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『クロック城』殺人事件/北山猛邦(読書)

2009-06-21 18:52:01 | 読書
今回の記事は『『クロック城』殺人事件』(北山猛邦、講談社文庫)です。
第24回メフィスト賞を受賞した本格ミステリー。
図解付きの物理トリックが用いられています。
本格だけど作風はけっこう今風です。

■内容紹介
終焉を迎えつつある人類の世界。
探偵・南深騎《みなみ・みき》と奈美の下に、黒鴣瑠華《くろく・るか》と名乗る美少女が現れた。
眠り続ける美女。蠢く人面蒼。3つの時を刻む巨大な時計。
謎が漂うクロック城に二人を誘う瑠華。
そこに大きな鐘が鳴り響いたとき、首なし遺体が次々と現れた。
驚愕のトリックが待つ、本格ミステリ。
第24回メフィスト賞受賞作。

■感想
北山猛邦さんも今回初めて読む作家さんです。
本格ミステリーと聞くと、けっこう古風なイメージがあるのですが、この作品は今風の文体・設定で描かれています。
ここまで架空設定盛りだくさんで描かれたミステリーは初めて読んだように思います。
いきなり世界の終焉を待つ世界観とか、そうとうにぶっ飛んでいて、最初はなかなか入り込めない。
加えて天使とか出てきちゃいます。(人間ですけど)
読んでいて驚いてしまう。
全く先が読めない。

あと登場人物の名前もゲームっぽい印象が強くて最初は馴染めなかった。
主人公はミキ(男)だし、ヒロインは奈美(わりと普通)、黒鴣瑠華《くろく・るか》、キキョウ、クロス、御都りえ《みんと・りえ》、黒鴣未音《くろく・みおん》などなど、現代社会ではあまり巡りあうことは無さそうな、フリガナ振ってくれないと読めませんよ的な名前が続く。
ミステリーだとこういう現実離れした名前ってどうしても浮いてしまう気がする。

けれど、そんな不満が頭に浮かぶのも最初だけ。
読んでいる内に小説の世界に引き込まれ、そんなことは気にならなくってきます。
先が気になる展開で、一気に読ませる内容は面白かったと思う。

この小説で用いられているトリックは物理トリックで、途中のページに図解入りの解説がされています。
なので立ち読みとかでペラペラとページをめくって流していると台無しになるのでやってはいけません。
最近は難解・巧妙・狡猾なトリックで、読者に驚愕を与えて読み返しが必須な作品が多い中、ここまで正々堂々と単純明快なトリックで勝負を挑んでくる作品も珍しい気がします。
これだと逆に見破れないかもしれない。
けど僕はアンフェアだと言われようと、やっぱり叙述トリックの方が好きかな。
あの読み返さずにはいられない衝撃が好きなんだよな。
とても分かりやすいけれど、この物理トリック、少し物足りない。

主人公が謎解きをした後も物語は終わらず、急転直下の真相究明論が繰り広げられています。
凄まじすぎるぞ、この展開!
けれど一番最後に明かされた真相が一番不満が残った。
そんなのありですか!? …ありなんだろうな。

ちなみに最後まで読んでもよく分からないのが奈美です。
この娘、いったい何者?


書名:『クロック城』殺人事件
著者北山猛邦
ジャンル:小説(ミステリー)
メモ:第24回メフィスト賞受賞作
おすすめ度★★★


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