ハイパーインフレ危機のベネズエラ|仮想通貨ペトロを公式通貨へ
18/08/17 10:44 CoinHack
https://coinhack.jp/media/articles/2088
2018年中にも最大100万%のインフレが見込まれる南米国ベネズエラ。自国通貨ボリバル・フエルテの安定を
図るため、2018年8月20日から1週間、仮想通貨ぺトロとの交換を可能にしました。
この先、自国通貨が安定しにくい特に社会主義国を中心に、仮想通貨を自国通貨の代替手段として発行することも
多くなるでしょう。 今回のベネズエラ危機、将来の仮想通貨市場にはどのような影響を与えるのでしょう。
ベネズエラ政府公表|自国通貨とペトロの兌換(ダカン)制
仮想通貨ペトロを活用へ
大手仮想通貨ニュースサイト「クリプトニュース(cryptonews)」は2018年8月14日、ベネズエラで
現在流通している自国通貨ボリバル・フエルテと、独自に発行した仮想通貨ぺトロを、8月20日から1週間を目途に
交換可能とすることを発表しました。
一国が仮想通貨を発行することは世界的に見ても珍しく、ベネズエラ政府はペトロとボリバル・フエルテを交換
することで自国経済の安定化、物価の回復が期待できると踏んでいます。
ドラリゼーションに踏み切れなかったベネズエラ政府
ベネズエラは社会主義国であり、政府と企業との癒着、ワイロ、中央官僚による税金の浪費などが影響し自国経済を
傷付けています。日本経済新聞が発表した記事によると、2018年内にもベネズエラの物価上昇率は100万%に
達するとの試算があります。
トラリゼーション:自国の通貨を廃止し、米ドルに置き換えること。もしくは自国通貨のほかにドルも公式通貨として認めること
ハイパーインフレにより、年内にも物価上昇率が年率100万%に達することが予想される南米ベネズエラ。
国際通貨基金(IMF)は第1次世界大戦後のドイツなど歴史上の事例になぞらえて
「経済と社会の危機」と評した。世界有数の産油国は今、貨幣経済崩壊の瀬戸際に立つ。
また、ベネズエラは政治的な問題でアメリカとは犬猿の仲。
通常、物価上昇率が1,000%や10,000%を超えるハイパーインフレになるとドラリゼーションという施策が取られます。
ドラリゼーションとは、自国通貨をアメリカドルに交換することで物価高騰を避ける方法ですが、通貨発行権はアメリカに
委ねられるため、当然ですが仲の悪いベネズエラには許可が与えられません。
そこで、「誰でも自由に発行できる」仮想通貨に対して選択肢が芽生えたのです。
2018年2月20日に独自通貨ぺトロ発行
仮想通貨ペトロは、2017年12月にベネズエラ政府から公表があり、2018年2月に発行されました。
仮想通貨なので、もちろん取引所で売買ができますし、送金アドレスが分かれば世界どこでも
お金を送ることができます。
2018年8月14日、ベネズエラ政府は自国通貨ボリバル・フエルテとペトロを均等に交換すると通知しました。
ペトロの特徴は通貨価値が原油1バレルの価値と連動していること。つまり、1ペトロ=1バレル価格になるように
常に調整が行われます。
ただ、問題はボリバル通貨とペトロとの交換が行われてベネズエラ経済がどうなるかよりも、この通貨危機によって
今後の仮想通貨市場はどうなっていくか、ということです。
仮想通貨は一極集中に動きだす
一国が公式的に仮想通貨を生み出す、ベネズエラのペトロ発行と自国通貨との交換を公式発表したことは、
今後の仮想通貨に大きな影響をもたらすでしょう。
実は既に世界では、巨大な組織によって仮想通貨を発行する動きが続々と見られます。
例えばトルコの民主主義者行動党(MHP)の副議長、アフメト・ケナン・タンリクス氏は、
「トルココイン(Turkcoin)」という名称で国家が管理する新通貨を発表する報告書を提出しました。
また、マーシャル諸島共和国では独自通貨「ソブリン(SOV)」を発行するための法案が可決。
他にもアメリカのカリフォルニア州やアリゾナ州が積極的に独自通貨を取り入れようとするなど、
世界的に仮想通貨発行の動きが加速しているのです。
今までの仮想通貨は、個人や小規模組織、団体などが発行することが主流でした。
しかし、今回のベネズエラのように国家をあげて通貨発行が主流になってくると、
社会主義の思想や中央集権的な考えなどがより深く仮想通貨の中に組み込まれてくるかもしれません。
Petro Announced as Official Currency in Venezuela(cryptonews)
缶詰も買えない 100万%インフレのベネズエラ