いぬくそ看板の向こう側

いぬくそ看板の背景に存在する「人間ドラマ」を紹介するブログです。

いぬくそグッズ その2

2020-05-30 11:00:00 | ブログ概要
そろそろネタのタマが切れそうなので、グッズを小出しに紹介します。今回は冊子です。

■いぬくそ看板大全 第1版
私が集めたいぬくそ看板写真を紹介する1冊です。冒頭にいぬくそ看板の分類や鑑賞方法の説明をまとめていますので、実用性にも優れます。暇つぶしになるエッセイも2編載せておりますので、ご自宅で手にとって読んでいただいても退屈しません。

全30ページ、A5サイズですので、袖机の引き出しに入れていただくと、すぐに見失います。そして引き出し整理をしている時に不意に見つけて嬉しくなる事請け合いですよ!お値段は800円です。

アルファロメオ145 その3

2020-05-23 12:00:00 | 背景はクルマ
いぬくそ看板物語(5)

実家近所のスナック「ぽすと」の駐車場にて
静岡での自営業生活は厳しいものだった。フリーランスと言えば聞こえは良いが、全て自分でやらなければいけない。スケジュールを自由に組めるのは良いのだが、交通費や物品購入といった経費は自分持ちで、売上次第ではそれらの費用が無駄になることが多かった。守ってくれる会社が無いので、問題が発生したら全て自分で責任を追わなければいけない。失敗は許されず、挽回の機会すら与えられずに終わってしまう。

この時期の私を支えていたものが2つある。ひとつはアルファロメオ145を運転している時の痛快さ、そしてもうひとつは、そう、いぬくそ看板だったのである。

この頃に撮った看板の特徴は、ロケーションの多様性だ。それまでは割と繁華した場所を活動拠点としていたため、都市部のいぬくそ看板しか注目していなかった。それが静岡に戻ってきたことにより、田舎におけるいぬくそ看板、ひいてはいぬくそ問題へ関心が向かった。

例えばこの写真。家の前でも無ければ、公園でもない。人がフンを踏むことの無さそうな場所なのに看板が設置されている。この状況から、農地をフンから守る必要がある事が想像できる。もっと言えば、用水路の清潔さを保つため、必死な想いで看板を設置した事が見て取れる。人の気持ち、ドラマが想像しやすい状況である。看板のデザインや奇異さを鑑賞するだけではなく、その底流として存在する人間模様が重要であると気付き始めた。

とは言え、この頃はまだ看板が設置されたシチュエーションを追うこだわりは弱く、同じデザインの看板を別々の場所で撮っても「失敗した」と反省することもあった。今は同じデザインだからこそ、設置場所に込められた想いの違いが想像できて尊いと思えるのだが。

同じ看板だが、設置場所が違うから別々のドラマを抱えている
(静岡県富士市でよく見る看板)

クルマといぬくそ看板で支えられた私の生活は、あるつまづきから次第に崩れていく。愛車145を巻き込みながら……。

(つづく)



アルファロメオ145 その2

2020-05-16 20:10:00 | 背景はドラッグストア
魅惑のウィンダーランド

ウィンダーくんはいつも酔っ払っているか具合悪そうにしている

いぬくそ看板を語る前に、あるドラッグストアの事を紹介させてほしい。前回ちょっとお伝えしていた「ウィンダーランド」である。このドラッグストアが私の街角観察、そしていぬくそ看板撮影の原点だ。

仕事の都合でよく利用していたスーパーやドラッグストアで注目していたのが店内POPだ。チェーン店ごとにテンプレートがあり、それをもとに店員さんが手を加えてオリジナリティを出している。有名どころだとツルハドラッグのつるちゃん、クリエイトSDのヒッポちゃん、くすりの福太郎の福ちゃんあたりだろうか。それらは大手のキャラクターということもあり、マスコットキャラクターらしい愛らしさと落ち着きがある。安心して見ていられる。

ドラッグストア業界のマスコットキャラクター達と一線を画す「ウィンダーくん」とは何者か。ウィンダーランドを展開していた高田薬局は、Wikipediaによると、--かつて存在した日本のドラッグストアチェーンである。 --とある。静岡県を中心に南関東と東海に展開していたが、今はウエルシアに吸収され、存在しない。もちろんマスコットキャラクターのウィンダーくんも消えてしまった。

まずはこの画像を見て欲しい。ドラッグストアのキャラクターなのに酔っ払っている。他にも駄菓子やカップ麺といったジャンクフードを食べたり、健康とは程遠い。薬局のキャラなので、常に体調不良にされているのも趣深い。特筆すべきは、店員さんのオリジナルウィンダーだ。

これは「死にそう」というより「死んでいる」感じがする。何より店員さんの「愛」を感じてならない。ウィンダーくんへの愛着や、お客様へのアピール。ウィンダーくんをうまく使って表現している。

「愛」。いぬくそ看板に通じる概念である。

(つづく)

アルファロメオ145 その1

2020-05-09 21:40:00 | 背景はクルマ
アルファロメオ145

■諸元
車名:アルファロメオ・145
駆動方式:FF
エンジン:直列4気筒DOHC(ツインスパーク)2.0L  155PS
変速機:5速MT
大きさ:長4093×幅1712×高1427(単位mm)
ホイールベース:2540mm
車重:1240kg

■どんなクルマ?
アルファロメオの小型車の系譜として1994年に登場したハッチバック型のクルマである。ほぼ5ナンバーサイズでありながら、アルファロメオの走りの良さを象徴するツインスパークエンジンを搭載しており、小粒でピリリと辛いモデルだ。新車価格が当時の欧州車としては手頃だったこともあり、アルファロメオを身近なものにした立役者とも言えよう。

■考えもしなかった出逢い
フォードKaの不調を見てもらった焼津の車屋さんは、欧州車を得意としていた。高い修理代を負担してKaに乗り続けるか、別のクルマを探すか。お金の無い当時の私は悩んでしまった。その様子を見た車屋さんの店主が、私に提案してくれた。

「アルファロメオに乗ってみないか?」
手頃な145が在庫として置いてあったのだ。イタリアの高級車というイメージしか無かった私にとって、意外過ぎる提案だった。でも、イタフラ車ゆえ手が届く値段だ。選択肢が増えたために悩みが増してしまった私に、店主はアルファロメオ156を代車として貸してくれた。エンジンは145と同じツインスパーク2.0Lだ。これに乗ってエンジンの味を試してみろ、という事だったのだろう。

■痛快過ぎる鼓動 -ENGINE-
156はセレスピード(AT車だがマニュアル車と同じ仕組みのミッション)で、慣れない運転感覚だったものの、軽自動車並のクルマしか乗っていなかった私には、パワーがあって運転しやすい印象だった。これならいけるかな?そう思い、145に乗り換える事に決めた。

当時の仕事は収入が少なく、親に食べさせてもらっているような状態だった。真っ赤で派手な外車で帰ってきた両親は呆れ顔だったのが印象深い。しかし、乗ってみるとそんな事がどうでも良くなるくらい気持ちの良いクルマだった。

スポーティなクルマに乗るのが初めてだったので、走る、曲がる、止まるがこれほど気持ち良いものだったのかと感動した。馬力の割に小型で軽量という145の美点である。しかも私が乗った個体は足回りに手が加えられており、「曲がる」の快感を存分に味わうことが出来た。

一番の魅力はエンジンである。回せば回すほど高まるパワー。官能的なフィーリングというありきたりな表現で簡単に言ってしまうが、その通りだから仕方がない。その気にさせてくれる吸気音と、直列4気筒の野太い排気音が追いかけてくる感じがまたたまらなく気持ち良い。真夜中の国道のトンネルで窓全開にして走ると、その加速感とエンジン音に包まれて絶頂に至ってしまう。

■いい看板への誘い(いざない)

ウィンダーくん
良いクルマではあったが、さすがに3ナンバーで住宅街をうろちょろするのは疲れる。パソコン出張サポートやラジオの取材で町中を彷徨くには向いていない。そもそも真っ赤なイタ車で営業する事がダメだった気がするが。

そこで、145に乗るようになってからは、目的地の周辺のスーパーやドラッグストアにクルマを止めさせてもらって、徒歩で客先に向かうようになった。用事が済んだら買い物をして帰る、といった具合。そんな中で出会ったもののひとつが「ウィンダーくん」。ドラッグストアチェーン「ウィンダーランド」のマスコットキャラクターだ。かなり攻めたキャラだったので、店頭の彼を撮り始めたのがこの頃だ。

そして、田舎道で出会ったいぬくそ看板の味わい深さに気づいたのもこの頃だったのである。

(つづく)

フォードKa その3

2020-05-06 14:00:00 | 背景はクルマ
いぬくそ看板物語(4)

2012年6月13日、静岡県焼津市にてKa最後の勇姿
Kaについて書き残していた事があった。このクルマで実家に逃げ込んだ後の顛末である。それと、静岡におけるいぬくそ看板との新たな出逢い。

2012年4月に静岡の実家に帰ってきて、始めたのがコミュニティFMのディレクターである。小さい頃から親や兄がラジオを聴いていた影響で、私も日常的にラジオを聴いており、馴染みがあった。ビジュアルに依らない、言葉だけのメディアというのが良い。

ただ、FM局に社員として入社したわけではなく、フリーのディレクターとして業務委託されていただけなので、収入が少なすぎた。結局集中してラジオに専念できず、パソコン出張サポートもやりつづけることになってしまった。

パソコンの仕事で静岡の中でも藤枝や焼津といった「より静岡らしい」エリアをうろついていたのだが、クルマ中心の出張サポートなので消耗が激しかったらしく、元から弱かったブレーキローターが完全に逝ってしまった。このままパソコンの仕事を引退か、と、少し考えた。でも、いぬくそ看板を追い続けたかったのか、結局別のクルマに乗り換えることにした。