417の日記念。
「声優が本腰を入れて歌手活動する」というのは今では当たり前になってきましたが、その先駆者的存在であるのが椎名へきる。
林原めぐみはあれだけCDがヒットしてもライブ活動をほとんど行わず「本業は声優」というスタンスを絶対に崩さなかったのに対し、傍から見ると「声優業をおろそかにして歌手ばっかやってた人」という扱いなへきる姉さん。
当時から他にも声優しながら歌もやる人はいたけれど、へきる姉さんの場合は人気が凄かったこともあってか、歌手としての仕事がバンバン入ってきて、声優業をやる時間が取れなくなってきた、ということのようで。
本人のコメントからみると、「本当は声優と両立してやりたかったけど、そこまで器用にできないタイプだった」というのが、本当のところなのでしょう。しかし、当時はそんな本人の気持ちを伝える手段はなく、アーティスト宣言したというデマ?まで流れてしまうほどの事態になり…(この辺の真相は不明。当時のファンならご存知なのかしら)。
へきる姉さんの先例があるからこそ、奈々さんの歌手としての成功がある…っていうと過言かもですが、声優さんの継続的歌手活動のパイオニアであることは間違いない。
(とはいえ、へきる姉さん自身も1994年デビューから2014年まで定期的にCDリリースできて、今でも月イチでアコースティックライブをやれているという環境にいるから、これはこれでよかったんだよね。)
というわけで全アルバム感想、やりたいと思います。
ちなみにサブスクでほぼ全アルバム解禁しているんで、気になったら是非。ちなみにアルバムタイトル押すとGoogle Play Musicのページに飛びます(試聴しやすいのがGoogleだっただけ)。
まずは1st〜4thまで。声優アイドルとしてデビューしてから、ガールポップっぽい作品をリリースしている頃です。
1st album「Shiena」
1994.08.21 お気に入り度:★6.51. 天使は東からやってくる 2. 恋よりたいせつ 3. ガールフレンド 4. 花火 5. 月とライ麦 6. あなたとふたりで風になる 7. じん。ときた 8. トモダチのカタチ 9. すごく楽しい空になるのに 10. 夜の中
※青文字はお気に入り楽曲、青太文字は超お気に入りの楽曲
シングルなしでいきなりのデビューアルバム。「周りの大人にだまされてデビューした」というエピソードがある今作。これがホントかウソかはわかりませんが、とにかく椎名へきるの作品群では異色作。まず声!今でも決して迫力のある歌い方じゃないですが、この頃はもっと気が抜ける歌い方になっていて腰が砕けるw まぁ萌え声といえばそうなのかな。曲も含めて本当にアイドル。
でも、これはこれで割り切って聞くと結構いいかも。レコード会社はSony Musicなのですが、Sonyはもともとアイドルポップス得意だったわけで、そういう視点で見ると結構いい曲多い。着地点はおしゃれな雰囲気をまとったセンスのいいアイドルポップス。作家では90年代松田聖子を支えた小倉良さんと、渡辺満理奈でナイスアレンジを披露していた山川恵津子さんのお二人がいい仕事してます(ちなみに松田聖子も渡辺満理奈もソニー所属のアイドル)。
「すごく楽しい空になるのに」「天使は東からやってくる」あたりの陽性アイドルポップスが自分のツボにはまる。バラードの「花火」も、この時期ならではの ぬめっとした声が堪能できる味わいで好きです。
とは言え、ファン視点で「こういう時代もあったんだねぇ」という楽しみ方が出来るって感覚であって、椎名へきるを聞こうと最初の1枚でこれを選ぶのはおすすめしませんw
1995.04.01 お気に入り度:★6.5
1. 空想メトロ 2. 攻撃は最大の防御 3. 2センチのせつなさ 4. せつない笑顔(Night Version) 5. Kissが足りない 6. 少女爆弾 7. 優しかった人 8. 何も出来なくて 9. NEVER NEVER 10. T.R.Y.!!
※青文字はお気に入り楽曲、青太文字は超お気に入りの楽曲
※青文字はお気に入り楽曲、青太文字は超お気に入りの楽曲
「前作とは全く違ったアプローチで展開するオリジナル・アルバムで、へきるのアーティストパワー全開の自信作」と公式で謳われている2nd。作家陣は都志見隆・楠瀬誠士郎・太田美智彦・赤塩正樹(H2O)・工藤崇などで前作から総入れ替えになっているし、声もちょっと安定してきて腰砕けな感じは和らいでいるので、確かに1stとは違ったアプローチにはなってる。一言でいえば90年代前半あたりのガールポップっぽくなった。
でも、謳い文句の割にはまだアイドルっぽいかなぁ。ガールポップ風味のアイドルポップ、というか。ガールポップってアイドルポップの代わりに出てきたものでもあると思うので表現が難しいですが、なんというか、前作のアイドル萌え声みたいな腰砕け感が薄くなったぶん、中途半端になった印象がなきにしもあらず。
「攻撃は最大の防御」「Kissが足りない」「少女爆弾」あたりのアップナンバーは90年代前半ガールポップとしては かなりいいセンいっているし、本人初作詞バラード「何も出来なくて」はファン必聴の作品に仕上がっているんですが、なんかアルバム全体での印象が薄いのが惜しい。
ちなみに「少女爆弾」って今じゃNGタイトルな気がしますが、爆弾発言する少女って意味なので別に変な意味はなく、普通のポップナンバーです。念のため。
3rd album「No Make Girl」
1995.10.01 お気に入り度:★4
1995.10.01 お気に入り度:★4
1. 恋のレースクィーン 2. ラッキーDAY 3. やんなっちゃう 4. ようこそハピネス 5. Best Partner 6. ラブラブでいこう 7. コドモなオトナとつきあう方法 8. 愛のてんこ盛り 9. Go Wake Up !! 10. シャラララ
※青文字はお気に入り楽曲、青太文字は超お気に入りの楽曲
※青文字はお気に入り楽曲、青太文字は超お気に入りの楽曲
前作から半年のペースで出された3枚目。「今回は前作を更に上回り、ロック色を強調。」と公式で謳っていますがまだまだ全然ロックっぽくはなく。
おちゃらけてみたり、謎の脱力ラップもどきを披露したり なんちゃってヘヴィメタを歌ってみたり 種とも子さんの曲を歌ってみたり…バラエティ豊かといえばそうですが、あまり後の路線とつながっていないから「とりあえずいろいろやってみました」というだけで終わっちゃったような印象。
後藤次利さん作曲による歌謡ロック風な「やんなっちゃう」、なんちゃってヘヴィメタ風の「Go Wake Up!」は後のロックに目覚めるきっかけと言えなくもないような気がするような感じかもしれないですが、うーん。
いろいろやっているんですが そこまで突き抜けた曲がないので、前作とはまた違う意味でアルバム全体の印象が薄くなっちゃってるのがなんとも。個人的には一番聞かないアルバムです…が、売り上げ的には上り調子なのよね、この辺。声優としての人気が上がってきていたのかな。
1996.12.12 お気に入り度:★7.5
1. ねえ 2. 色褪せない瞬間 3. そろそろやってみますか 4. やさしいひとになりましょう 5. 泣いちゃいなよ、いま 6. 目を覚ませ、男なら (Remix Version) 7. 気づいて! 8. スーパーガールズ Funky No.1 9. 今すぐギュッと 10. 私の未来 11. 空をあきらめない
※青文字はお気に入り楽曲、青太文字は超お気に入りの楽曲
オリコン20位を記録したスマッシュヒットシングル「目を覚ませ、男なら」を含む4th。
ここでロックに開眼しかけて、一気にクオリティアップしてますが まだ過渡期。シングルの「空をあきらめない」、「気づいて!」あたりが後のへきるロックにつながる路線の歌謡ロック…ではありますが、これは今回のメイン路線ではなく、バリエーションのひとつという扱い。
それよりも、今作はロック色の無いポップス「色褪せない瞬間」「やさしいひとになりましょう」、バラードの「泣いちゃいなよ、今」などなどの、ガールポップ王道路線曲のクオリティがぐんと上がっていて、聞きやすくていい意味で90年代らしいポップス作品に仕上がってます。globe「SWEET PAIN」とサビメロが半分同じな「目を覚ませ、男なら」とか、「空をあきらめない」のイントロのダサさはちょっと悪い意味で90年代らしいような気もしますがw、実際96年リリースだし、いいか。96年リリースの割には93~94年のガールポップっぽい雰囲気はありますが。
ここでロックに開眼しかけて、一気にクオリティアップしてますが まだ過渡期。シングルの「空をあきらめない」、「気づいて!」あたりが後のへきるロックにつながる路線の歌謡ロック…ではありますが、これは今回のメイン路線ではなく、バリエーションのひとつという扱い。
それよりも、今作はロック色の無いポップス「色褪せない瞬間」「やさしいひとになりましょう」、バラードの「泣いちゃいなよ、今」などなどの、ガールポップ王道路線曲のクオリティがぐんと上がっていて、聞きやすくていい意味で90年代らしいポップス作品に仕上がってます。globe「SWEET PAIN」とサビメロが半分同じな「目を覚ませ、男なら」とか、「空をあきらめない」のイントロのダサさはちょっと悪い意味で90年代らしいような気もしますがw、実際96年リリースだし、いいか。96年リリースの割には93~94年のガールポップっぽい雰囲気はありますが。
ロックに移行する前にこれまでのポップス路線を良い形で総ざらいしつつ、次への予告も含めたバランスのいいアルバム。
イチオシはJoey Carboneさん作曲のガールポップ王道励ましポップス「やさしいひとになりましょう」かな。
本人的にはこのアルバムの段階ですでに相当ロックがやりたかったらしく、次回に続く。
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