カルテルを結んだとして独占禁止法違反により88億円の課徴金を納付した住友電気工業の役員22名に対して、カルテルの課徴金と同額の損害賠償請求訴訟を起こしていた裁判で2014年5月7日役員らが会社に5億2000万円の解決金を支払うという内容の和解が成立した。
原告側の弁護士によると、株主代表訴訟の和解額としては過去最高になるという。(その前は住友商事の銅取引損失をめぐる約4億3千万円が最高額)
<事件の概要>
住友電気工業は光ケーブルやワイヤーハーネスと呼ばれる自動車用部品の販売で競合他社とカルテルを結んだとして 2010年と2013年に合計で約88億円の課徴金の支払いを請求された。
原告である株主側は ①役員ら経営陣は、違法なカルテルを結ぶことのない様に監視していなければならなかった責任に加えて、違反を自主的に申告することでカルテルの課徴金の支払いを減免される制度を利用しなかった点にも責任があると主張していた。
<和解の内容>
5億2千万円の支払いの合意とともに、和解では3人の弁護士にで構成する外部調査委員会をつくり 原因と責任の所在の究明を行い、再発防止策をまとめるとしている。
また解決金は、内部通報制度や社員の研修プログラムの充実などの費用に充てる。
<この事件と保険>
この様な、株主代表訴訟による損害賠償に備える保険としては、会社役員賠償責任保険(D&O保険)がある。
会社役員賠償責任保険では、違法行為を行った役員の補償はされないことになっているので、今回の場合、カルテルを結んでいたことについて、知らなかった役員だけが、保険による補償を受けられる。
今回、和解内容に外部調査委員会が設立され、原因と責任の所在の究明がされることが決まっています
ですから、この外部調査委員会の調査結果によって保険で救われる役員とそうでない役員がはっきりすることになるかもしれません。
もしかすると、この調査委員会を設立するという和解条件の決定に関しては保険会社が関与しているかもしれませんね。