Mili吉田のブログ

Miliのドラマー吉田翔人です。
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リクエスト便乗企画 第2弾 3部作ドキュメント ~学園祭~ 第2話:自業自得

2009-11-23 11:50:03 | 日記
リクエスト便乗企画 第2弾、開催中です。
『3部作ドキュメント ~学園祭~ 第2話:自業自得と初体験』 始まります・・・


受験に向けてってだけでも息が詰まるような中3のこの時期。
僕の口から出るのは、この時期の憂鬱な心のエンジンに、さらに憂鬱という名のオイルを注ぐような結果になってしまった後悔と、共に吐き出される深ーい溜め息だけでした。
なんでこういう事になるのかねぇ。どこで選択肢間違えたんだろ・・・。 これがテレビゲームなら、速攻リセットして前のセーブポイントまで戻ってるとこだよ。。。
それでも、「嘘を真実に変える」 という開き直りにも似た決意をした僕は、給食に出された苦手な赤味噌の味噌汁を啜りながらその日の午後を迎えた。

僕の中学校は、午前中に1限が75分ぐらいある授業を、3限分こなして、午後は色々フリーという、ちょっと変わった学校だったのですが、そのフリーの午後の出来事。
本来ならこの時間は、行事の準備や、定期的にある研究発表会という大掛かりな授業にむけて、それぞれが調べ物や、校外に出ての現場学習をするような時間なのですが・・・
この時の僕には、そんな悠長な事を言っている時間も余裕もその気も無い。

昼休みに、自分の机の上を見ると、楽譜が置いてありました。 クラスの友達の話だと、僕をドラムに誘った例の女子が、やりたい曲が決まったという事で置いていったそうだ。
音楽室の奥にある倉庫に、文化祭で使うドラムセットが封印されてる事は知っていました。 というわけでフリー時間になるやいなや、一目散に音楽室へ。
途中、これから校外に出る友達の 「何か買ってきて欲しい物ある?」 というリクエストも一切シャットアウト。今日だけは完全無視。それどころではないのだ。

音楽室に入り、そこだけ時が止まったような古臭さを感じる倉庫の扉を開けた瞬間! なんともいえない、古くなった教科書とホコリの混ざったような匂いが鼻をつく。
思わず鼻をつまむ僕。 おいおい、まさかここ誰も掃除してないのかよ・・・。
宙を舞ったホコリが目に入らないように薄目になりながらも、お目当てのドラムセットを発見。 サルベージ。 そして組み立てる。
と言っても、おおよその形のまま収納してあったようで、初心者の僕でも簡単にセットする事が出来たのは幸いでした。

さてと。。。 ここまで勢いで来ちゃったけど・・・。 ・・・ドラムって 「何で」 叩くもんなんだ・・・?
傍から見たらマヌケ極まりない状況。 そう、僕はこの時スティックを持っていなかったのだ。  しかたなく、近くにあった木琴用のバチを拝借・・・
さぁ! 準備オッケー!笑  いざ練習!!  ・・・ん? ・・・ドラムってどうやって叩くもんなんだ?
傍から見ればアホ丸出しな状況。 そう、僕はこの時、叩き方はおろか、どっちの手で何を叩くかも知らなかったのだ。

何を練習したらいいんじゃい!!  自分にそうツッコミを入れるのに時間はかからなかった。 おいおい。ホントにわからないよ・・・。どーしましょ??
しばし考えても答えなど出るはずも無い。 なにせ答えを出すには「X」な要素が多すぎる。 アルキメデスでもそんな方程式は解けるはずが無い。

・・・そんなこんなでドラムを元の位置に封印し直した僕は、方程式を完成させるべく楽器屋に赴きます。
そこで教則本みたいなものがないか探したんですが・・・たまたまその店には、楽譜やその類の本そのものが置いてないという不足の事態が僕を襲います。
しかたなく適当なスティックを購入・・・。そして下校時にレンタルCD屋に行き、貰った楽譜の曲もレンタル。 中学生には痛い出費ですよ。。。
そして夜。家でテレビをつけると、案の定、音楽番組が始まる。 これを狙ってたんです。これを見ればドラムが何をどっちの手で叩いているか、どんなフォームかがわかります。
そうしてだいたいの感じを掴んだ僕は、一人部屋に篭り、両手に新品のスティックを持って、ヘッドフォンでレンタルした曲を聴きながらエアードラム。笑

ドラムの楽譜の読み方なんて全然知らなかったけど、実はそっちはなんとかなる自信がありました。
小さい頃からピアノをやっていた経験があったので、楽譜自体は読めたんです。 目の前の音符がどんなリズムになるのか、それは見れば大体わかりました。
あとは、その音符がドラムでいうとどこの太鼓を叩いているのか、どの音符がシンバルなのか。それがわかれば十分だったんです。
楽譜と曲を照らし合わせて、まるで証拠を元に殺人事件を推理する探偵のような心境で、1つ1つ 「X」 の値を解決していく日々。。。

そんな身から出た錆を処理するような作業の賜物か、数日後にはエアードラムなら、かなりそれっぽく叩けるようになっていました。
そしていよいよ前回完封負けを喫した生ドラムの前へ。。。 今度は準備にもぬかりはなく、イメージもバッチリ! 意気揚々とイスに座り叩き始める。
大体この流れだと、イメージと本物はやはり別物で、実際はうまくいかない。ってな流れになりますよね(^^;) でもピアノ経験があったおかげか、手と足がバラバラに動く事にそれほど抵抗は無く、結構すんなり叩けてしまいました。笑  もちろん初心者なので、今考えればヒドイ出来ではありましたが・・・

そんなこんなで、この時。この時です! バンドマンの多くが、初心者の時に1度は思いがちな世紀の勘違いをします。
「・・・て・・・天才かもしれん・・・!!」
この愉快な勘違いが、その後ドラマーとしてバンドをやっていこうと決めた、1つの加速装置だったのかもしれません。

その後も、そんな脳内晴れマークな気分で音楽室に篭り、1人ドラムを叩く日々を続けていたわけなんですが、もちろん学校の音楽室なので、防音設備が完璧ってわけもなく音はツツ抜け状態。 それでも先生に怒られなかっただけマシだったかもしれませんが・・・このあと、怒られてた方がマシだったかもしれないと思う新たな事件が勃発。
なんと・・・。 この音を聞いて、「翔人ってホントにドラム叩けるんだぁ」 って認識してしまったヤツが続出!!
文化祭のバンドのドラム依頼が殺到してしまったんです!! その数、なんと9件!! いくらなんでも初心者の僕には1つで手一杯です・・・。
この時、天才宣言をした自分が、やたらと残念に感じたのは言うまでもありません。
あの日、階段の踊り場での例の言葉が、僕の頭の中をグルグルと廻る・・・  「確かバンドは複数掛け持ちしてもいいって話だよね?」・・・
・・・そうらしい・・・ですね・・・。 はぁ・・・。

他にドラムの経験者なんてそうはいるはずもなく、泣く泣く9件全て引き受けることになってしまった私こと吉田翔人。
新たに渡された全ての楽譜を家に持ち帰り、また夜な夜な1人、ヘッドフォンでエアードラムの日々・・・日々・・・。

しかし! もう後には引けないのです!! やるしかないのです!! 自分が悪いのです!!笑
渡された曲を全てこの方法で練習し、さらには合わせて10バンド全ての全体練習にも参加。 超過密スケジュールです。。。
それをなんとかこなして、いよいよ出演希望バンドの締め切りの日が近づいてきました。
ここで1つ、希望の光というかなんというか。 文化祭の出演希望バンドには、オーディションがあって、それを通過しなければ本番には出られないんです。
つまり!! これだけやれば、2、3バンドは落選してもおかしくない! 減る!! 負担が減る!!
そう意気込んでいよいよオーディションの日なんですが、実行委員の話によると今年はオーディションは無い。 とのことなんです・・・
「えぇ!? 何で?!」  そう尋ねると実行委員の人は、まるで市役所の受付のような業務的かつ冷静な口調でこう言い放った。
「募集枠が10バンドで今年はピッタリ応募数が10バンドだもん。 必要なし。」

・・・・・・拝啓、お母さん。 秋風は冷たいです・・・。 
儚く散った一筋の希望の光。 受験勉強は後回しになりそうです。 この窮地を乗り越え、強く生きたいと思います・・・思うしかないのです・・・。



・・・・・・というわけで、第2話を終わります。。。 長くてすいませんね(^^;) これでも短くするように努めてるんですがなかなか・・・
次回予告・・・ 『3部作ドキュメント ~学園祭~ 最終話:舞台の中心で疲れてた男』
完結編です。 あざけ笑いながら読んでください。。。笑