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ゴールデンスランバー(映画)

2010-02-21 22:45:00 | 映画
(C)2010「ゴールデンスランバー」製作委員会

今回の記事は『ゴールデンスランバー』(2009年、監督:中村義洋)です。
伊坂幸太郎の小説を実写映画化したエンターテインメント・サスペンス・ミステリー。
ちょっとコミカルな面白さも含んだ伊坂版“逃亡者”は面白かった。
この人の小説って実写映画との相性がいいなーとつくづく思う。

■内容紹介 ※goo映画より
首相の凱旋パレードが行われているそのすぐ近くで青柳は、大学時代の友人・森田と久しぶりに再会していた。
様子がおかしい森田。そして爆発音。
首相を狙った爆弾テロが行われたのだ。
「逃げろ!オズワルドにされるぞ」
銃を構えた警官たちから、反射的に逃げ出す青柳。本人の知らない“証拠映像”が次々に現れ、青柳は自分を犯人に仕立てる巧妙な計画が立てられていた事を知る。
青柳は大学時代の友人たちに助けを求めるが…。

無実の男、首相暗殺犯に断定

事件のガギを握るのは、ビートルズの名曲


ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー


■感想
2010年初邦画は伊坂幸太郎さんのヒット小説の実写映画化『ゴールデンスランバー』。
伊坂さん原作の映画を観るのは今回で2度目。
前回『アヒルと鴨とコインロッカー』の時も思ったのですが、伊坂さんの小説って実写映画との相性がとても良さそうに思う。
「いかにも作った」っていう変な感じは無くて、自然に楽しめる。
原作は読んだことがないので推測でしかありませんが、おそらく原作のイメージも崩していないんじゃないかと思います。

原作が見事だからというのもあるのでしょうが、この映画はストーリーがまず面白い。
無実の罪を着せられた主人公が追われに追われ逃げまくるという、『逃亡者』に近いストーリー展開ながら、ところかしこに伊坂さんらしいコミカルな描写が散りばめられています。
だから堅くはならず、全体的にゆるい感じに仕上がっています。
いわゆるコメディーではなくミステリーなのにとっても楽しく観ることができます。
肩の力を抜いて観るには最適なストーリーなんじゃないかなと思います。
こういうゆるい感じのサスペンス・ミステリー、好きだなー。

また出演陣も大変良かったです。
主演の堺雅人、良い感じです。
堺雅人さんというと善人なのか悪人なのか不明の捉えどころのない様な謎めいた役が多いのですが、『ゴールデンスランバー』では善人に徹しています。
とは言え、彼独特の不思議~な空気感はやっぱりあって、それがまた大きな魅力となっています。

吉岡秀隆も良かった。
出演時間は短めなのですが、なかなか強い印象として残った。
彼もまた捉えどころのない少し冷めた役柄で登場します。
主人公の青柳を首相暗殺現場へと誘った張本人なのですが、全体に漂う「いい人」感は吉岡さん独自の持ち味なのかもしれない。

青柳を追う警察側として登場する香川照之さんも魅せてくれる。
冷静沈着、口調は丁寧なんですが、ゾッとするような不気味さが怖い。
一癖も二癖もありそうな人物(悪人寄り)を演じさせたら、今の日本では香川さんが一番巧いかもしれない。
2010年の大河の『龍馬伝』でもいかにも癖のある岩崎弥太郎を見事に演じていて本当に感嘆してしまう。
この手の役柄をとびきり巧く演じられる人ってドラマや映画には必要不可欠なんだなと思う。

でも一番驚かされたのは濱田岳かも知れない。
彼が演じた役は通称キルオと呼ばれる通り魔で、今回の映画では一番捉えどころのない人物。
『アヒルと鴨の~』では超自然体な大学生を演じていただけに、この変わりようにはびっくり。
けど、周囲の警戒心を解くような独特の雰囲気は健在で、やっぱり物語に自然に馴染む。

出演俳優の持ち味を最大限に活かしつつ、映画に自然に馴染ませる、このキャスティングの巧さは流石としかいえない。
監督さんの力量にも恐れ入ってしまう。
『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』のどちらも、とても自然な感じの作品として仕上がっていて、かつ、とても面白く出来上がっていました。

伊坂さん原作の映画には、いわゆる超人や、とてつもなくかっこいい人というものが出てこない。
言ってみれば、普通の人が主人公であり、そんな主人公が普通にがんばる。
だからこんなに親しみやすく、自然な感じの実写映画として仕上がるのかもしれない。

映画データ 
題名 ゴールデンスランバー 
製作年/製作国 2009年/日本 
ジャンル サスペンス/ミステリー 
監督 中村義洋 
出演者 堺雅人
竹内結子
吉岡秀隆
劇団ひとり
柄本明
濱田岳
渋川清彦
ベンガル
大森南朋
貫地谷しほり
相武紗季
永島敏行
ソニン
木内みどり
伊東四朗
香川照之、他
メモ・特記 原作:伊坂幸太郎 
おすすめ度★★★★
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒ゴールデンスランバー - goo 映画

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (Matthew)
2010-02-23 01:08:15
ichi-kaさんも、やはり観に行かれたんですね。
以前、小説を読んで、伊坂幸太郎さんは自分向きではないと思ったのですが、CM予告を見て、観たくなって行ったのですが、この作品、面白かったです。
出演されてる俳優陣が、原作を読んでいないので分かりませんが、皆、とても合っていましたし、出演シーンは短いのに、それぞれ印象に残りました。
そんな、アク(?)の強い出演陣の中にあって、やはり、堺雅人さんと香川さんは、とび抜けていましたね。

Matthewさんへ (ichi-ka)
2010-02-27 22:23:40
コメントありがとうございます。
確かに出演陣のみなさん、アク強かったですね。けれど違和感はなくむしろ良かった。
伊坂幸太郎さんの小説はいつかまとめて読んでみたいと思ってる作家さんです。ただ未だに「アヒルと鴨の~」が未読のまま…。

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