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更新<続報>J&Jのベビーパウダー危機、長期化する可能性 / J&Jの反論

2018-12-18 12:13:43 | 健康・糖質制限・ダイエット・衛生

コラム:J&Jのベビーパウダー危機、長期化する可能性

 

[ニューヨーク 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米医薬品・日用品大手、

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J(JNJ.N)のベビーパウダーを巡る滑石(タルク)危機は、

何年も長引くことだろう。

 

同社が1970年代から原料滑石(タルク)の試験でベビーパウダーにアスベストが含まれていたことを

数十年間把握していたとのロイター報道を受けて、同社株は14日急落し、時価総額から400億ドル

(約4兆5000億円)が消えた。


J&Jは、今回の記事を「ばかげた陰謀論だ」と一蹴。「J&Jや規制当局、独立専門家は、アスベストの

含有を調べるあらゆる手法を使っており、これらの手法によって判明した結果のすべてが、われわれの

タルクにアスベストが含まれていないとの結論だった」と主張する。


もし歴史が道しるべになるのなら、市場の反応は過剰だったかもしれない。だが訴訟や傷ついたブランドは、

そう簡単には解消しない。


同社のベビーパウダーを巡っては、タルクが健康障害を引き起こしたとして1万件以上の訴訟が起きている。

今年7月には、原料に含まれるアスベストが原因で卵巣がんを発症したとして女性22人が訴えた訴訟で、

ミズーリ州セントルイス巡回裁判所の陪審が同社に46億9000万ドル(約5320億円)の損害賠償

支払いを命じる評決を下している。


だが市場はこの判決をほぼ無視した。同社の株価は、1月から今月13日までに5%近く上昇し、

時価総額は4000億ドルに達していた。今回、その1割が吹き飛んだことは、過剰反応だったかもしれない。


投資家は、巨額和解の可能性が高まるとパニックに陥る傾向がある。米製薬大手メルク(MRK.N)が

2004年、心臓発作との関連が指摘された鎮痛剤バイオックスを販売停止した際には、時価総額の

27%に相当する270億ドルを失った。同社は最終的に、総額50億ドル以下を支払うことで和解した。


同様に、ドイツの製薬・化学大手バイエル(BAYGn.DE)の株価も、今年買収した米種子・農薬大手

モンサントの除草剤ががんの原因になったとして訴えられていることから、150億ドルの債務を

織り込んだ水準で取引されている、と米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは推定している。


こうした訴訟費用の負担が、早期に終わることはない。メルクは、販売停止から10年以上がたった今も、

バイオックス関連の訴訟を抱えている。


だが最も修復が難しいのは、傷ついたJ&Jの評判だろう。

 

1980年代に、シカゴ近郊で何者かによってシアン化合物が混入された同社の鎮痛剤タイレノールを

飲んだ7人が死亡する事件が発生した。これを受けて、3100万瓶を回収し、消費者に注意を促す

広告を出し、異物混入を困難にするパッケージを導入したJ&Jの当時の対応は、現在でも信頼回復の

ための対応策の好例として米国のビジネススクールの授業でよく取り上げられている。


J&Jがもし本当に、世界中の赤ちゃんに使われている製品に関わるやっかいなデータを黙殺し続けて

いたとすれば、いずれ反対の例として取り上げられることになるかもしれない。

 

J&J Scrambles To Defend Claims That Baby Powder Contains Asbestos

 

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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<続報>

米J&J、ベビーパウダー巡るロイター報道に反論 正当性主張

2018年12月18日 / 11:35  REUTERS


ロイターは14日、J&Jが少なくとも1970年代から同社のベビーパウダーに発がん性がある

アスベストが混入していた試験結果を知りながら隠した疑いがあると報じた。


これを受けてJ&Jの株価は14日の取引で10%急落、時価総額約400億ドルが吹き飛んだ。

同社株は17日も3%近く下落した。


アレックス・ゴースキー最高経営責任者(CEO)は17日夜のCNBCの番組「マッド・マネー」に

出演し、J&Jの正当性を主張。「J&Jが(パウダーの原料となる)タルクの安全性に関して把握していた、

あるいは情報を隠していたとの主張は間違っている」と訴えた。


また同社はこの日、自社のタルクが安全であることを示す科学的証拠があると主張する広告を米紙

ニューヨーク・タイムズ(NYT)やウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などに掲載した。


17日は最大50億ドルの自社株買いも発表している。


J&Jは同社のウェブサイトに投稿したタルクに関する説明文やゴースキーCEOの動画でもロイターの

報道に反論した。


一方、ロイターの広報担当者は17日、自社の報道内容を堅持する姿勢を示した。

ロイターの報道はタルク自体が卵巣がんを引き起こすかどうかについては断定していない。


カナダ政府は今月、タルクへのエクスポージャーと卵巣がんに「一貫した、統計的に有意な関連性」が

見つかったとする報告案を公表した。同報告案によると、タルクは有害物質の基準を満たすという。