北朝鮮「内部」をのぞき見?、バンコクの北朝鮮レストランを訪問
2016.07.17 Sun posted at 18:30 CNN
バンコク(CNN) タイの首都バンコクにあるレストランでは、店内で写真を撮ろうとすると北朝鮮のウェートレスにとめられてしまう。た
だ、かなり気分が変わりやすい人たちのようで、その同じウェートレスがテーブルでは快くめんを切り分けてくれる。
一方、店の隅では武装した兵士や上機嫌の歌手たちが、娯楽とも洗脳とも取れる音楽を奏でている。
ここは北朝鮮政府が世界中で展開するレストランチェーンの1つ、平壤高麗レストランだ。このレストランでは、閉鎖的な北朝鮮での生
活を垣間見ることができる。
この平壤高麗レストランは、今年に入り北朝鮮が運営するレストランの従業員が集団で韓国に亡命したと報じられたことから
脚光を浴びた。
レストランに入ると、水玉模様の制服を来たウェートレスたちが、はにかんだ笑みを浮かべながらやさしく手を振って迎えてくれる。
しかし、最近来た時にも見られたように、彼女たちは客がメニューから逸脱する行動を取ると突然パニックに陥り、感情が消え、
強い不快感を示すことがある。
では肝心の料理の方はどうか。
店内には季節外れのクリスマスツリーも
このレストランでは、常にクリスマスの装飾がなされた店内のビニールカバーがかかったテーブルで、
おいしいがやや油っこく塩気の強い料理が味わえる。
平壤高麗レストランは、バンコクの富裕層向け高級店が立ち並ぶエカマイ通りにある。北朝鮮の人々の暮らしを知っている人が
このレストランに入ると、まるで見えない膜を突き破って北朝鮮に足を踏み入れたような気分になるかもしれない。
というのも、この清潔でモダンな雰囲気のレストランでは、北朝鮮の残忍な支配層のトップに近い人々の緊迫し深遠な生活が垣間見え
るからだ。
例えば、北朝鮮の大半の人々は、ジョージ・オーウェル風のディストピア(暗黒郷)の中で苦しんでいると言われるが、
平壤高麗レストランの従業員たちは決して貧困にあえいでいるわけではない。
しかし、彼らには別の悩みがあるようだ。彼らは、軍事パレードで兵士らが行進し、兵器が次々と披露され、北朝鮮政府関係者らが拍
手を送る中、国民が 愛国心あふれる歌を力強く歌っているDVDの映像が大画面に映し出されている間、
死ぬほどの退屈に耐えなくてはならないように見える。
われわれの滞在中、レストランの正面玄関付近にいた3人の接客係がDVDを見て、体をゆっくりと左右に動かしながら
小声で歌詞を口ずさんでいた。
週の中頃の夕方に旅行者のふりをしてこのレストランを訪れたが、100席ある店内に他の客の姿はなく、筆者が唯一の客だった。
従業員らはほどほどに英語を話すが、このレストランや北朝鮮について質問すると、決まって「分かりません」と答えが返ってきた。
また出された料理の写真を撮っているとしばらくは大丈夫だったが、突然大声で「写真は撮らないでください!」と注意された。
従業員らは紙に書く行為についても警戒し、ウェートレスから「何をしているのか」としつこく聞かれ、詳細な説明を求められた。
メニューには様々な料理が並んでおり、サバのフライと春タマネギをアルミホイルで包んだ料理が150バーツ(約450円)。親切にも
ウェートレスがテーブルで骨を取り除いてくれる。
さらに、おすすめは350バーツ(約1000円)の「平壌風冷麺」だ。
この冷麺は優に2人分はあり、米麺に鶏肉の薄切り、キュウリ、固ゆで卵、赤唐辛子がトッピングされ、酢とからしで味付けしてある。め
んは、ウェートレスがピンク色の大きなはさみで切り分けてくれる。
また緑豆チヂミは、油がしみた薄くて丸い4枚の緑色の生地にパセリが添えてあり、味はポテトに近い。
他にも魚、豚肉、牛肉、鶏肉、野菜の料理や、めん類、スープがあり、ビールなどの飲み物もある。
1皿99バーツのランチメニューもあり、ギョーザ、めん類、キムチうどん、ビビンバ、鶏肉のチャーハンなど、種類も豊富だ。
またバンコクのスクンビット通りにある、平壤高麗レストランよりも派手な平壌アリランレストランでは食事はもちろんのこと、カラオケやフロアショーも楽しめる。
北朝鮮政府はバンコク以外にも、マレーシア、ラオス、カンボジア、ネパール、中国、さらに中東やアフリカでもレストランを展開している。
平壤高麗レストランは富裕層向けの通りの一角にあるのでこのレストランも富裕層向けなのでしょう。
富裕層向けにしてはこの料理。北朝鮮の富裕層もこんな料理をレストランで食べるのだろうか。
そうだとしたら食の貧しさが伺える。お店のセンスもちょっとずれているのではないでしょうか。