①8月10日12時の天気図 気象庁HPより引用
②8月10日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用
?8月10日12時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用
大型の台風11号ですが、10日朝に、高知県安芸市付近に上陸、その後、四国東部を北北東へ進んで、10日10時過ぎに兵庫県赤穂市付近に再上陸、その後、近畿地方西部から北部を縦断、10日昼過ぎには若狭湾へ達しました。
台風の接近・通過に伴って、昨日には、三重県に大雨特別警報が出されて、48時間雨量で500㍉以上の豪雨を紀伊半島や四国東部などで観測し、風につきましても、高知県の室戸岬で、最大瞬間風速52・5㍍毎秒を観測し、和歌山県友が島や兵庫県神戸空港で、瞬間で40㍍毎秒を超す猛烈な風を観測しております。
今回の台風11号の特徴としまして、台風の外縁部を流れる暖湿流と、太平洋高気圧の外縁部を流れる暖湿流とが本州付近広範囲に流れ込んで、日本海には前線もあったため、当該暖湿流もしくは、暖湿流と前線とが、地形的特性を受けたことなどの要因で、局地的に雨雲が非常に発達し、台風の移動速度は四国へ上陸する前までに時速30㌔以下の遅かったため、非常に発達した雨雲が同一地域に留まる状態が長時間継続したため、大雨災害が顕著であった台風といえます。
引用図②③より、台風を取り巻く雲の集団の東側にあたる、東北地方南部周辺から関東地方周辺甲信越地方南部周辺にかけては、水蒸気画像上で、糸状に白く輝く画像域が何何本も連なって、一つのひときわ白く輝く画像域を形成しており、その画像域の南側では、末広がりの三角形型の白くぼやけた画像域が見られます。これは、台風の外縁部を流れる暖湿流(南西風~南寄り風)と太平洋高気圧の外縁部を流れる暖湿流とが、東北地方南部周辺から関東地方周辺甲信越地方南部周辺で合流している状態を示すものです。
引用図③より、上空1000mから2000m付近の風速風速が、東北地方で南東風~南南東風、に対し、関東南部では、おおむね南寄り風で、八丈島では、南南西風~南西風となって、東北南部から関東地方では風速がおおむね20㍍毎秒と非常に強まっていることが、前記の暖湿流同士の合流を物語っているものです。
前記、水蒸気画像上の、糸状に白く輝く画像域、実は、発達した雨雲が形成されていたり、発達した雨雲を形成させるポテンシャルが極めて高い個所なのです。こういった箇所で発生した帯状の発達した雨雲が、竜巻などの突風災害も発生させることも多いですから要注意です!
?8月10日3時の関東地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
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⑤8月10日7時の関東地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
実は、10日未明から朝方にかけて、隣接する千葉県東部から茨城県内鹿行地域で局地的に大雨となり、千葉県内東部の東庄では、10日午前3時50分までの3時間に125㍉を観測!1時間雨量でも東庄で71・5㍉、隣接の香取で66㍉の非常の激しい雨を観測、この発達した雨雲は北へ移動し、県内鹿嶋では、10日7時10分までの1時間57・5㍉の非常に激しい雨を観測しました。鹿嶋市や、潮来市、神栖市といった県内南部鹿行地域の一部で、床上浸水、床下浸水などの被害が出てしましました。 この局地的豪雨ですが、南海上から流れ込んだ、前記の暖湿流が、関東平野の気流とぶつかり合い、局地的に雨雲が非常に発達して、北へ移動したことが原因と考えられます。