(C)2009 映画「ハゲタカ」製作委員会
今回の記事は『ハゲタカ』(2009年、監督:大友啓史)です。
真山仁の原作を基にNHKでドラマ化され賞賛された社会派ドラマ。
映画はテレビドラマ版の4年後を描いた続編にあたり、“ハゲタカ”と呼ばれる天才ファンド・マネージャーの鷲津と、自ら“赤いハゲタカ”を名乗る男との壮絶な企業買収劇が描かれる。
ラストはズシリときた。
■内容紹介 ※goo映画より
世界金融危機前夜。
日本のマーケットに絶望し、表舞台から姿を消した天才ファンドマネージャー・鷲津の元に、かつての盟友・芝野が現れる。
中国系巨大ファンドが買収に乗り出した、大手自動車メーカー「アカマ自動車」を危機から救ってほしい、というのだ。
日本を代表する大企業「アカマ」の前に突如現れたのは、“赤いハゲタカ”こと劉一華(リュウ・イーファ)。
豊富な資金を背景に、鷲津を圧倒し続ける“赤いハゲタカ”の真の目的とは!?
この世は金だ。金が悲劇を生む。
■感想
映画『ハゲタカ』を観てきました。
ハゲタカはNHKでドラマ化されていたらしいのですが、そちらの方は見ていない。
映画はドラマを見ていなくても問題なく楽しめる内容でした。
(ドラマ版を見ていた方が鷲津のまわりの人間関係が分かってより楽しめそうですが)
企業買収というと、少し前にだいぶ騒がれましたね。
ライブドアとフジテレビによるニッポン放送の買収劇は当時、ものすごい騒がれようでした。
それまで全く知らなかった、TOB(株式公開買い付け)やホワイトナイトなどの業界用語をこの時期に覚えた方もたくさんいるはず。
それが今ではとんと騒がれなくなった。
波が引いたのはいつのことだったのかという記憶も曖昧です。
ただあれは一時的に異様にマスコミに取り上げられたというだけで、今も企業買収が無くなったわけではないのでしょう。
この映画『ハゲタカ』でもそんな企業買収劇が描かれています。
日本のトップ自動車メーカーが海外のファンドから狙われるという構図です。
緊迫感溢れる買収劇を、派遣問題などを交えて描いている辺り、社会派ドラマだなぁ、と思った。
鷲津側のカラーを青(もしかしたら透明かもしれない)、赤いハゲタカ側のカラーを赤として、画面の色に用いているのが印象的でした。
しかももの凄く自然に使い分けていて巧い。
この辺り、監督さんのセンスを感じます。
加えて描かれている人間ドラマが深い。
主人公のハゲタカこと鷲津はたしかに魅力的な人物です。
今までの日本ドラマの主人公とは明らかに違う路線の魅力を持っていて新鮮でした。
けれどそれ以上に映画を観てる人を魅了するのは、おそらく赤いハゲタカでしょう。
演じているのは玉山鉄二さんで、善人とも悪人ともつかない(どちらかというと悪人よりの)キレキレの人物を好演しています。
赤いハゲタカは一見すると、日本企業を買収に来た海外の手先的な悪人にみえる。
上から目線のマネーゲームを繰り広げる、苦渋や挫折を知らない実業家というように思える。
けれど、そうではないような、ただならぬ印象を感じるのもまた確か。
映画中で彼の生い立ちがはっきりと語られることはない。けれど、
自分に対し怒りをぶつける守山に向かって、「金を拾え」と怒鳴る赤いハゲタカに、彼が歩んできた人生が少しだけ見えた気がした。
彼が辿る結末もまた何とも言えず、強く胸に突き刺さった。
ラストで鷲津が憶測する赤いハゲタカの真意と、
「この世は金だ。金が悲劇を生む」
の言葉が、ズシリと深く心に残った。
良い映画だったと思います。
なまぬるいドラマに辟易している人にはぜひ観てもらいたい。
邦画としてはかなり良い出来で、かつ深い内容です。
ちなみに監督はNHKドラマの「ちゅらさん」「ハゲタカ」の演出家さんで、今回が初監督。
初監督でこの仕上がり。すごいです。
映画データ | |
---|---|
題名 | ハゲタカ |
製作年/製作国 | 2009年/日本 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | 大友啓史 |
出演者 | 大森南朋 玉山鉄二 栗山千明 高良健吾 遠藤憲一 松田龍平 中尾彬 柴田恭兵 嶋田久作 志賀廣太郎 小市慢太郎 グレゴリー・ペーカー 脇崎智史、他 |
メモ・特記 | 原作:『ハゲタカ』『ハゲタカII』『レッドゾーン』 (真山仁著) |
おすすめ度 | ★★★★ |
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒ハゲタカ - goo 映画
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ハゲタカ素晴らしい作品ですよね!ドラマの時にも画面釘付けで目が離せませんでしたが、映画はまた期待以上で(笑)
ドラマを見られてないのですね?ドラマも超オススメですよ。ドラマを見ると映画のイメージがまた変わって違う楽しみかたが出来ると思いますよ。
実は映画でハゲタカ熱がぶり返してしまって小説を読んでるトコなのですが…小説は小説でまた鷲津政彦のイメージがぶち壊されてしまいました(笑)
久々に凄い作品に出会えて楽しい日々が送れそうです。
やっぱりドラマのハゲタカも面白いのか。これは見てみたくなりますね。
小説も読んでみたいなー。
劉一華が本作限りというのが勿体無く思いました。魅力あるキャラです。
赤いハゲタカこと劉一華は魅力あるキャラでしたよね。
一見、冷徹なのですが、それ以上の人間性を彼には感じます。