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1999年32歳で乳がん発覚、2007年に再発した女のぶっちゃけトーク

「私、死ぬんですか?」

2007-11-09 10:11:46 | 初発時の経緯
初発時の経緯 2

検査室から診察室に戻ると、マンモグラフィの画像を見ながら、

医師はがっくりと肩を落とした。

診察台の上で横たわっているこちらからでも、はっきりと解るほどだった。

超音波の検査では乳房だけでなく、脇の下の部分までにいたって、

ゴリゴリと長時間スキャンされた。

検査技師は「何で早くこなかったの?」といっていた。

その様子から、自分がガンであるだろう事は検査後再び診察室に戻って

医師から診断を聞く前に充分予測できた。

医師は器用にマンモグラフィの画像を元にボールペンで

図に書き直してくれて、どのような状態か説明してくれた。

乳首に近い部分に腫瘍があり、そこから乳管を

通って、その先にも腫瘍がある。乳管の中にもガンが詰まっていて、

周りには石灰化の後がある。

「98パーセントガンでしょう。」

組織検査をしていないから微妙な数字をいったようだが、

押しも押されぬガンに間違いないようだ。

なんだかドラマの中の出来事のように、リアリティがない。

「これって腫瘍が一個ではないってことですよね。大分進んでいる

ってことですよね。私、死ぬんですか?」と聞くと、

医師は「ガンだからっていって、皆死ぬってわけじゃないよ。」と

冷静に返した。

そうだ、私が聞きたいのはそんなことじゃない、どうやったら生き

残れるかってことだ。

それにもうすぐ5時だ。保育園の迎えに行かなければならない。

仕事はどうしよう・・。

今後のことを考えると頭が一杯になった。

次の瞬間出た言葉、それは

「私、子供を保育園に迎えに行かないといけないのです。

今後のスケジュールはどうなりますか?」とあまりに現実的な

質問だった。

私は実母が乳がんに罹患したことがあるので、多少知識があった。

これからの検査、術式のこと、手術の日程などを聞く。

結構バタバタなスケジュールで、術式も手術時に開いてから

組織検査をして、乳房温存できるか決めるという。

何よりも、手術の話をする先生の目の輝きようったらなかった。

とってもイキイキしてる。

久々に切るんだろうか?切るのがうれしんだろうか?

そう思うと、なんだかこの男がマンモグラフィの画像の前で

肩を落としていた姿さえ芝居に見えてくる。

「時間もないし、今日何もかも話しても解らないでしょうから、

後日改めて御家族と来て下さい。」といわれ診察室をでる。

どうやって会計を済ましたかもわからない。

まるで映画でも見てるみたいだった。

病院の外に出て、やっと自分に起こったことのスケールの

大きさ、そしてそれを取り消すことのできないのだという

事が責めるように押し寄せてきた。

私はすれ違う人を気にする余裕もなく、声を上げて泣きながら

歩いていた。