EMERALD WEB≪拝啓 福澤諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

ソフトバンクの曖昧なビジョン

2017-11-10 07:10:27 | 産業・企業情報

ソフトバンクの曖昧なビジョン

2017 年 11 月 7 日 02:54 JST    THE WALL STREET JOURNAL  By Jacky Wong

  https://jp.wsj.com/articles/SB10540634788664413848604583499463765556782

ソフトバンクのヒト型ロボット「ペッパー」

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 孫正義氏が最も重視するのはコントロールだが、自らトップに立つ ソフトバンクグループ で今まさにそれが大き

く失われつつあるのではないかという疑問がある。


 孫氏はソフトバンクが6日に開いた決算説明会で、83%出資する米携帯電話サービス大手

スプリントがTモバイルUSとの合併を断念した理由の説明に多くの時間を割いた。

孫氏は米規制当局が2014年に合併を阻止した際、髪の毛が薄くなったと愚痴をこぼしていた。


 今回は、合併の断念に「晴れやかな気持ち」だとし、ソフトバンクがスプリントのコントロールを維持する

ことの方が重要だとの見方を示した。規模のより大きいTモバイルUSと統合すれば、スプリントは格下の相手と

見なされる可能性が高かった。ソフトバンクはむしろ、スプリントへの出資比率を85%へ引き上げることを決めた。


 この決定は、スプリントが単独でTモバイルUSを含む米携帯電話サービス上位3社との闘いを続けることを意味する。

同時に、既に重い債務を抱える中で次世代ネットワーク向けの多額の投資が必要となる。

 

 孫氏にとっての問題は、スプリントだけではない。5月にサウジアラビア政府と立ち上げた10兆円規模の

「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の営業利益はこれまでのところ16億ドルと、まずまずの業績を上げている。

だが、その大半は米エヌビディアの株式4.9%という、たった1件の投資から生じたものだ。

人工知能(AI)で使われる画像処理半導体を手掛けるエヌビディアの株価は、今年に入ってから2倍に上昇している。


 先週明らかになったサウジ王族内の騒動が、ビジョン・ファンドに過度の影響を及ぼすことはないのかもしれない。

奇妙に映るのは、世界屈指のハイテク投資ファンドであるにもかかわらず、サウジ電力会社のかなりの株式を最近

買い入れたことだ。サウジで建設予定の新都市ネオムに世界最大の太陽光発電所を設置する計画もある。


 しかし「情報革命」のけん引というソフトバンクの目標とこうした投資はいかに両立するのだろうか。

孫氏の答えは、サウジは太陽の光が降り注ぐ場所であり、電力がなければ電話も使えない、というものだ。

十分実用的な回答ではあるが、ハイテク投資で先見の明があるという評判に磨きをかけるものではない。

孫氏が手に余るほどのことを抱えてしまったという見方を拭い去るには、さらなる努力が必要になりそうだ。