伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

確率論的リスク評価とは?(お勉強)

2015-01-31 09:41:24 | 確率論的リスク評価

 伊方原発3号機をモデルケースとして、確率論的リスク評価(PRA)を行い、安全性のリスコミに役立てよう、という趣旨の原子力リスク研究センターが電力中央研究所に出来ています。

 松山市の公聴会、八幡浜市の公聴会や原子力防災の講演会で推進派の講演をよくしている山口彰東大教授は、この電中研原子力リスク研究センターの技術諮問委員会の委員にもなっています。

 そして、昨年10月に開かれた第一回の評価会合では四国電力も出席して伊方原発をモデルケースの対象にして意見交換が行われています。
http://criepi.denken.or.jp/jp/nrrc/tac/pdf/1st_summary.pdf

 実際の現状では、原子炉メーカーである三菱重工が評価をやっているとのこと。一回目の会合の報告書もすでに公表はされています。
http://criepi.denken.or.jp/jp/nrrc/tac/l-report.html
 ここにいろいろ資料が置かれているようです。アメリカのNRC関係者が多いので英語が正文となっています。
 日本の原発のPRAの現状についてのレビュアーからの率直な指摘に応えて、電事連は、このような返事をだしています。

ということで、まだPAあるいはリスクコミュニケーションの手段として使えるレベルではないもの、という評価になっているようです。

 

 なので、まずは、この確率論的リスク評価とはどのようなものか、を脱原発側の専門家、後藤政志氏の講演の動画記録(一番上の図)の中から、関係のありそうな資料を切り貼りして紹介しておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=vgkPnREvy6w&feature=youtu.be

●一番上の図より

事故シーケンス(動作の順序)を炉心損壊まで追いかけたものがレベル1、

格納容器破壊まで追いかけたものがレベル2、 過去のものはWASH1400(ラスムッセン報告)、NUREG1150など。

実際には日本ではレベル2の手前のレベル1.5までしかやらないのが現状のようです。(死亡者何人、などという予測が一人歩きすることを嫌ってのことでしょう。)

●一つ一つの事故シーケンスはこちら。

●そのシーケンス一つ一つについて、成功と失敗の発生確率を追いかけていって、最終的な失敗(フォールト、右端の事故シーケンスグループの赤枠で囲った事象)に到る確率を複数の失敗ケース毎に確率をかけ算していきます。使用した発生確率は、過去の実績に基づく数値が多いですが、分からないものは、専門家を5人並べて投票させて数字を作る!とのこと。こちらはイベントツリー、時間軸に沿ったもの。

●同じことだけれども、時間軸上を追いかけるのではなく論理ゲートで構成されたフォールト(失敗)ツリー。枝の分かれ方は、ANDとORの二通り。

●これは柏崎刈羽の6,7号の審査で提出されたデータ。起因事象別の損傷確率を比較すると、全体の事故の97%が補機冷却系機能喪失。ほんの一部が外部電源喪失。

●ほんとうに直感的にみてこれが正しいのか、後藤氏は留保をおいています。疑っている。

●事象別では津波そして地震、が99%、全炉心損傷確率は2.3×10^-4回/炉年。

●内部事象によるもの、津波によるもの、地震によるもののそれぞれの最終事故シーケンスはそれぞれ分布が異なります。

●各事故シーケンスの略語の解説、(いやまあようけあること。)

●コア・コンクリート反応やら水蒸気爆発、水素の格納容器リークなどなど(レベル1.5でもほんとに強力なアクマが出てきてトラウマになりそうな予感)。これらの一つ一つの発生確率を十分低い、と技術的に詰めることができているのか?を後藤氏は問うています。

そもそもレベル1では外部事象としての津波を想定することが抜けていた(いやいや起こることは十分分かっていて政治的に低い確率に発生確率を見積もっていただけなんです(岩波新書『原発と大津波 -警告を葬った人々』添田孝史著参照のこと))という実例があるのに、と。

●「私が今回、一番衝撃を受けたのは…炉心損傷すると格納容器は自動的に壊れます?だとすると格納容器は無意味だ、私は何をやってきたんだろう。原子炉の設計において、格納容器対策が意味がないということ。ターゲットは1/10にすることだった。数分の一にもならない、無意味だ。」

 と、かつての原子炉格納容器設計者である後藤氏は語っています。

 

 後藤政志氏は、現在川内原発の隣接自治体で連続講演会をして廻っています。

原子力市民委員会の中間報告で2013年12月に松山に廻ってきた時の講演録画もこちらに紹介しておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=kwyDFDy4oE4&list=UUbP52p5_OfkMotDrv2RTr3A

 

 

確率論的リスク評価を真剣に採用するなら、川内原発は決して再稼働できない」 へつづく

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