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<台湾情報18-10>今年も台湾に招待状なし? WHO総会参加へ苦肉の「動画作戦」成否は

2018-04-20 14:36:53 | 台湾 中台・国際関係

今年も台湾に招待状なし? WHO総会参加へ苦肉の「動画作戦」成否は

2018.4.20 01:00    産経新聞

 世界保健機関(WHO)が5月21~26日にジュネーブで開催する年次総会に、今年も台湾の代表が出席できない可能性が

高まっている。昨年7月に事務総長が交代して以降も、「中国寄りの立場」(台湾・外交部=外務省に相当)が変わらないためだ。

蔡英文政権は出席を模索し各国政府に協力を求める一方、国際的な世論に直接、動画で訴える策にも出始めた。

 

 「今年の(出席の)可能性は大きくない」

 

 呉●(=刊の干を金に)燮外交部長(外相)は11日の立法院(国会)外交・国防委員会の審議で、こう見通しを語るとともに、

「最後の一瞬」まで努力すると語った。台湾のWHO総会出席をめぐっては、日米や欧州議会がこれまでも再三にわたり支持を表明。

台湾が外交関係を有する20カ国も今年4月7日の世界保健デーに合わせ、台湾の出席を求める書簡をWHO事務局に提出している。

だが、4月中旬現在、台湾への招待状は届いていない。


 台湾当局は、台湾は中国の一部などとする「一つの中国」原則を条件付きで認めた中国国民党の馬英九政権下で、2009年から

オブザーバーとして参加が認められてきた。だが、「一つの中国」を認めない民主進歩党の蔡政権が16年に発足して以降、

中国の圧力で出席できていない。


 当初は、事務局長のマーガレット・チャン(陳馮富珍)氏が香港出身だったことが大きな要因とみられていたが、昨年7月に

エチオピア出身のテドロス元保健相に交代して以降も状況は変わっていない。台湾の医療関係者は台湾紙に対し、エチオピアは

石油と引き換えに中国から武器を入手しており、同氏の事務局長当選は「台湾に不利だ」との見方を示していた。


 中国は、台湾の在外公館の名称から台湾当局が公称する「中華民国」を除くようホスト国に圧力をかけるなど「極めて細かな

圧力のかけ方をしている」(外交関係者)。こうした中、蔡政権は、WHO総会参加に向け、外交的な手法だけでなく、

各国の世論に直接訴えかける方法も採り始めた。


 外交部は3月末、「ロアンちゃんの作文(日本語字幕版名)」と題する短編映像を公開した。ベトナムで海綿状血管腫のため

片足が肥大化した少女が、台湾企業からの医療費の寄付で台湾で手術を受けて足の切断を免れた実話を元にしており、

日本語字幕のほか、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語などの字幕版を作成した。約3分間の動画は共有サイト

「ユーチューブ」やフェイスブックに投稿されている。


 約3分間の動画には、ロアンちゃん自身が出演し、「涙を誘う内容」(台湾の外交官)に仕上がっている。

音声はベトナム語のため、始めは台湾当局が作成したとは気づかないものの、最後に「達しうる最高基準の健康を享有することは、

人種、宗教、政治的信念又は経済的もしくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一である」とするWHO憲章の

一文が引用されており、台湾のWHO参加をさりげなくアピールしている。


 苦肉の策とも言えるこうした動画に、どの程度の効果があるのかは分からない。ただ、蔡政権は出席が認められない場合でも、

陳時中衛生福利部長(厚生労働相)を総会会場のジュネーブに派遣し、日本や米国、カナダなど各国との対話を行いたい方針を

示している。


世界保健機関(WHO) 1948年に発足した国連の専門機関。加盟194カ国。本部ジュネーブ。伝染病の撲滅や衛生係官の訓練、各国保健システムの強化、災害援助に取り組む。WHOの発足日にあたる4月7日は「世界保健デー」に制定されている