PHP『心に響く・名経営者の言葉』
第7章 先見の明を養う・No.008
「問題の原因を分類し、多い順にA,B,Cと
並べる。そして、最大の原因であるAから三つないし四つ
までを解消すれば、問題の八割は解決する」
大星公二 元NTTドコモ社長・会長(1932~)
大星公二は北海道札幌市で生まれる。昭和32(1957)年に東京大学法学部を
卒業すると、日本電信電話公社(現在のNTT)に入社した。
エリートコースに乗っていたが、気骨のあるところが災いして上司と衝突
することが多く、同期よりも出世が遅れていた。
とくに中岡電気通信局長時代、地域の雇用創出を行なおうとして、駅前にあ
った中国電気通信局の敷地の一部をゴルフ練習場などに改修したことに対し、
当時の社長・真藤恒が激怒。さらに出世が遅れることになる。平成4(1992)
年にはNTTの常務取締役からNTT移動通信網(現在のNTTドコモ)の
社長に左遷々された。
今でこそ巨大企業になったドコモだが、当叶の移動通信網は200億円以上の赤字を抱える
お荷物的存在だった。NTTの経~陣は、その責任を扱いにくい大星に取らせ、詰め腹を切ら
せようと考えたのだろう。
だが、大星は諦めなかった。社長になって最初に行なったのは「なぜNTTの携帯電話が売
れないのか」というリサーチだった。顧客から苦情を集めた結果、「通話が途切れる」「料金が
高すぎる」などの問題点が浮上。大星はこれらの苦情を確実に解決していった。
なかでも大英断とされたのは莫大な設備投資である。200億円の大赤字を抱えながら、
500億円規模で全国に基地局を建設。さらに10万円の保証科を全廃したのである。
これがきっかけとなり、NTTユーザーの数は急激に増加し始めた。
そして平成11年には、リモードサービスをスタート。2年間で2000万人の顧客を獲得し、
NTTドコモを4000億円を超える利益を計上する大企業に育て上げることに成功した。
どんなに元気のある企業や店舗でも、売上げが急に落ち込み始めるときが来る。
こんなときにただ首をかしげているだけでは、売上げは落ちていくばかり。
結果には必ず原因がある。
手をこまねいていないで、いち早くその原因を突き止め、それに対処することが売上げ
回復の近道だ。
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