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豪総選挙、中国系有権者が台頭。 主要政党に求められる微妙な手綱さばき

2019-05-17 16:59:05 | 中共日本浸透工作・中共浸透工作・一帯一路・中国経済侵略

豪総選挙、中国系有権者が台頭

主要政党に求められる微妙な手綱さばき

 

 

【ボックスヒル(オーストラリア)】18日に総選挙が実施されるオーストラリアでは、中国による

干渉を巡る懸念が根強い中、結果を左右しかねない中国人移民の有権者の支持獲得に向けて、

主要政党が微妙な手綱さばきを求められている。


 選挙の勝者にとっては、最大の貿易相手国であり、外交上最も困難な関係にある中国が、

政策運営の上で最大の試金石として立ちはだかることになる。


 豪中関係は昨年以降、冷え込んでいる。オーストラリアは昨年、厳格なスパイ対策および

海外干渉防止法を可決した。また安全保障上の懸念から、次世代通信規格「5G(第5世代)」

インフラ整備網から華為技術(ファーウェイ)製品を排除することを決定。今年2月には、

豪当局者が「主要な国家主体」が議会や主要政党へのサイバー攻撃を仕掛けたとして批判した。

「主要な国家主体」とは、暗に中国当局を示唆する用語として使用されることが多い。

オーストラリアでは中国系有権者の存在感が高まっている(写真はメルボルン東部のチズホルム選挙区で)

 

 一連の動きは、中国当局者だけでなく、新法を巡る議論は不必要に挑発的だと考える豪州国内の

大規模な中国人コミュニティーからも反発を招いた。

 

 豪州の人口2500万人のうち、中国人コミュニティーは120万人を占め、一部の激戦区では有権者の

15%に達するところもある。主要政党の支持率はほぼきっ抗しており、中国系有権者の支持を

確保することが重要になっている。

 

 政治アナリストによると、スコット・モリソン首相率いる自由党と国民党による与党保守連合が

政権を維持するには、少なくとも3議席増やす必要がある。一方、世論調査で現在トップに立っている

野党・労働党は少なくとも5議席を奪わなければならない。

労働党のジェニファー・ヤング候補 

 

主要都市メルボルン東部郊外の選挙区チズホルムは、いずれにも転ぶ可能性がある。

店のウインドーには、中国語で書かれた選挙のプラカードが並んでいる。同地区では豪政治史上初めて、

主要政党の候補者がいずれも中国系オーストラリア人となった。労働党のジェニファー・ヤング氏と、

保守連合のグラディス・リュー氏の対決だ。

 

 両党ともに、おおむね似たような外交政策を掲げており、安全保障面で米国との同盟を重視する一方、

中国との建設的な関係を目指している。ただ、労働党のビル・ショーテン党首は、選挙に勝利すれば

「明確な豪州アクセント」を盛り込みつつ、より独立した政策を目指すとし、対中関係に関して、

米国とはやや異なる立場を取る余地を残している。

 

 ボックスヒル商業拠点の実業家、ウィリアム・マー氏は、数カ月に及ぶ政治干渉やスパイに関する

議論が関係を損ねる一方で、人種的な緊張やヘイトスピーチ(憎悪表現)をあおったと述べる。

その証拠に、自由党の選挙キャンペーンのポスターには「中国人はいらない」との落書きが目立つ。

 

  マー氏は「誰が勝利しても、新たな冷戦はないという言葉を聞きたい」と語る。全体的に疑いの

目が向けられている雰囲気があるといい、「われわれはスパイ扱いされる」という。

  同地区の有権者の2割は家庭で標準中国語か広東語を話す。

ボックスヒルでは、有権者の2割が家庭で標準中国語か広東語を話す


主要政党は、ソーシャルメディア(SNS)アプリ「微信(ウィーチャット)」も駆使して、

中国系有権者に支持を訴えている。モリソン首相は4月、ウィーチャットを使って、中国語メディアとの

インタビューを前面に打ち出す一方、労働党は中国語が堪能なケビン・ラッド元首相を担ぎ出して

ウィーチャットで動画を配信。ショーテン氏は3月、中国語を話す有権者500人を招いて、

ウィーチャット上でライブの対話集会を行った。

 オーストラリアは政治干渉を巡る懸念に対処することを目指す一方、経済面では中国への依存度が

高く、難しいかじ取りを迫られている。中国は最大の貿易相手国であると同時に、海外からの投資を

誘致する上で主要な資金の出し手でもある。KPMGによると、2018年の中国からの対豪投資は

62億ドル(約6800億円)と、前年比37.6%減少した。投資環境に対する見方が悪化したほか、

資本規制を導入したことが背景にある。全体としては、米国が依然として、対豪投資で中国を上回る。


 オーストラリアの中国人移民の多くは若者で、近年の大量流入により主要都市に変化をもたらしている。

その約半分が2008年以降に渡豪しており、留学で豪州に入り、そのまま定住するケースが多い。


 中国政府の見解に異議を唱えたことで投獄され、後に難民としてオーストラリアに受け入れられた

ウー・レバオ氏は、豪議員が中国系有権者の支持を得ようとする中で、中国当局に立ち向かう意欲が

薄れていると感じている。「中国共産党の独裁に抵抗するという心理戦に敗れるのではないかと

恐れている」。同氏はキャンベラの中国大使館の前でこう語った。

https://jp.wsj.com/articles/SB10214935304845344605804585307282795872338?mod=article_inline


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