インド 深刻な水不足で環境カタストロフィーが間近
インドは国始まって以来の深刻な水不足に見舞われている。インド国立転換研究所(NITI)は15日、
こうした警告を含んだレポートを発表。それによればインドでは水がないために毎年20万人近い人命が失われている。
レポートではインドの人口13億人の半分にあたるおよそ6億人が水不足に直面しており、2030年にはすでに
水の需要は供給できる水量の2倍に達するとの予測が表されている。
ビジネス紙「ミジネス・スタンダード」はレポートの一部を引用し、「数億人規模のインド国民が深刻な水不足に
直面すれば、インドのGDPは6%縮小しかねない」と危惧感を表している。
レポートによれば、インド最大の21のメガロポリスの地下水はすでに2020年には枯渇する。
この事態に達すると1億人近い人命に影響が及んでしまう。
またレポートが引用している独立の調査機関の報告では、インドの飲用水の70%は汚染されており、
水質基準では世界122か国中120位とほぼ最下位。
インドで過去最悪の水資源危機、6億人が「水不足」に
2018.06.17 Sun posted at 15:23 JST CNN
(CNN) インドのシンクタンクは17日までに、国内の水資源問題に関する報告書をまとめ、国民約6億人が
深刻もしくは極端な水準での水不足への対処を迫られる同国史上最悪の事態に直面していると警告した。
同国の総人口は約13億人。
政府に政策提言などしている同シンクタンク「インド科学環境センター」は、不十分な水供給や汚染水が原因で
平均で住民20万人が毎年命を落としていると指摘。総人口の4分の3が汚染水の影響を受け、国内の疾病のうち
2割の起因になっているとした。
国内の主要21都市が2020年までに地下水枯渇の事態に直面すると予想。ニューデリー、バンガロールや
ハイデラバードなどの大都市は地下水の払底に襲われ、約1億人の日常生活に悪影響を及ぼすとした。
インドは経済成長を続けて国力が伸張しているが、回避出来ない危機に遭遇していると警告した。
インドの持続的な水資源開発計画は近年足踏みしている。州の8割は水資源保存に関連した法的対策を講じているが、
貧弱な管理データ保存や有料の水供給制度が存在しないのに等しい現状が大きな改革を妨げる要因になっている。
粗悪な灌漑(かんがい)技術や深刻な地下水汚染の問題が水資源危機をさらにこじらせている。
適切な下水道施設も十分にないため、処理されていない都市部の排水が地方に流れ、飲料水と化している現実もある。
インドの産業構造は農業に大きく依存している。水資源の8割は灌漑(かんがい)用とされる。水の価値は
インド内で尊重されずに極めて安く、住民は無料と思い込んでいるとの指摘もある。同センターの幹部は、
一部の州は農家に無料で電気を供給し地下水取水で資金援助する政策も打ち出し、資源浪費の結果につながっていると
説明した。
一方で一部の州ではここ数年、水質管理基準で目立った向上が見られる。ただ、中央もしくは州政府による対策は
散発的で政策目標を実現させるほどの真剣さに欠けるとの見方もある。
州レベルでの水資源関連事業は州政府が権限を持つ。地下水開発や全家庭向けの配水の有料化の遅れなどには
政治的要因も絡み、継続性を持つ政策的な枠組みの確立を阻害する要因となっている。
水不足の事態が切迫する中で各都市では給水車の出動が目立つ。各世帯への給水が不自由になっている現状を
映し出している。