<無保険の子>高校生1万人超…法改正で救済方針 厚労省
親の国民健康保険(国保)の保険料滞納で生じた「無保険の子」問題で、国保法改正により4月に導入された救済策で対象外となっている「高校生世代」が全国に一万数百人いることが、厚生労働省の調査で分かった。
「無保険の高校生世代」の全容が明らかになったのは初めて。厚労省は来年の通常国会に国保法の再改正案を提出し、救済に乗り出す方針。
厚労省は11月から都道府県を通じ、「無保険世帯」の高校生世代の人数(9月時点)を集計していた。 昨年12月の法改正で、親が保険料を滞納しても、中学生以下の子どもには期限6カ月の短期保険証を切れ目なく発行するよう、市町村に義務づけられた。しかし高校生世代については、民主党が昨年11月、社民、国民新と野党3党で救済対象を「18歳未満」とする改正案を提出したが、当時与党だった自民党が「親の滞納を助長する」などと難色を示し、対象外になった。
厚労省は、児童福祉法が対象年齢を「18歳未満」としている▽民主党がマニフェストで「高校の実質無償化」を掲げ、高校生の心身の健康確保が必要--などの観点から法改正に踏み切り、救済対象を高校生世代に広げる方針。 中学生以下の「無保険の子」については、昨年9月の厚労省調査で全国に約3万3000人いたことが判明している。
【平野光芳、清水健二】 (毎日新聞 - 12月15日 11:33)
- <貧困率>日本15.7% 先進国で際立つ高水準
長妻昭厚生労働相は20日、国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」が、06年時点で15.7%だったと発表した。日本政府として貧困率を算出したのは初めて。経済協力開発機構(OECD)が報告した03年のデータで日本は加盟30カ国の中で、4番目に悪い27位の14.9%で、悪化している。日本の貧困が先進諸国で際立っていることが浮き彫りとなった。
相対的貧困率は、国民の年収分布の中央値と比較して、半分に満たない国民の割合。今回政府はOECDの算出方法を踏襲した。06年の17歳以下の「子供の相対的貧困率」は14.2%で、同様に03年のOECDデータの13.7%(30カ国中、19位)より悪化している。
03年のOECDデータで貧困率がもっとも悪いのは、メキシコ(18.4%)で、トルコ(17.5%)、米国(17.1%)と続く。最も低いのはデンマークとスウェーデンの5.3%。
長妻厚労相は「OECDの中でもワーストの範ちゅうに入っており、ナショナルミニマム(国が保障する最低限度の生活)と連動して考えたい。来年度から支給する子ども手当で貧困率がどう変化するかもシミュレーションしていく」と述べた。【佐藤浩】
「派遣切り」問題で注目を浴びた「反貧困ネットワーク」事務局長の湯浅誠さんが新政府の政策参与に内定したそうで、注目しています。