知っていて御得!常陸の国気象・地震見聞録

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9日 台風5号は三陸沖から北海道南東海上へ 関東甲信中心に記録的猛暑 この原因は?(茨城県版)

2016-08-12 16:13:02 | 日記
① 8月9日16時までの全国各観測地点最高気温一覧 気象庁HPより引用


連日、東海以西中心に猛暑に見舞われていますが、9日は、関東地方や甲信越地方南部中心に、記録的な猛暑に見舞われました。

最高気温は、山梨県身延市切石で39・2℃ 同じく山梨県南部では38・9℃、横浜では37・4℃と、いずれも観測開始以来最高気温を観測しておりますし、甲府で38・5℃ 東京都心や千葉でも37・7℃と 猛暑日となりました。

② 8月9日12時の天気図 気象庁HPより引用


③ 8月9日12時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用



④ 8月9日9時の本州付近上空の気温 風向風速、湿数分布図 
ⅰは上空1500㍍付近 ⅱは上空3000㍍付近 ともに気象庁AUPQ78図より引用加工

ⅰ:


ⅱ:



この、関東地方や甲信越地方南部中心の記録的暑さですが、

引用図②③より、台風5号が三陸沖から北海道の南東海上へ進んで、本州付近では、東日本や北日本では、概ね北〜北西風となっており、特に、上空1000㍍付近の風向風速ですが、上信越の山地や中部山岳挟んで風下の関東地方上空で、北西風が卓越しています。

さらに、引用図④ⅰ,ⅱより、上空1500㍍付近の気温は、関東平野から甲信南部周辺で22℃~24℃と、他地域より際立って高めとなっており、前述した、上信越の山地や中部山岳挟んで風下の関東平野上空で北西風が卓越している点とも踏まえて、関東平野から甲信南部周辺では、北西風が、上信越の山地や中部山岳を超える際に、山越えのフェーン現象を発生させたことが考えられます。

それともう一つ、引用図④のⅰ,ⅱより、上空3000㍍付近の気温は、上空1500㍍付近における 関東平野から甲信南部周辺での高温域のほぼ同じ地域で、やはり際立って高めとなっております。この地域の高温域の要因としては、山越えフェーンとは考えにくく、台風5号が持ち込んだ暖気が台風の中心付近の上空で広がって、隣接する東北地方から関東地方上空で下降流となり、その結果下降流による断熱昇温したことも要因と重なっているといえますね。


台風通過後、
Ⅰ:寒気流入がなく+上空1000㍍付近で、日本海側から太平洋側に流れる気流がある=関東平野周辺に限らず、太平洋側の各地では気温が大きく上昇する気象条件 

これ、鉄側  と言えるでしょう。


茨城県内では、県内各観測地点で、北茨城を除くすべての観測地点で、最高気温35℃以上となる猛暑日を観測!特に、内陸部の常総では観測史上最高気温を、また、沿岸部でも日立や高萩では、8月としては観測史上最高気温を
観測しました。内陸部から沿岸部まで昇温するといった、関東平野が山越えフェーンで昇温する際の典型的なパターンとなりました。

県内各観測地点の最高気温は以下のとおりです。

北茨城 33.8℃
大子   35.6℃
高萩   36.3℃
常陸大宮 35.3℃
日立   36.5℃
笠間   37.3℃
水戸   36.9℃
古河   36.9℃
下館   36.7℃
下妻   35.3℃
常総   37.4℃
鉾田   36.6℃
つくば(館野) 36.0℃
土浦      37.3℃
鹿嶋      35.4℃
龍ケ崎 36.2℃