窓辺びより

毎日が平凡だなんてとんだ勘違い。カーテンを開けよう。ほら、今日も窓辺びより

(空想) 詩集

2010-07-28 13:21:46 | 空想

詩集と名のつく本の
ページの下半分は大抵真っ白で
買った人はみな怒るのだ
本代返せ
半分返せ
真っ白なページの代金返せ

困った店主は
仕方が無いからハサミを出して
ちょきちょき詩集を半分こ
だってほらあなた
詩集と日記帳のセットなんですよ
買い得価格で奉仕しましたのに

そんな冗談で済むと思うか
もういいこの話は結構
半分の詩集を投げ出して
みなは帰る
ぷりぷり怒って
みなは帰る

本屋に残るセットの日記帳
おびただしい数の白い紙

詩集と名のつく本の
ページの下半分は大抵真っ白で
あれはやはり誰かが
誰かが書かなくてはならないのだ
半分が真っ白の
往復はがきの要領よろしく

困った店主は
仕方が無いから
日記帳だけを軒先へ
何故か何故だか
日記帳は人気に売れる

返事をするのが苦手になった
僕らはその分
自分の言葉に興味津々

今日も本屋に売れ残る
詩集と名のつく本の
ページの下半分はやはり真っ白