その男ゾルバ エーゲ海にきらめく、熱き男の友情
イギリス人の作家のバジル(アラン・ベイツ)はクレタ島にある亡き父の遺産を確認するためギリシャにやって来た。雨の降る港のカフェで船を待っている時、妙に人なつっこい男に出会う。その男がゾルバ(アンソニー・クィン)だった。他人のことには一切関心を示さないをモットーとするバジルだったが、自分とまったく違うゾルバに惹かれていく。そして、亡父の遺産である亜炭の山の採掘の現場監督にした。彼はそのとき言った。「私ァ、厄病神ですぜ」。クレタ島での生活は、バジルにとって、何もかも目新しく、奇異に映る。二人はマダム・ホーテンス(リラ・ケドロワ)の経営するホテルに住むことになった。その村には世間とほとんど没交渉の生活をしている未亡人(イレーネ・パパス)がいたが、やがてバジルに心ひかれるようになった。炭坑管理人の息子パブロは未亡人を想っていたが、未亡人とバジルにできた愛を知り自殺した。彼の父は未亡人を憎み、彼女を殺してしまった。春が来て亜炭の採掘が始まるころ、ホーテンスとゾルバは簡単な結婚式をあげた。山から木材を下ろすケーブルの建設工事が進むころ、思いがけずホーテンス危篤の知らせがきたので、ゾルバはバジルを連れてマダムの病床にかけつけた。村人たちは彼女の死を今か今かと待ちかまえていた。この村では、死者の財産を勝手に奪いとる風習があったからだ。やがて彼女が息をひきとると村人たちが争って何もかも持ちだしてしまった。ゾルバは言った。「人生なンてはかないもンさ」--ケーブルの工事ができあがると、その竣工式と試運転が行われることになり、村人たちが集まった。ところがケーブルが切れ、支柱が総倒れになってゾルバの技術とアイデアは失敗した。ゾルバはそれでも泰然と構えて少しも動じなかった。「終わりじゃない!やり直せばいいんだ」と叫ぶゾルバ。そして、二人は肩を組みあい、静かに踊りだす。
次回金曜は休みます。先週もシルバー・ウィークで休みがちで、ごめんなさい。