HUNGRY FOR ROCK(METAL)!

HM/HR系の音楽について語る!

DREAM EVIL「In The Night」

2010-02-28 | 2010年購入新譜感想
スウェーデン出身、「Studio Fredman」の主にして、北欧HMの総帥であるフレドリック・ノルドストローム(g)率いるDREAM EVILの5thアルバム。
シンプルでわかりやすい上質な正統派HM、それをプロデューサーであるフレドリック自身が作曲に関わってまとめ上げ、存在感のあるハイトーンボーカルを聴かせるニクラス・イスフェルド(vo)、新世代ギターヒーローであるガス・G(g)、芸達者な(?)ドラマー、スノーウィ・ショウ(ds)が各自存在感のあるプレイを聴かせる・・・このあたりが彼らのかつての魅力であった。
しかしガスとスノーウィは脱退、さらにニクラスとピーター・スタルフォース(b)までも脱退しかかるというお家騒動があり、その後発表された前作4th「United」は、個人的には曲の出来が全体的にイマイチで楽しめるものではなかった。
そんなわけで今回のアルバムには「復活」の期待がかかるわけだが・・・
全体的にみると、HMらしいHMであることについては全く揺らぎを感じない。バックの音は十分過ぎるほど「メタル」、そしてその音の中で決して埋没することがなく、いやむしろ目立つといっていいニクラスの声はHM界のボーカリストの中でも貴重な存在だろう。しかしこうして歌メロがバックの音の中でかき消されないようになっているのも、曲作りの段階でかなり工夫されているからこそだろう。新ギタリストのダニー・ディーモンも健闘していると思う。
ただ頭3曲#1”Immortal”~#2”In The Night”~#3”Bang Your Head”がスピード抑えめの「重戦車HM」が連続する形になっている上、その後#4”See The Light”~#5”Electric”~#6”Frostbite”とスピード、メロディアス度とも頭3曲よりも増した楽曲が続くが、これも出来がイマイチ・・・
最初に耳を惹いたのが#7”On The Wind”であった。イントロとサビで聴ける印象的なギターフレーズ、「Na,na,na~」「Wow,wow,wow~」などライブで盛り上がること間違いなしのわかりやすいバックコーラスも秀逸である。それに続く文字通りバラードである#8”The Ballad”、速いテンポの中滑らかなメロディ展開のサビが耳を捉える#9”In The Fires Of The Sun”、彼らの作品の中では異色な、ストリングスを導入した#12”The Unchosen One”あたりには好印象を抱いた。
しかしその後続くボーナストラック群も出来は「・・・」彼らの日本盤ボーナストラックの質の高さは定評があるだけに期待していたのだが・・・
どうも彼らの志向するところが変化しているように思えてならない。全体として大きく質が落ちたとは思えない(上記で「出来が良くない」というようなことを書いた楽曲も、明らかにつまらない、というわけではないのだ)のだが、自分の好みからは外れていっている・・・そんな気がするのだ。そう、日本のファン(もちろん自分も含まれる)の好むところであるスピード感のある展開、その中で気持ちよく高音が突き抜けるようなメロディ展開(1st収録の名曲”In Flames You Burn”など)・・・そういったものよりもヨーロッパのファンが好むミドルテンポで重厚なナンバー、その中で男くさい野太いコーラス部分を皆で叫べる・・・そこを重視するようになってきているような気がする。だからこそ頭3発はその手のタイプで固めて、ヨーロッパのファンを確実に捉えよう・・・そう考えたのではないか。
寂しいような気もするが、地元のファンを確実につかむのがまず優先、これはバンド存続の上で当然の策だろう。別にだからといって完全に日本のファン無視かというと、そういうわけでもない(前述の#7”On The Wind”などは日本のファン向け<?>ともいえるだろうし、今回もボーナストラック大量サービス)。またいつか音楽性がかつての方向性振れることもあるだろう、それを期待して気長に待つか・・・



DREAM EVIL”On The Wind”
この曲は自分にとって白眉といえる



DREAM EVIL”In Flames You Burn”
ここに戻ってくる日がくるのか・・・



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2 コメント

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Unknown (よしよ)
2010-02-28 21:21:27
こんばんは。
お見事なレビューですね。日本と欧州ではメタルファンの中でも好きな楽曲の傾向が違うんでしょうね。いつか日本寄りのメタルアルバムを出して欲しいと思います。
でも、このバンドは本当に実力があるので本作も繰り返し聴くうちにどんどん旨味が増してきてるんですよね。
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>よしよさん (jimmy)
2010-03-02 01:14:44
コメント有難うございます。
思いつくままに書いた感想ですが、お褒めいただきありがとうございます。

やはり日本と欧州では「愛されるHM」の質が違いますよね・・・それを意識してSONATA ARCTICAも「欧州で人気のあるスタイル」つまり速さ、流麗なメロディに拘らず、ミドルテンポで心地よくヘッドバンギングできるスタイル(?)んだと個人的には思っています。
DRAGONFORCEのようなバンドも欧州で出てきてますから、ずっとこの傾向が続くとは思いませんが・・・遠からぬうちに変化することを期待してます。

確かに繰り返していくうちに新たな発見もあって、この記事書いた時よりは多少感触が良くなっています。意外と「スルメ盤」かも!?しれません。
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