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パレード(映画)

2010-03-21 23:53:00 | 映画
(C)2010映画『パレード』製作委員会

今回の記事は『パレード』(2010年、監督:行定勲)です。
山本周五郎賞を受賞した吉田修一の同名小説を藤原竜也主演で実写映画化。
第60回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した秀作で、ホラーではないのに終幕で背筋に戦慄が走ります。
この衝撃度は凄い!!

■内容紹介 ※goo映画より
「上辺だけの付き合い、それくらいが丁度いい」
都内の2LDKマンションに暮らす男女四人の若者達。
映画会社勤務の直輝、イラストレーターの未来、フリーターの琴美、大学生の良介。
それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。
そこに男娼のサトルが加わり、同じ町では連続暴行事件が起こり始める。
そして彼らの日常に、小さな波紋が拡がり始める…。

歪みはじめる、僕らの日常

パレード

パレード


■感想
行定勲監督の『パレード』を観て来ました。
この映画は第60回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した作品であり海外からの評価も高い。
観終わって、この受賞も素直に納得ができます。
映像、演出、キャスト、脚本など、どれを取ってもそうとうにレベルが高く面白かった。
現時点(2010.3)で今年の邦画No.1に押しても良いぐらいの映画なんじゃないかと思う。

まずキャストが大変魅力的です。
同じく2010年の邦画の『ゴールデンスランバー』は個性的な俳優を揃えていたのに対し、『パレード』は自然な演技を魅せる俳優さんが揃っていた。
ダークな役も熱い役も爽やかにこなしてしまう藤原竜也さんを主演に迎え、他の共同生活を送る住人役に、林遣都、小出恵介、貫地谷しほり、香里奈さんなどフレッシュな顔ぶれをキャスティングしている。
初々しく新鮮なだけじゃなく、演技の方も自然な演技で超上手い。
不自然な感じや役を作ったなという印象は一切感じなかった。
特に良介と琴美役を演じた小出恵介と貫地谷しほりの二人のやり取りは、本当に日常生活からそのシーンを切り取ったんじゃないかと思えるぐらい自然です。
つかみ所のないサトル役を演じた林遣都に、飲んだくれ(ではないか…?)の姐御を演じた香里奈さん、一番年上でしっかりしていそうな会社員・直輝を演じた藤原竜也さん。
全員が全員、演技が自然体で大変上手かった。
しかも演じている役は単純な役ではなく、それぞれに何かしらの問題を抱え込んだ若者を演じている。
普段は人には見せない陰を持った一面はリアルに感じるし、魅力的に映った。
この五人の魅力の高さが映画をより面白いものにしていたと思います。

また何気なく交わされるセリフも深くてハッとさせられてしまいました。
未来のサトルの何を知ってるのという問いに対し、直輝が
「知らない。
お前が知ってるサトルを俺は知らないし、俺が知ってるサトルだってお前は知らない。
サトルのことはサトル以外知らないんだ」
(セリフうろ覚えです。すみません)
という叫びが真をついているような気がして、何とも言えない現代を生きることの寂しさを感じた。
しかもこれ、後半への伏線であり、この伏線の効力が発揮される終盤のシーンでは、この時に感じた感情とはまるで違う戦慄が体に走る。
演出も描き方も半端なく上手くて、背筋がゾクッとするような冷たいものを感じてしまう。不安になってしまう。怖くなってしまう。
それが何なのかはネタバレなので書きませんが、そのシーンを感じた時の衝撃の度合いは凄かった。

これはある種、現代を生きる人をリアルに描いた映画なんじゃないかと思います。
興味が湧いたらぜひ観て下さい。オススメ映画です。

映画データ 
題名 パレード 
製作年/製作国 2010年/日本 
ジャンル ドラマ/青春/ミステリー 
監督 行定勲 
出演者 藤原竜也
香里奈
貫地谷しほり
林遣都
小出恵介
竹財輝之助
野波麻帆
中村ゆり
正名僕蔵
キムラ緑子
石橋蓮司、他
メモ・特記 原作:吉田修一『パレード』(幻冬舎刊)
ベルリン国際映画祭:国際批評家連盟賞受賞 
おすすめ度★★★★☆
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒パレード - goo 映画

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