只今、リクエスト便乗企画 第2弾、開催中です。
『3部作ドキュメント ~学園祭~ 最終話:舞台の中心で疲れてた男』 始まります・・・
僕に選択肢は2つあった。
死ぬ気で練習して本番を乗り切るか。 ・・・ホントに死ぬか。笑
・・・誰だって前者を選びますよ! やりますよ!! やってやりますよ!!
半ばヤケになりつつも、それまでの人生で1番の集中力を持ってドラムの練習の取り組む私こと吉田翔人。
あぁ、神様。 自業自得とはいえ、これだけ頑張ってるんだから、僕が死んだ時にはあなたが率先して僕の天国行きの書類を書いてくださいね。 金なら無い。 多分。
あの世の通貨が何なのか知らないけど、ワイロ以外に神様の心をグッと掴むような土産物は何か無いかと考えつつ、練習の日々は続き、そして文化祭当日を迎えた。。。
バンド演奏というのは文化祭の後半にあり、生徒達が1番盛り上がる、言わば文化祭の目玉。
そんな目玉のド中心にいるであろう僕。 露店のたこ焼きや、その他ゲームなんてもんを楽しめるはずもなく、体感時間2日ぐらいの長い午前を越え本番へと気合をいれる。
気合といっても、前にも言ったとおり、僕はあまり人前が得意なタイプではないため、とっくの昔に緊張は臨界点を突破。
今日1日で一生分動いてるんじゃないかと思う心臓を憂いつつ、ただじっと体育館の舞台裏の暗く陰湿な空気を吸いながら、我をどこか彼方の空へ飛ばしていた。
そしていよいよ本番の時は来る。
みんなの本番はだいたい持ち時間の6分くらいだが、僕はその10倍、約1時間は本番なのだ。
ここまできたら後はどうにでもなるさ。 どうにもならなかったらその時考えよう。 そんな心境だったのをよく覚えています。
実行委員のナレーションが入り、1つ目のバンドが紹介される。 観客生徒群はのん気なもので、待ってました! と言わんばかりの歓声が体育館に響き渡る。。。
・・・・・・公開処刑だけは避けよう。
歓声のステージに上がり、短期間ではあるが苦楽を共にしてきたドラムセットの後ろへ。 イスに腰かけ、今やボロボロになったスティックを両手にいざ準備完了。
ステージに向けられていたライトが薄くなり演奏開始を促す。観客は静まる。そして気づけば、ステージから観客の顔が見えるようになっていた。 が、しかし。
この瞬間、今まで味わったことの無い緊迫感、圧迫感、虚無感を全身で受けている事を肌が感じ、五感全てが麻痺してしまったんではないかと思うくらいの空白が怒涛のように押しかける。。。
そして体が動かない。
「カウントを出さなきゃいけない」
頭ではそう思っていても、体がメデューサに睨まれて石になったように動かない。 元々、人前に出るのは得意じゃない。そんな事わかってる。 でもまさに、「こんな時にそんな場合じゃないんだ・・・」
この間、いったい何秒の時が過ぎていただろうか。 5秒くらい? もう10秒以上たったのか? 感覚無し。 永遠にも似た数秒間とはこのことww その中で必死に我を取り戻そうとする。。。
そんな時、ベース担当のヤツがこっちを向いた。 そいつは、クラスは違うけどどこか馬の合う男。 いつもと同じ、平然とした顔つきのままそこに立っている。 そして・・・
「よし。 いこっか!」 と、僕に言葉をかける。
その瞬間、全身の感覚が戻った。 血管に血が巡っている事。 心臓が動いている事。 頬をつねれば痛い事。 目を開けている事。 そこには前髪がある事。
カウントを打ち鳴らす。 やっとスタートがきれた瞬間でした。
曲が始まる。 歓声の有無はわからない。 演奏の音で聞こえない。 聞こえてたとしても、この時の僕には感じれなかったと思う。 一番大きく聞こえてたのは自分の鼓動だったから。その音は複雑な変拍子みたいで音の強弱にも統一感がなかったような・・・ww その上、相変わらず頭もハッキリしてない。。。
そんな感覚を持ちながら演奏は続く。 ミスしたかどうかも覚えてないほどの妙なテンションで・・・ww
やがて曲が終わり、ここでやっと自分がバンドで演奏している実感が沸いてきた。その後押しとなったのは、演奏終了と共に上がった観客生徒群の歓声だった。
この時、この学校という狭い世界。 その中心は、自分達が立っているこの文化祭の小さなステージだと感じたのを覚えてます。
始まる前までは眩しいと感じたライトの光も、ある種の異常な光景に見えた景色も。 今では住み慣れた実家のような感覚で捉えられる。
その後も、1バンド、また1バンドと演奏を繰り返す。 僕はずっと同じなんでドラムのとこに座ったまま。笑
そして最後のバンドの演奏が終わる頃には、あんなに乱れていた鼓動も綺麗な4拍子を刻み、観客の声援も耳で捉えられるようになっていました。
頭もスッキリ! 最後の音を鳴らし終わったと同時に、やっと目が覚めたって感じの爽快感が残響音と共に僕に響く。
大きな拍手に包まれる体育館。 毎日部活で使っていた場所なのに、今や別世界。 視点1つでこんなにも変わるものなのかと驚きつつ、辺りを眺める僕。
そこには、短い時間で様々な景色、感情をくれた世界。 その切なくも儚い一瞬の世界が幕を閉じる。 そんな嘘みたいな世界がさっきまで続いてた。
・・・というわけで、全バンド終了!!
舞台袖に戻った時には、文字通り肩の荷が下りたかのように全身が軽く、疲労感もあったけどそれより達成感の方がコールド勝ちしてる感覚。
他のみんなも同じ感覚なようで、まるで宝くじでも当たったかのような笑顔で互いを労い騒ぐ・・・・・・
やがて、観客の生徒も体育館から消え、僕らはそんなテンションのまま舞台に戻り、片付けという嫌がらせのような作業を開始。 で。。。
「お疲れ~、疲れたなぁ。」 と、1人の男が声をかけてきた。 本番中の空白から僕を救ってくれたベースのヤツだ。
その後ろから、「でも楽しかったね~」 とかって、最初に僕をドラムに誘った例の女子が言う。
「ね、ホント。 疲れたね」 とかなんとか適当に言い返して、2人は笑いながら楽器やアンプを持って舞台から降りていきました。
舞台にはドラムセットと僕だけが残り、これだけの物を1人で片付けろってことか? と、苦笑いしながら渋々淡々といたってマジメに片付け作業続行。
もっとこういうとこを先生が見ててくれたら僕の内申ももっと上がるんじゃないか? とかなんとか嘆きつつも、全部片して終り!!
お疲れ様でした~!!
と、いうわけで最終話を終わります。 3回にわたってありがとうございました。。。笑
この出来事は完全にノンフィクション。 体験談です。 この後高校でバンドを始め、今のメンバーも含め、様々な人達に出会いました。
この時に文化祭で感じた 「疲れ」 というものが、この後、バンドという道を選んだ理由かもです。 普通とは違う、特別な疲れだと感じました。
もしも僕が、人前に出る事に何の抵抗もなく、すんなり終わっていたら、おそらく今、バンドはやってないでしょう。
そういったものをこの時に感じ、なんとな~く乗り越えたからこそその感覚が忘れられないんだと思いますww
苦手な事でも克服出来るって事ですかねww 今でもやっぱり苦手ですが・・・(_ _;)
それと同時に、心から思えば、状況って少しずつでも変えていけるものだと思います。
そう思えば、逆境でも頑張れる気がしません??笑
『3部作ドキュメント ~学園祭~ 最終話:舞台の中心で疲れてた男』 始まります・・・
僕に選択肢は2つあった。
死ぬ気で練習して本番を乗り切るか。 ・・・ホントに死ぬか。笑
・・・誰だって前者を選びますよ! やりますよ!! やってやりますよ!!
半ばヤケになりつつも、それまでの人生で1番の集中力を持ってドラムの練習の取り組む私こと吉田翔人。
あぁ、神様。 自業自得とはいえ、これだけ頑張ってるんだから、僕が死んだ時にはあなたが率先して僕の天国行きの書類を書いてくださいね。 金なら無い。 多分。
あの世の通貨が何なのか知らないけど、ワイロ以外に神様の心をグッと掴むような土産物は何か無いかと考えつつ、練習の日々は続き、そして文化祭当日を迎えた。。。
バンド演奏というのは文化祭の後半にあり、生徒達が1番盛り上がる、言わば文化祭の目玉。
そんな目玉のド中心にいるであろう僕。 露店のたこ焼きや、その他ゲームなんてもんを楽しめるはずもなく、体感時間2日ぐらいの長い午前を越え本番へと気合をいれる。
気合といっても、前にも言ったとおり、僕はあまり人前が得意なタイプではないため、とっくの昔に緊張は臨界点を突破。
今日1日で一生分動いてるんじゃないかと思う心臓を憂いつつ、ただじっと体育館の舞台裏の暗く陰湿な空気を吸いながら、我をどこか彼方の空へ飛ばしていた。
そしていよいよ本番の時は来る。
みんなの本番はだいたい持ち時間の6分くらいだが、僕はその10倍、約1時間は本番なのだ。
ここまできたら後はどうにでもなるさ。 どうにもならなかったらその時考えよう。 そんな心境だったのをよく覚えています。
実行委員のナレーションが入り、1つ目のバンドが紹介される。 観客生徒群はのん気なもので、待ってました! と言わんばかりの歓声が体育館に響き渡る。。。
・・・・・・公開処刑だけは避けよう。
歓声のステージに上がり、短期間ではあるが苦楽を共にしてきたドラムセットの後ろへ。 イスに腰かけ、今やボロボロになったスティックを両手にいざ準備完了。
ステージに向けられていたライトが薄くなり演奏開始を促す。観客は静まる。そして気づけば、ステージから観客の顔が見えるようになっていた。 が、しかし。
この瞬間、今まで味わったことの無い緊迫感、圧迫感、虚無感を全身で受けている事を肌が感じ、五感全てが麻痺してしまったんではないかと思うくらいの空白が怒涛のように押しかける。。。
そして体が動かない。
「カウントを出さなきゃいけない」
頭ではそう思っていても、体がメデューサに睨まれて石になったように動かない。 元々、人前に出るのは得意じゃない。そんな事わかってる。 でもまさに、「こんな時にそんな場合じゃないんだ・・・」
この間、いったい何秒の時が過ぎていただろうか。 5秒くらい? もう10秒以上たったのか? 感覚無し。 永遠にも似た数秒間とはこのことww その中で必死に我を取り戻そうとする。。。
そんな時、ベース担当のヤツがこっちを向いた。 そいつは、クラスは違うけどどこか馬の合う男。 いつもと同じ、平然とした顔つきのままそこに立っている。 そして・・・
「よし。 いこっか!」 と、僕に言葉をかける。
その瞬間、全身の感覚が戻った。 血管に血が巡っている事。 心臓が動いている事。 頬をつねれば痛い事。 目を開けている事。 そこには前髪がある事。
カウントを打ち鳴らす。 やっとスタートがきれた瞬間でした。
曲が始まる。 歓声の有無はわからない。 演奏の音で聞こえない。 聞こえてたとしても、この時の僕には感じれなかったと思う。 一番大きく聞こえてたのは自分の鼓動だったから。その音は複雑な変拍子みたいで音の強弱にも統一感がなかったような・・・ww その上、相変わらず頭もハッキリしてない。。。
そんな感覚を持ちながら演奏は続く。 ミスしたかどうかも覚えてないほどの妙なテンションで・・・ww
やがて曲が終わり、ここでやっと自分がバンドで演奏している実感が沸いてきた。その後押しとなったのは、演奏終了と共に上がった観客生徒群の歓声だった。
この時、この学校という狭い世界。 その中心は、自分達が立っているこの文化祭の小さなステージだと感じたのを覚えてます。
始まる前までは眩しいと感じたライトの光も、ある種の異常な光景に見えた景色も。 今では住み慣れた実家のような感覚で捉えられる。
その後も、1バンド、また1バンドと演奏を繰り返す。 僕はずっと同じなんでドラムのとこに座ったまま。笑
そして最後のバンドの演奏が終わる頃には、あんなに乱れていた鼓動も綺麗な4拍子を刻み、観客の声援も耳で捉えられるようになっていました。
頭もスッキリ! 最後の音を鳴らし終わったと同時に、やっと目が覚めたって感じの爽快感が残響音と共に僕に響く。
大きな拍手に包まれる体育館。 毎日部活で使っていた場所なのに、今や別世界。 視点1つでこんなにも変わるものなのかと驚きつつ、辺りを眺める僕。
そこには、短い時間で様々な景色、感情をくれた世界。 その切なくも儚い一瞬の世界が幕を閉じる。 そんな嘘みたいな世界がさっきまで続いてた。
・・・というわけで、全バンド終了!!
舞台袖に戻った時には、文字通り肩の荷が下りたかのように全身が軽く、疲労感もあったけどそれより達成感の方がコールド勝ちしてる感覚。
他のみんなも同じ感覚なようで、まるで宝くじでも当たったかのような笑顔で互いを労い騒ぐ・・・・・・
やがて、観客の生徒も体育館から消え、僕らはそんなテンションのまま舞台に戻り、片付けという嫌がらせのような作業を開始。 で。。。
「お疲れ~、疲れたなぁ。」 と、1人の男が声をかけてきた。 本番中の空白から僕を救ってくれたベースのヤツだ。
その後ろから、「でも楽しかったね~」 とかって、最初に僕をドラムに誘った例の女子が言う。
「ね、ホント。 疲れたね」 とかなんとか適当に言い返して、2人は笑いながら楽器やアンプを持って舞台から降りていきました。
舞台にはドラムセットと僕だけが残り、これだけの物を1人で片付けろってことか? と、苦笑いしながら渋々淡々といたってマジメに片付け作業続行。
もっとこういうとこを先生が見ててくれたら僕の内申ももっと上がるんじゃないか? とかなんとか嘆きつつも、全部片して終り!!
お疲れ様でした~!!
と、いうわけで最終話を終わります。 3回にわたってありがとうございました。。。笑
この出来事は完全にノンフィクション。 体験談です。 この後高校でバンドを始め、今のメンバーも含め、様々な人達に出会いました。
この時に文化祭で感じた 「疲れ」 というものが、この後、バンドという道を選んだ理由かもです。 普通とは違う、特別な疲れだと感じました。
もしも僕が、人前に出る事に何の抵抗もなく、すんなり終わっていたら、おそらく今、バンドはやってないでしょう。
そういったものをこの時に感じ、なんとな~く乗り越えたからこそその感覚が忘れられないんだと思いますww
苦手な事でも克服出来るって事ですかねww 今でもやっぱり苦手ですが・・・(_ _;)
それと同時に、心から思えば、状況って少しずつでも変えていけるものだと思います。
そう思えば、逆境でも頑張れる気がしません??笑