椎津 残土処分場計画 県が申請を却下!
市原市椎津の残土処分場計画の申請を、県が5月31日に却下しました!
これは、椎津新田大橋下のため池1.2ha(市有地)を含む12haに、東京、神奈川から105万㎥(10tダンプで約19万台)の残土を入れる計画でした。
◆市議会、県議会もまきこんで白熱した議論
3月市議会では、全会派がこの問題を取り上げ、市の対応について反対ないし遺憾の意を表明し、県議による現地視察、県議会での慎重審議、再度の地元説明会などが相次ぎました。
◆ある地権者の決断
自宅のすぐそばまで埋め立て計画があることを知った地権者の一人が、「全体の事業計画を知らされていなかった」として、同意の撤回を申し立て、事態は急展開。県は、地権者による農地転用許可申請の取り下げを受け、「5月31日までに反対地権者と事業者の農地転用許可申請書がそろわなければ、『提出書類不備』を理由に、事業の申請を却下する」と事業者に通告しました。
◆「撤回」の「撤回」を求める働きかけ
あわてた事業者は、たびたび「撤回」の「撤回」を求めて、地権者と接触。応じない場合は損害賠償請求などの法的手段に訴えるなどと書かれた内容証明書付の文書を送りつけるなど、再三地権者に働きかけてきました。しかし地権者の意思は変わらず、31日、事業許可は正式に却下されました。理不尽な計画に「反対」を主張してきた私たちも、ひとまず、ホッとしています
◆ 市の対応のまずさが遠因
確かに、地元には、耕作放棄地の活用を願い、埋め立てを求める地権者が多かったことも事実です。しかし、ため池を保全するため21億円もの巨費を投じて橋を架けたのは、市当局です。それなのに、わずか5年後に、そこを「ただ」で埋め立てさせることに市民の理解が得られるはずがありません。もしも新聞や議会等が問題にしなかったら、今頃は埋め立てが始まっていただろうと思うと、ぞっとします。
今も市は、ため池を残土埋立て事業に提供するか、しないかの態度を決めていません。
◆ 開発・保全の基準づくりを急ごう
今回は一地権者の勇気ある反対の意思で、祖先から受け継いだ「ため池」を保全することができました。しかし、市内には、耕作放棄地、荒れた森林、事実上放置されている堰等もたくさんあります。市原市にとって、環境問題は絶対に避けて通れない問題です。先送りするのでなく、保全か開発かの基準をこの機会に作成しなければ、同様の問題がまた生じます。市民とともに、基準作りを急ぐべきです。
(山本友子)