン」という分類になるためだ。国税庁酒税課の担当者は11月25日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「『日本ワイン』などの新しい表示基準が適用されるのは、2018年の10月からです。現在は移行期間ですので、新しい表示基準を適用している業者もあれば、まだ対応がない業者もあるというのが現状です」
と話す。なお、表示基準を設定してから3年の移行期間を置いたのは、製造から販売までに「寝かせる」工程があるワインの特性に合わせたためだという。
新しい表示基準の適用後は「国産ワイン」という表示はなくなり、全て「国内製造ワイン」という名称に変更される。
大手の製造業者には「影響が大きい」
「日本ワイン」という新しい分類が定められたことを受け、国内のワイン業界にはどのような影響が出ているのだろうか。日本ワイナリー協会の事務局長は取材に対し、
「実は、国産原料を100%使用したワインを作っているのは、地方の中小ワイナリーが多いんです。どちらかといえば、大手の製造業者に与える影響の方が大きいと思います」
と話す。また、こうした明確なルールが決まったことで国産ブドウの需要は増加しており、それを受けて新たに栽培を始める農家も出ているという。
なお、国税庁の今回の調査では、国内に流通しているワインの種類別の割合も算出している。それによると、全体の70.3%が輸入ワインで、国産ワインは29.7%。全体のうち、「日本ワイン」に該当するものは3.7%だった。