【将棋】山田定跡をひたすら称賛するブログ

居飛車急戦党が、日々の対局記録を綴ります。
活動場所はリアル(将棋道場)がメインです。
あと、本の感想が少々。

角落ち下手側からの右四間飛車対策

2024-08-11 08:24:47 | 将棋

前々回のブログでは、他人の意見や主張への批判は、その人への人格批判に繋がり得ると申し上げました。だから、せめてもの誠意として、ブログに実名を公表致しました。

 リンク先:これからは実名でブログへ投稿します

上記について、世間一般ではどのように考えられているのでしょうか。一例として、ネット道場「81道場」を見てみます。利用規約に当該条項が載っていたので抜粋します[1]。

5. 棋譜・対局の公開の権利

5.3. 81Dojoで指された対局のシーンや棋譜を公開する場合、下記のルールを守って下さい。
公開物の中で、対局者を貶める描写・誹謗中傷をしないこと
  例) ○ 「相手の▲○○○の手が悪手で、勝つことができた」
        → 指し手自体に対する評価であるため可
    × 「相手が弱かったので、勝つことができた」
        → 対局者自身をマイナスに主観評価しているため不可

この説明に関する不満を二点申し上げます。一点目は主観というものに関してです。×(ばつ)とされるコメントではマイナスの主観評価が良くないとのことですが、私に言わせれば、〇(マル)とされるコメントだって当人の主観です。第一、対局相手は▲〇〇〇を悪手と思っていない可能性があります。尤も、「▲〇〇〇の手が悪手」という認識が客観的か否かについて社会調査をしたのなら分かります。しかし、個人のブロガーがそんなことは普通しないはずで、ならば当人の都合の悪い方(主観的)でとりあえず仮定するのが誠意というものです。

それに、〇(マル)のコメントの「相手の▲〇〇〇の手が悪手」というのは、「その瞬間は相手は弱かったこと」の特殊な形の一つといえます。一方、×(バツ)のコメントの「相手が弱かった」ことが、瞬時的か恒常的かのどちらであるかは文脈などから推測できません。なので、上記の〇(マル)のコメントは×(バツ)のコメントの特殊な形の一つとする余地があります。

二点目は評価というものに関してです。「勝ったこと」はもちろん事実ですが、「その原因が相手の▲〇〇〇の指手だった」とすることは仮説に過ぎません。仮説を述べること自体を評価といえるかどうかは、甚だ怪しいと私は思います。しかし一方で、利用規約の作成者はそれを評価だと考えるのは、どのようなイデオロギーから由来しているのでしょうか。例えば、論理実証主義(科学的仮説は、経験から論理的に実証できる)を信じるなら、前述した考えが得られるかもしれません。けれども、他人に「あなたの哲学上のイデオロギーは何ですか?」と伺うのは礼儀に反するので、これ以上考えるのは辞めておきます。

結局のところ、批判と誹謗中傷の明確な違いは、今回ご紹介した利用規約から得られませんでした。

 

前置きが長くなってしまい恐縮ですが、今回は角落ちにて下手が一直線に右四間飛車を狙う際の、上手の受け方を考えます。

最序盤は下図のような感じで。実戦では飛車先を直ぐに切ってしまったために、守りの陣立ちが遅れて負けてしまいました。なので、飛車先切りは権利として保留しておきます。

下図は大事な局面です。私なら二枚落ちの二歩突っ切り定跡のノリで、△2二銀と指したいです。

なぜなら、下手が右四間飛車を狙ってきても、以下▲3六銀、△3四歩、▲4八飛、△3三銀で4筋が受かるからです。

上図で水匠5[2]の評価値は、+658(初形)⇒+567です。局面が進んだにもかかわらず評価値が下がっているので、最善かは分かりませんが十分ではないでしょうか。

 

 

【参考文献など】

[1] 81道場|利用規約、https://81dojo.com/jp/terms.html、閲覧日:2024年8月11日

[2]たたやん氏Webページ、https://drive.google.com/file/d/1T-Go2KImMfKD_4m_j4fQFXrEfaGgAcS_/view、閲覧日2024年1月7日


▲8七玉型左美濃の引き角への対策(△四間飛車)

2024-08-10 09:02:28 | 将棋

最近、将棋道場に新しいお客さんが何人かいらっしゃって、その半分の方々がリピーターになって下さいました。自分のような古参にとっても、対局相手が増えるのはありがたいことです。

ここの将棋道場は先生が振飛車党であるためか、古参のお客さんとは対抗系(私が居飛車)を指すのですが、最近来て下さっているお客さんとは相居飛車になることが多いです。私は相居飛車の場合、同じお客さんと同じ戦法ばかり指すのは避けたいという思いがあります。なので、たまに自分から飛車を振るのですが、苦手な振飛車を定跡党が手将棋でやったところで、そりゃあ勝てないですよね。

そういう訳で、一度放棄した四間飛車をこれから少しは勉強しようと思います。序盤がしっかりしているお客さんですので、勉強の効果が実戦で出やすいと期待します。

 

今回は、▲8七玉型左美濃の引き角に対する△四間飛車の受け方を考えます(序盤の駒組は文献[1]を参照)。振飛車が何気なく駒組をしていると攻めを食らってしまうことがあるので、注意が必要です。

まずは、居飛車が最速で引き角をする場合。△4三銀で攻めを受け止めにいきます(△4五歩で攻め合いたい気持ちを抑えて)。

以下、▲2四歩、△同歩、▲同角、△2二飛、▲2五歩として・・・

△8八玉と入るぐらいでも、▲3三角成、△同桂、▲2四歩、△2五歩で受かります。

上図をみると、振飛車は5筋の歩突きを保留しているために、▲3一角が生じないのが大きいですね。うーん、歩の突き方が居飛車の感覚とは違う・・・

 

もう一つ、居飛車が▲6六銀~▲5五銀と進出した場合を考えます。実戦では△4三銀と指してしまい、▲6六銀と急所に銀が来てしまいました。

なのでここでは△6三金として、前記に備えます。こうすれば、居飛車はそもそも引き角が出来ない。

というのも、▲7九角には、△5四歩、▲4六銀、△4五歩で銀香両取りがかかるから。

これぐらいで居飛車の第一波の攻めは抑えられるかな?いや、実戦では別の筋が出てくるかもしれませんね。

 

【参考文献】

[1] 藤井猛、「藤井システム」、MYCOM将棋文庫、pp. 8-16、2002年


▲4五歩早仕掛けに△四間飛車が玉頭銀で対抗する場合

2024-07-17 09:28:38 | 将棋

私は、道場で将棋を指すことは人付き合いの一種だと考えています。不特定のお客さんと自動で手合いがつけられるのは、人見知りをする自分にとって気が楽です。

もちろん、普通の意味での人付き合いと同様に、楽しいことばかりでは無いです。

以前、関西将棋会館で指した時、お相手は2階級上だったので、香落ちの下手を持ちました。早石田にされたので、自身の研究(下記リンク)に基づき平手の後手と同じ感覚で指していました。

(過去ブログ)【局後反省】先手早石田対策

心に引っ掛かったことその1。下図は殆ど定跡どおりの進行ですが、お相手は△2八角成と指すのに30秒程考えられました。その前の△5五角がノータイムだったので、失礼ながらもちぐはぐな感じがしました。

その2。下図で自然なのは△7二金です。しかし、お相手は△7二銀を選ばれました。私に持ち角を打たせる以外の狙いはあるのでしょうか。私は前述の△5五角の件を拠りどころにして、「他の狙いは無い」と踏みました。

なので▲6六歩と応手したところ、お相手は△7一金と指されました。多分、こっちの方が好形な自陣というご認識なのでしょう。感想戦はしなかったので真意は分かりませんが。

この辺りで私の意見を申し上げます。将棋には残念ながら射幸心を煽るような奇襲戦法が色々あります。もちろん、プロの公式戦でも現れていますし、棋力の高い方が採用するなら立派な作戦だと思います。しかしその一方で、相手が自然に応手すると序盤早々に良くなることに惹かれて採用されるアマチュアも多いのが実態です。

将棋に真面目に取り組んでいる人は、過去に同じ奇襲を食らって悔しい経験をしている訳ですから、初段レベルでも対策を持っているものです。なので、棋力が低いと奇襲の成否は相手の対策の有無に依存し、自由対局の下では結局のところ運ゲー(※)となってしまいます。

運ゲー自体を悪く言いたいのでは無いです。問題提起したいのは、世の中には運ゲーとして優れたもの(麻雀やポーカーなど)が色々あるのに、なぜわざわざ将棋を選ばれるのかということです。

以上の見解をご覧になって、哲学中心主義のいかがわしさ、知的貴族主義の高慢さ、啓蒙主義の押しつけがましさを読者が感じるなら、それは私の論が未熟であるためなので、忌憚のないご意見をコメント欄にお願い致します。

(※1)運ゲー:「運の要素が強いゲーム」の略称。テレビゲーム文化から生じた俗語。この言葉が持つ文脈は[1]をご参照下さい。

 

さて、今回は▲4五歩早仕掛けに対して、後手四間飛車が△5四銀で対抗した時の先手側の応手を考えます。下図が課題局面です。

私の将棋の先生は▲5五歩を推奨しています。銀が単独で突進してくるのは、むしろありがたいと考えなさいとのこと。なので私もそれに従います。▲5五歩、△6五銀、▲3五歩、△同歩、▲3八飛として・・・。

後手の応手は色々ありますが、今回は△4五歩を検討します。▲3五飛、△7六銀、▲3七桂、△4六歩、▲4五桂として・・・。

もし後手が△2二角とかわすなら、▲2四歩、△3四歩、▲2五飛以下で先手が良くなるというのが、畠山(鎮)八段のご見解です[2]。

しかし、当該棋書がカバーしていない応手が振飛車側にあります。渡辺九段は△1五角とかわす手を示されています[3]。

以下、▲5四歩、△同歩、▲1一角成、△3四歩、▲同飛、△4五飛として・・・。

次の△8五飛が厳しいので、▲7七歩と銀を追い返そうとするぐらいですが、放置されて△5五桂~△4七歩成とされ、振飛車の攻めがギリギリながらも通ります。

 

それでも私は、将棋道場の先生の教えに従って、▲5五歩と指すでしょう。先生はあまり多くを語らないタイプなので、理由は私自身が推測するしかありません。当ブログでは手順をさらっと流してしまいましたが、実は先手・後手ともに一手一手に複数の候補手が存在するので、実際には難解です。その上、▲5五歩はプロの実戦でも現れており[4]、何回かの対局を経て洗練されたのちに当該手順が棋書に掲載されたと推定します。

プロですらそうなのですから、私にようなアマチュアはなおさら、▲5五歩以降を色々指してみて成功や失敗などの実戦経験を沢山積むことは、▲5五歩の理解に近づくのに必要と思われます。

ただし、先生のアドバイスは、私の棋力やクセなどを考慮してのことです。一方で、棋書は一般論を示すべきですから話は別です。

 

 

【参考文献など】

[1]ピクシブ百科事典、「運ゲー」、https://dic.pixiv.net/a/%E9%81%8B%E3%82%B2%E3%83%BC、閲覧日:2024年7月17日

[2]畠山鎮、「将棋・振飛車破りの基本」、マイナビ、p. 42、2017年

[3]渡辺明、「四間飛車破り【急戦編】」、浅川書房、p. 51、2005年

[4]局面ペディア、http://kyokumen.jp/positions/ln1g3nl/1ks1gr3/1pppp1bpp/p3spp2/4P2P1/P1P2PP2/1P1PS3P/1BK1GS1R1/LN1G3NL%20w%20-、閲覧日:2024年7月17日


角落ち(矢倉定跡)での上手速攻の受け方

2024-07-06 21:53:06 | 将棋

三大幸福論(古い順から、ヒルティ[1]~[3]・アラン[4]・ラッセル[5])の内、自分の好みはラッセル幸福論だけど、最も勉強になったのはヒルティ幸福論だった。この幸福論は宗教的と聞いていたが、思い切って読んでみると、宗教の本来の姿は個人の自由意志と調和するという新しい発見を得た。以前は、宗教は人々を惹きつけて共同体を形作るための権威だと捉えていたが、その考えはニュースの新宗教批判のイメージに引きずられたものでしかなかった。

ヒルティ幸福論を無理矢理に一文で纏めると、人間は超感覚的なもの(⇒神)を信じてその御心に従うことで、享楽的な生き方を脱して、真の幸福を得るための挑戦を続けることができる…というものだ。簡単に言えば、信仰は主体的な個人に勇気を与えてくれる訳だ。この説明は、簡素ながらも力強い印象を受ける。

ただし、超感覚的なものを基礎に据えてそこから論を展開するやり方は、私のような素人には強力過ぎて怪我をするだけだろう。普通の人は物事の説明を先に作って、それに都合の良い神さまを無意識に据える。これは、ヒルティとは逆のやり方だ。なので、論の進め方はラッセルの方を手本にしたい。

 

さて、前回のブログでは、角落ち下手を課題の一つに挙げましたので、今回はその研究をします。一例として上手側が速攻を仕掛ける場合を考えます。

文献[6]によれば、下手は序盤は左辺を固めて上手の仕掛けを封じるのが方針の一つとされ、私もこれを採用します。上図では上部を早く固めるべく、▲5八金右としています。一方で、▲7八金は角落ちでは後で良いです。

ケース①:上手が単純棒銀を仕掛けてきたら?⇒枚数の受けが間に合う(下図)

 

ケース⓶:上手が右銀で角頭の歩(7六)をかすめ取ろうとしたら?⇒△6五銀より先に、▲6六歩が間に合う(下図)。

 

ケース③:上手が早繰り銀を仕掛けてきたら?⇒△7五歩に対して、▲同歩、△同銀、▲6五歩として、次に▲5五角で飛車のコビンを攻める。

 

ケース④:上手が右銀と袖飛車で攻めてきたら?⇒△7五歩に対して、▲4六角、△7六歩、▲6五歩、△7三銀、▲7八飛として、7筋を逆襲する。

とりあえずは、こんなところでしょうか。

 

【参考文献】

[1] ヒルティ著、草間平作訳、「幸福論」第一部(改訳版)、岩波文庫、1961年

[2] ヒルティ著、草間平作・大和邦太郎訳、「幸福論」第二部、1962年

[3] 同、第三部、1965年

[4] 神谷幹夫訳、「アラン幸福論」、岩波文庫、1998年

[5] 安藤貞雄訳、「ラッセル幸福論」、岩波文庫、1991年

[6] 所司和晴、「新装版 駒落ち定跡」、日本将棋連盟、2023年


角落ち(矢倉定跡)の下手側の練習方法

2024-06-12 22:48:01 | 将棋

本日、81道場(オンライン)で、6回目の昇段戦にやっとこさ勝つことができまして、三段になりました(見出し画像)。やったー!。

ですが、リアル道場では相変わらず初段のままです。もちろん、常連さん(三段~五段)が強いためではあるのですが、それでも週一回の指導を半年受けてきたのだから、そろそろねぇ。

先日は3連勝すれば先生による昇段試験を受けられるはずが、5連敗してしまいましたし。

 

自分なりに原因分析すると、「攻め」の力は十分備わっていると思うのですが、それに「受け」の力が追い付いていない気がします。

特に、一直線の攻め合い勝ちを目指してしまい、自陣に手を入れることが疎かにするクセがあります。

例えば、今日の昇段戦(下図)は飛車得で後手優勢だったとはいえ、△7三同桂でと金を払わずに攻めにいったのは、今更ながら猛省です。

リアル対局の方では、これまでは対四段戦(先方が角落ち)おいて矢倉定跡でそれなりに勝てていたのですが、最近は先方から無理気味に攻められながらも私が受けを間違って負けるパターンが多くなってしまいました。

 

ネット対局のほとんどは私が先行して仕掛ける将棋だし、家で受けをどう練習しようかな。とりあえず思い付くのは・・・

①受けに関する次の一手問題を解く(早速、「将棋・ひと目の受け」(マイナビ将棋文庫)を買ってみます)。

⓶ネット対局の実戦譜(相居飛車)にて、お相手の立場になって受け方を考えてみる。

⓶については、例えば下図のような私が攻める将棋だったとして、局後に相手の立場に立って受け方を考えてみるというものです。

二段になるには長所を伸ばすだけでなく、短所も減らさないといけないと思って、これからも将棋を頑張ります。