池田湖通信

指宿市池田湖から鳥見人の写真エッセイ

78号「池田湖の秋」

2010年10月06日 | Weblog
先号でこの夏池田湖周辺でキリギリスがいなかったと書きました。夏は異常気象ということで、ほかにも変わったことが起こりました。けれども本日10月6日ともなると朝夕はめっきり涼しくなって来ました。涼しいというより寒いくらいです。先日近く(車で10分くらいの標高577㍍にある千貫平という名前の公園に行ってみました。

榊が小さな島のように点々と群落状にまるで人が植えたような状態で生えていて、開聞岳、桜島、池田湖、錦江湾が一望できる公園になっている場所で、私たちが中学の頃、遠足に来たところです。この場所に来ると当時を思い出します。

私は、ここで錦江湾を行き交う舟を見ながら、東京へのあこがれを夢のように考えたり、将来のことを思ったことなど思ったのでした。

現在63歳で不治の持病を抱えてあの頃と同じ風景を眺めて「灌漑ひとしおだ」と、つぶやいたりしてみるとなんだか柄にもなくしみじみとした気分になります。

ここは高所湿地帯でもあって、モウセンゴケが自生しています。少し下の照葉樹林の中にはこの土地特有のツチトリモチもあります。そしてアケビやムベ(鹿児島弁ではウンベ)などもたくさんあります。

公園になっている頂上には、なんといっても草原の秋の花々がたくさん咲いています。写真のリンドウ、ワレモコウ、オミナエシ、アザミ、残年ながら私の知らない花もたくさんあります。それに集まる蝶がいます。これも名前がわからないものもいます。

10月10日はここで私たちの同じ病気の仲間と花を見ながら散歩をする予定です。この日は家から2時間ばかり離れた金峰山という山の頂で日本で夏を過ごした野鳥の鷹の仲間達が南シナ海を目指して群で渡る最盛日に当たりますが、今年はそこには行かず秋の野草の花を見ようと思っているところです。