池田湖通信

指宿市池田湖から鳥見人の写真エッセイ

109 オオバン(大鷭)

2012年11月26日 | Weblog
愛用の新明解国語辞典には、からだの大きくて黒い水鳥。頭には白くて短い毛が有り、足は青黒い。数え方1羽。とある。ウィキペディアによれば、ツル目クイナ科オオバン属に分類される。とあります。水鶏(クイナ)の仲間ということになるのでしょう。クイナもいざとなると、泳ぐことがありますが、オオバンはしょっちゅう泳いでいる。群れも作るから、よくカモの仲間と間違われて、クロガモがいると言う人もいます。

池田湖では、近年数が増えているようです。晩秋渡ってきますが、日本の北部で繁殖し、冬期南部に移動するらしいので、渡り鳥とは呼ばないのが普通だと私は思っています。渡り鳥は、国を超えて移動する鳥のことだと、私は認識しているからそう思っています。
池田湖では植物(藻類)を食べているようです。しかし、冬が深まりあまり藻が多くない池田湖では、岸辺の焼き芋屋が捨てるくず芋に餌づいています。だいたい植物質の餌が好きなようですが、雑食の傾向もあるようです。数が増える傾向にある池田湖では、湖底や水の汚れと羽数の増加が平行しているのではないかと思われます。

くちばしは白くて、くちばしに続くひたいも白く見えます。ここの部分を額板と呼びますが、ここは羽毛がないようです。しかし、私は身近で観察したことがないので、オオバンを釣り上げた人が近所にいるので、確認してみようと思っています。池田湖ではばくだん仕掛けで鯉やゲンゴロウブナを釣る人がいますが、ばくだん仕掛けに時たまオオバンが掛かってしまうのです。

よく泳ぐ足にはひれはありません。カイツブリと同じようないわゆる弁足です。カモの足指は、いわゆる水かきです(指と指の間に膜がある)ですが、オオバンは指が弁のようになっているのです。鷭というやはり水鶏の仲間がいますが、この鳥は普通の鳥の足指です。普通じゃなかった。かなり長い指ですが、この長い指は羊草(ヒツジクサ)のような葉の上を、水に沈まず歩くために適しているようです。鷭より大きい鳥なので、単純に大鷭と名付けたようです。

昨日、写していると近くの人が、「あの鳥雌雄でどこが違うのですか?」と私に質問してきました。とっさに、「雌雄同色で区別は私にはつきません」と応えましたが、確信はありません。

温かく少し風があって、目前でボンタンの黄色く色づいた大きな実がゆれている、18℃の池田湖でした。


108 マミチャジナイ♀

2012年11月23日 | Weblog
使い続けてきた600ミリ望遠レンズに寿命がきた。昔、新橋で中古を手に入れて愛用してきたやつだ。当時は新橋あたりに中古品を扱うカメラ屋が数件あって、店のオヤジの話がいかにもカメラを好きだという感情がこもった話しぶりで聞くだけでおもしろく、私はカメラに詳しくないので、客とオヤジのやりとりをカメラケースを覗くふりをしながら聞くのが好きでした。聞いているうちに、自分もいっぱしのカメラマニアになったような気分を味わえたものでした。

ある日、ついに600ミリ望遠と×1,4のテレコンバーターを購入した。当時「大枚をはたいて買い物をした」という高ぶった感覚になった記憶がある。うれしくて職場の仲間に電話で購入を知らせたものだ。子供がほしくてほしくてたまらなくほしかった物がようやく小遣いを貯めて手に入れた、あの感覚というか、喜びの感じです。わかります?それほどうれしかったのですね。以来30年愛用してきた、このレンズでは、こんな事もあった。印旛沼の土手から転げ落ち、体は地面に転がったものの、このレンズだけは片手で支えて地面へ激突するのを防いだ。また、花の撮影に出かけた帰り、上野池之端の居酒屋で、したたかに酔っぱらいカメラや2本の交換レンズを紛失した事があったが、このレンズだけは、不思議に無くすことなく、今日に至っている。文字通り「相棒」だと思っている。しかしこの数年は写した写真のピントが合っていないものが多くなっている。中古で購入したのだから、それまで何年間くらい使っていたのやら検討がつかない。ですからもう寿命がきたのだろうと思っていた。

私の持病である糖尿病もレンズに負けず劣らずの年期が入っている。昨年は糖尿病の合併症で、左目の網膜出血をきたし、出血した血液が硝子体を汚して視力が落ちてきたのです。それで行きつけの眼科で硝子体をきれいにし、ついでに進行していた白内障の手術もしました。本年に入って今度は右目も同様の手術を行いました。2回の手術によって現在視力は、1,4くらいです。くらいと書いたのは、日によって若干ですが視力が変わります。若い頃は、2,0という視力でした。それに比べると、今はずいぶん落ちましたが、テレビを見たり、車を運転するのには何の不便もありません。しかし老眼は進行していますから、老眼鏡は必需品です。

ところが、目の手術のおかげなのか、ぼけていた写真のピントが少しだけ良くなったような気がしてきたのです。そうなると折から冬鳥の季節となり時間があれば毎日撮影するようになりました。

マミチャジナイの話、先の号には、シロハラだろうと思いつつ写してみると、久しぶりのマミチャジナイ♂と出会った事を書きました。♂を見たのは、あのときだけでした。その後、小春日和(11月でも、この言葉使っていいのかしら?)になるとキョロンキョロンツイーとアカハラが鳴いている。(アカハラが我が家で、さえずるのは、秋の渡ってきてしばらくの時期と春、渡去前だけです)我が家の熟柿を食べていた画像の鳥を最初に正面から見たとき、鳴いていたアカハラだ、と思ったのです。ところが白っぽい眉がついているではありませんか。アカハラには眉はない。これも私としては初認のマミチャジナイ♀だと改めて気づいたというわけです。

アカハラは、漢字表記すると、赤腹と書くから、お腹が赤い鳥と思うかもしれないが、お腹というより脇腹が赤みがかっている鳥です。107号の鳥はマミチャジナイ♂だと思われます。眉茶鶫(マミチャジナイ)漢字表記するとこのように書くらしいから、この♀の眉が薄い茶色のほうが、名前にふさわしい(名は体を表すにふさわしい)気がします。和名をつけた人は、だれだか知らないが、♀を見て名付けたのではなかろうか?なんてことを私は思いましたね。

センダンの実も黄色く色づいてきた。クロガネモチは真っ赤に熟れ始めし、柿はそろそろおしまいだけれど、ハゼやヌルデも熟れ始めた。この分で行けば、今年は野鳥の餌は多そうだ。望遠レンズもまだ使えそうだし、私の目もしばらくは使えそうですし、今冬は昨年より鳥は多そうだし、けれども当たり前のことだが私の体は一つしかない。
忙しい年末になりそうだ。ストーブも出さなくちゃ。
気温16℃の池田湖でした。

107 マミチャジナイ

2012年11月01日 | Weblog
40年くらい前、戸隠高原探鳥会に参加したときイチイの木にきていたのを見たことがある。それ以来の出会いとなった。本日は鹿児島も珍しく肌寒い日で先日やってきたシロハラが庭の柿に来ることを期待して待っていた。
渡来して間もなくの野鳥はカメラや人を警戒するのか、体をさらしたがらない。しかしシロハラの鳴き声が近くで聞こえるのでカメラを構えて姿が見えるのを待っていた。秋の夕日は落ちるのが早い早く来ないと写らなくなる(日が落ちる画像写らない)と思っていたら一羽現れてた。シロハラかな、アカハラかなと思いつつファインダーを覗くと真っ白な眉班が見える。マミジロかと思った。マミジロにしても池田湖で見るのははじめてだな、などと思いつついや違う。何だっけ、すぐには名前が浮かばなかった。しばらくしてマミチャジナイという名前を思い出した。

改めて図鑑を開くと旅鳥(たびとり)で日本にはまれにやってくる。と書いてある。思い出した、30歳になる前、戸隠へ東京支部の探鳥会参加したことがあった。宿坊に泊まり美味しい手打ちそばをいただき翌早朝支部遠出探鳥会の恒例となっている、朝飯前の早朝探鳥会に出たとき、宿の庭にあるイチイの木でちらりと見たことがあった。そのときはこの鳥の存在を知らなかった。35~36年ぶりの出会いだった。

眉茶鶫、漢字表記すればこう書くらしい。眉の茶色いツグミという文字の意味だ。しかし眉は真っ白だった。長野で見た個体も今回見たやつも真っ白だった。シベリアあたりで繁殖して東南アジアへ渡る途中に、時々日本へ立ち寄ると記述されている。まれに南西日本でも越冬する個体があるということ。地球規模で渡る「旅鳥」が我が家に立ち寄ってくれたと思うとそれだけで楽しい気持ちになった。鳥が気持ちをほぐしてくれることもあるんですよ。この冬は(まれ)があたって我が家に居つく冬になったりして、などと思うと、窓から差し込む朝の日差しを受けた暖かさにプラスして心豊かな気持ちになった。

今朝は、キジの親子が庭にきた。雄親と大きくなったけれどまだ雌雄の区別がつかない雛が2羽、親鳥は私に気づいて飛び立ったけれど、雛は藪の中で姿は隠して、飛べるくせに逃げないで、ぴよぴよ鳴いている。しばらくして、物置の陰から飛び立った雄親が現れて、雛を連れて徒歩で逃げていった。いいものを見た。

昨日は昨日で、眼前でマヒワ♂2羽が地面で餌を食べているのをみた。近所の住人が「人を怖がらない鳥がいる」と知らせてくれたのだ。この鳥もずいぶん前、千葉県八千代市総合運動場で、サルスベリの実を食べているのを写したことがあった。それ以来でした。写真は暗すぎて写せなかった。

友から、一位の実落ちてなほこそ映へてをりというすてきな句もいただいた。
今年の冬は、いいことありそうだ。
気温18℃の池田湖です。