世界飛び散ったウイルス「武漢ウイルス」を記憶しよう。
2020/03/10 産経抄
感染の拡大が続く新型コロナウイルスとよく比較されるのは、2002年に中国・
広東省で発生し、全世界で700人以上の死者を出した重症急性呼吸器症候群
(SARS)である。中国当局による情報隠蔽(いんぺい)が、大流行の要因の
一つとなった。
▼中国本土以外でとりわけ被害の大きかったのが、台湾である。「中国が発生源なのに、
SARSでは元凶がどこなのかわからない。『中国肺炎』とすべきだ」。
与党・民進党の蔡同栄・立法委員は、改名を訴えていた。
▼当時の悲惨な経験が見事に生かされたといえる。中国・武漢で新型ウイルスの発生が
報じられると、台湾政府はすぐに防疫体制をとった。早くも2月上旬には、中国本土
住民の入境を禁止している。ようやく昨日から中国と韓国からの入国制限が始まった
日本とは、大違いである。
▼WHOが決めた新型コロナウイルスの正式な名称は、「COVID19」である。
やはりコロナウイルスによる感染症に、中東呼吸器症候群(MERS)の名がつけられた
とき、中東諸国の反発を招いた。以来、感染症の名称に地名が用いられることはなく
なった。
▼にもかかわらず、マイク・ポンペオ米国務長官は、記者会見などで、「武漢ウイルス」
や「武漢コロナウイルス」との呼び名を使い続けている。中国政府の反発も意に介しない。
SARSの発生時と同じく、今回も中国は必要な情報を提供しなかった。そのために
米国でも感染者が増え続けている、とのいら立ちが背景にあるようだ。
▼確かに、新型コロナウイルスを押さえ込むために、各国は足並みをそろえて英知を
結集しなければならない。だからといって、発生源をあいまいにして被害者を装う、
中国の欺瞞(ぎまん)が許されるわけではない。
"5G元年"に武漢肺炎が起こった意味を世界に知って欲しい。「中国という災厄」への警鐘が鳴らされていることに気づくのが重要。一帯一路の覚書にG7の中で先陣を切って署名し、中国人が押し寄せていたイタリアの死者は遂に9日時点で463人に。中国依存からの脱却を国際社会が受けとめることはできるのか。 https://t.co/UZHKN43skv
— 門田隆将 (@KadotaRyusho) March 10, 2020