韓国近海、乱獲と気候変化で漁獲量急減
2017/02/12 06:06 朝鮮日報
昨年韓国の沿海や近海での魚の水揚げ量が92万3000トンにとどまった。100万トンを下回るのは1972年以来44年ぶりだ。海洋水産部(省に相当)と韓国海洋水産開発院は、乱獲、気候変化、水温上昇による魚の移動などで水揚げ量が急減したとの見方を示した。沿海や近海での水揚げ量は1986年の172万トンをピークに減少を続けている。
■タチウオ、サバなど漁獲量急減
韓国政府と学界は韓国近海に生息する魚の個体数そのものが減少しているとみている。魚のサイズも小さくなり、産卵開始年齢も早まっているという。魚は群れの個体数が減少すると、種を維持するために早熟化する傾向がある。近年は漁業設備や漁法が発達しているにもかかわらず、総漁獲量は減り続けており、漁船1隻当たりの漁獲量も急減している。
種類別ではサバ、イカ、タチウオ、イシモチ、ワタリガニなどの漁獲量が大幅に減っている。サバは1990年代に比べ33%減少。イカは16%、タチウオは50%減少した。昨年は平年に比べ、漁獲量がイシモチで50%、ワタリガニで50%、カレイで36%、ズワイガニで30%、コノシロで41%減少した。
■主因は乱獲
魚の個体数が減少した主因は乱獲だ。学界は韓国の漁船数が適正水準よりも11-17%多いとみている。魚の繁殖速度よりも漁獲されるペースが速いことになる。特に幼魚を多く漁獲することが問題として指摘される。幼魚の漁獲割合はタチウオで84%、イシモチで52%(15年)に達する。幼魚は主に養殖場にえさ用として販売される。養殖場に売られた幼魚は15年には47万トンだったが、これは同年の漁獲量の44%に達する量だ。
中国の違法操業漁船による被害も大きい。中国漁船は韓国海域で魚を根こそぎ取っている。韓国海洋水産開発院は中国の違法操業漁船による被害を年間10万-65万トンとみている。その上、多くの魚種では黒潮に乗って中国沖を経て、韓国海域に到達するため、違法操業でなくても中国の漁獲量が増えれば増えるほど、韓国の漁獲量は減少する。海に投棄された網にかかった魚が死ぬケースや埋め立てなどで魚の生息環境が変化していることも漁獲量減少の一因だ。気候変化で海水温が上昇し、本来韓国沖に生息していた魚が北へ移動していることも問題だ。
■魚が値上がり、政府が対策検討
漁獲量の減少で魚の価格が大幅に値上がりしている。統計庁によると、昨年の魚類・貝類の消費者物価上昇率は3.1%で、全体の上昇率(1.0%)を大きく上回った。政府は禁漁期を設定したり、網の穴の大きさを制限したりするなど水産資源保護対策を講じているが、効果は限定的だ。
海洋水産部関係者は「90年代初めまで、水産資源を保護すべきだという認識自体がなかった。漁民を説得しなければならないという現実的問題もある」と話した。海洋水産部は当面、卵を持っている魚を食べないようにする運動を展開するほか、養殖場で幼魚をえさに与えることを禁止することなどを盛り込んだ総合対策を発表する予定だ。
漁業でも協定を守れない。日本は厳しい姿勢。「日韓漁業交渉が決裂」
日本もサンマの漁獲量減少。 北太平洋公海の中国、韓国、米国、台湾の乱獲が原因か。
日本に魚が来る前に外国船に公海で獲られてしまいます。日本の漁獲量が減少するだけでなく十分に育っていないサンマばかりになっている。
サンマの寿命は2年くらいで日本は今まで1~2年ものを食べていましたが、最近では1年未満のサンマばかりだそうです。
中国、台湾は大型船でごっそり獲っていきます。
サバ、イカ、ホッケも減少しています。
資源が枯渇しないよう日本の水産庁が呼びかけ漁獲量制限のルールをつくる動きが始まっています。
ロシアも日本と同じような状況なのでロシア漁業庁も日本との協力は不可欠と述べています。
2015年の9月には日本、カナダ、ロシア、中国、韓国、台湾、アメリカが参加し、漁業資源に関する取り決めを話し合う北太平洋漁業委員会を開催。
’17年中からサンマの国際的な漁獲規制を実施する方向で調整することに合意しています。
乱獲の問題も重要な一因ですが、漁業は自然相手ですので海水温などの海の環境や台風にも影響を受けます。
1950 年から 2015 年までのサンマ漁獲量
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<参考>
タタキ食べられなくなる? 米国、中国、台湾「魚食ブーム」で漁獲量激減…「カツオ」不漁で苦しむ関係者に低金利で融資
2016.4.21 07:20 産経新聞
近年、漁獲量が著しく減少しているカツオ漁の漁業関係者に対し、和歌山県は20日、県信用漁業協同組合連合会(信漁連)の融資を低金利で受けられるようにする支援策を発表した。不漁の影響で資金繰りに追い込まれる漁業関係者もいるといい、県は「カツオ漁は県にとって大切な産業。今回の支援で漁業関係者に経営を持ち直してほしい」と呼びかけている。
県沖は豊富な漁場として知られるが、平成26年には、前年から700トン以上も減少し、375トンにとどまった。県全体の漁獲量の半分近くを占め、ひき縄を使った伝統的な「ケンケン漁」が盛んに行われている田辺やすさみ、串本の主要3漁港でも同様で、昨年にはこの3漁港でのケンケン漁の漁獲量が過去最低の148トンにまで落ち込んでいる。
県によると、カツオの漁獲量の減少の背景には、世界的な「魚食ブーム」が背景にあり、太平洋の中西部では近年、米国や中国、台湾といった各国・地域の大量漁獲が進んでいるという。
こうした状況から、資金繰りに苦しむ漁業関係者も増え、廃業に追い込まれるケースもあるといい、漁業関係者に経営を立て直してもらおうと、県が支援策を取りまとめた。
具体的には、最近1年間の水揚げ高が過去3年間の平均と比べて減少した漁業関係者が信漁連から、必要な運転資金を借り入れる場合の金利1・4%のうち、大半の1・3%を県が補助。低金利に抑えることで、融資を受けやすくするという。
県では、このほか、減収に備えてもらうため、漁業関係者に「漁業共済」などの共済制度の活用も積極的に呼びかけていく考えだ。
2015 水産庁・水産総合研究センター