米中対立は、経済問題に端を発して安全保障・人権問題へと広い分野で
先鋭化している。
人々の自由を尊重してきた米国にとって、中国が人々の自由への渇望を
力づくで抑えていることは容認できない立場だ。
欧・豪・加などの主要先進国も中国への懸念を表明し、国際社会におけ
る対中世論は変化し始めた。自由主義陣営と、政府権力の強化に邁進す
る中国との軋轢(あつれき)が高まっているのが目下の国際情勢だ。
こうした中、前政権が習近平国家主席を国賓として招くとした政策を、
新政権がそのまま引き継ぐというのであれば、あまりにも無神経で鈍感
な政権と諸外国には映るだろう。
貿易という面では、確かに中国は日本にとって重要な国だ。
だが、いま争点になっているのは貿易ではなく人権と安全保障だ。
このあたりを間違わないように、新政権には舵取りしてもらいたい。