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私の中のあなた(映画)

2009-10-18 01:00:20 | 映画
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今回の記事は『私の中のあなた』(2009年、監督:ニック・カサヴェテス)です。
白血病の家族を持つ一家の物語。
いろいろと考えさせられてしまう深いテーマと、家族それぞれの心の葛藤を切なくも優しく描き出している物語は感動的です。

■内容紹介 ※goo映画より
11歳の少女アナは、白血病の姉に臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によってこの世に生まれた。
母サラは愛する家族のためなら当然と信じ、アナはこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきた。
そんなある日、「もうケイトのために手術を受けるのは嫌。私の体は、自分で守りたい」と、アナは突然、両親を相手に訴訟を起こす。
しかし、その決断にはある隠された理由があった…。

赤ちゃんは偶然生まれる。
でもわたしは作られた。姉の命を救うために。
「もう姉のドナーにはならない」

――私なら大丈夫。ひとつだけお願いがあるの。


私の中のあなた

私の中のあなた


■感想
※カッコ内空白はネタバレ反転です。ネタバレ度最大級。携帯の方、ごめんなさい。カッコ部分はおそらくスルーできない箇所に仕組まれています。

この映画は物語が死期の迫る姉を描いているため、おそろしく暗くなっていてもおかしくない映画です。
また、この手のドラマだと変に明るく描くことで暗くさせない演出がされていることもよくある。
だけど僕なんかの場合だと それがかえって悲しさを助長させ暗い気持ちになってしまう。
けれど、この『私の中のあなた』はそういう印象はあまり感じなかった。
何と言っていいのかは難しいけれど、あえてひとことで言い表すのならば、優しい映画だったと思います。
家族みんながケイトのことを愛している。
ケイトも家族のことを心から愛している。
それをごく自然に描き出していて、とにかく全体に優しい雰囲気が流れています。

映画中でアナは死の迫る姉への臓器提供を拒否します。
さらに両親を相手に訴訟を起こしてしまう。
これだけ聞くと「なんてとんでもない奴だ」と思ってしまうかもしれない。
けれどこれには考えさせられてしまう。
アナは小さい頃から姉のために犠牲を強いられてきた。
姉を救うためとは言え、アナに臓器提供を無理強いするのは親のエゴなのではないかと父親のブライアンは言う。
確かにそうなのかもしれない。
けど、母親のサラの気持ちも親としては当たり前の感情だとも思う。
難しい問題だと思った。

けれどもこの映画の主テーマは実はここではない。
映画の後半で明らかになる、アナが訴訟を起こした理由にそのテーマが隠されている。
それは(大切な人の死を受け入れる覚悟)。
ここにこの映画最大の衝撃と悲しさ、そして優しさが詰まっています。
アナの真意は映画を観ていると割りとすんなり想像がついてしまうかもしれない。
だって訴訟後も姉妹はとても仲が良いし、時折見せるアナの悲しそうな表情と涙が全てを物語っていたと思う。
予想はつくけど、それでも理由が明らかになった時は衝撃と悲しみが胸に溢れた。
この覚悟を背負うことはどれだけの重さだったことだろうか。
子供の方が覚悟が深く、大人の方が覚悟ができていないことは実は意外に多いのかもしれない。
これは胸にズキリと突き刺さった。

出演陣の演技もすごく良かった。
キャメロン・ディアスが母親役というのは珍しかったけど違和感はない。
子供を想う母親の感情が痛烈に伝わってきてすごい。
父親役のジェイソン・パトリックも素敵でした。
家族を想う優しい感情がしっかりと感じられます。
こういう父親、良いですよね。
アナとケイトの演技もすごく良い。
難しい役だと思うけれど、とにかく自然で上手い。
特にアナ(アビゲイル・ブレスリン)の表情の演技はもう言うことなしに上手い。
ホントに最近の子役は演技力が高い。

『私の中のあなた』は切なくも優しい映画です。
もし悲しい映画が嫌いじゃないのならばオススメできる映画です。

映画データ
題名私の中のあなた
製作年/製作国2009年/アメリカ
ジャンルドラマ
監督ニック・カサヴェテス
出演者キャメロン・ディアス
アビゲイル・ブレスリン
ソフィア・ヴァジリーヴァ
ジェイソン・パトリック
エヴァン・エリングソン
アレック・ボールドウィン
ジョーン・キューザック
トーマス・デッカー
ヘザー・ウォールクィスト
デヴィッド・ソーントン
ブレンダン・ベイリー
エミリー・デシャネル
マット・バリー
アニー・ウッド
マーク・M・ジョンソン、他
メモ・特記原作:『わたしのなかのあなた』(ジョディ・ピコー著)
おすすめ度★★★★
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒私の中のあなた - goo 映画

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