HUNGRY FOR ROCK(METAL)!

HM/HR系の音楽について語る!

MEGADETH「Endgame」

2009-10-12 | 2009年購入新譜感想
大佐デイブ・ムステイン(g、vo)率いる、インテレクチュアル・スラッシュメタルバンド(今回はあえてこう呼ばせてもらおう!)MEGADETHの11thアルバム。
噂通りバンド初期の音楽性への回帰が感じられる、充実した仕上がりである。
緊張感漲るインスト#1”Dialectic Chaos”から即効性の高いスピードナンバー#2”This Day We Fight!”につながっていくあたりは、彼らのアルバムの中でも1、2を争う名盤である3rd”So Far,So Good…So What!”のスタート、”Into The Lungs Of Hell”~ ”Set The World Afire”での展開を彷彿させる。
この抜群の「ツカミ」の後も「かつての」MEGADETHらしい良質な曲が目立つ。
キレのあるリズム、狂気を感じさせるギターバトルが魅力的な#4”1,320'”、5th「Countdown To Extinction」収録の”Symphoney Of Destruction”的な出だしからメロディアスなギターソロ~テンポアップして高速ソロと展開する#6”Bodies”、壮大なMEGADETH流バラードといえる#8”The Hardest Part Of Letting Go...Sealed With A Kiss”、強力なギターリフがたたみかけるように繰り出される#9”Head Crusher"・・・ここに挙げていない曲も「オッ」と思わせるものが目立ち、5th以降では一番楽曲が充実している。
5th「Countdown To Extinction」以来抜かれてしまった「牙」、つまり強力なギターリフ、曲中に切り込んでくるようなギターソロ、強引な曲展開・・・そういったものが復活しているのがなんといっても本作のセールスポイントだろう。しかしかといって5th以降のMEGADETHに見られた「冷たい狂気」を感じさせるメロディも捨て去っているわけではなく、曲中のそこかしこで聴かれる。ファンが望む「過去の」音楽性を復活させ、ふんだんに盛り込んだだけでなく、それを巧く「現代の」MEGADETHと結びつけたあたり、ベテランバンドの理想的なアルバムといえるだろう。快作である!



MEGADETH”Headcrusher”
金網の周りで観客が熱狂的に盛り上がるところが、かつての名PV”Wake Up Dead”(MEGADETHの曲の中では一番のお気に入り。最初に見たときあまりに衝撃的だった)を思わせる。まああちらは金網の中でライブ、こちらは格闘技という違いはあるが・・・



ついでにその”Wake Up Dead”のほうも・・・


BAD HABIT「Above And Beyond」

2009-05-13 | 2009年購入新譜感想
スウェーデン出身のメロディアスHRバンドBAD HABITが、約4年ぶりにリリースした、通算5枚目のニューアルバム。
実は前作「Hear-Say」でBAD HABIT初体験、その中のFAIR WARNINGの1stアルバム的な部分、つまり重厚なバッキングに高品質のメロディが乗るスタイルが結構気に入っていた。しかしその後名盤の誉れが高い3rd「Adult Orientation」を聴くと、こちらのよりAORに近いスタイルの方がより気に入ってしまった。
今回は明らかにその名盤である3rdに近い作風である。
#1”I Don't Want Tou”からして、3rdの楽曲の多くにあった、澄み切った青空をイメージさせる「爽やかさ」で満ちており、同系統といえる#9”Let Me Tell You”、#13”I Need Someone”あたりは、質、雰囲気とも3rdに入っていてもおかしくない。
また静かな立ち上がりから繊細で印象的なメロディを聴かせてくれる#11”Calling Your Name”や”#12”Never Gonna Give You Up”、#14”Reaching Up”など、まさに「アダルト」なロックは個人的にツボにハマった。
前作にあったへヴィなギターリフは#2”Just A Heartbeat Away”や#6”I Believe”などに味付け程度に使われているだけである。しかし彼らの一番の魅力である「メロディ」は前作を上回る。
いや、これは名盤「Adult Orientation」をも上回っているのではなかろうか。肝心のメロディの質は甲乙つけがたいが、楽曲のバリエーション、哀愁度の高さは、今作のほうが上のような気がする。
今年のメロハー作品の早くも代表になりそうな予感・・・





下山武徳「一期一会~『地』」

2009-05-10 | 2009年購入新譜感想
SABER TIGER、DOUBLE DEALER等で活躍、最近は梶山章とのプロジェクトが話題になった、日本人へヴィメタルシンガー下山武徳の5曲入りミニアルバム(マキシシングル?)。
彼はメタルシーンのみで活躍しているわけでなく、「下山武徳的夜会」と称してアコースティックフォークソング(?)を披露するために全国を廻っている。デビュー10周年となる今年に、この「~夜会」での音楽をCDに・・・ということで、この作品を皮切りに「四部作」という形でリリースされるとのこと。
前述した通り、音楽性は完全に「異常に暑苦しい」(笑)、アコギをバックにしたフォークソングである(当然日本語詩)。2ndソロアルバム「Singer」の音楽性を完全に引き継ぐもの、といっていいだろう。#5”恋した時から・・・”はその2ndからの楽曲のライブバージョン。これがやはり他の曲と比べて違和感なくハマっている。
一般的なHM/HRファンにはお勧めできない。ただ自分のように下山武徳個人のファンであれば、これは気に入ると思う。人間の「情念(抑えがたい愛憎の感情)」を過多にといっていいほど感じさせる彼の歌唱は、こういった音楽でこそ大いに魅力的である。ただ彼の「力を抜いた時の歌唱」に力を入れている時以上に魅力を感じているので、どの曲もサビになるとガナるのは如何なものかと思ってしまったが・・・。
というわけでもの静かな出だし、ドラマティックな構成が耳を引き、それによって歌の良さが際立っているように思える#2”記憶の土”がお気に入り。



動画がなかったので、彼の以前率いていたSIXRIDEのデビューアルバムのトップを飾る”茜色の空”を・・・
ちなみに2ndソロアルバム「Singer」で、この曲のボサノババージョンを収録、これがなかなか秀逸である。


IT BITES「The Tall Ships」

2009-05-09 | 2009年購入新譜感想
大英帝国出身のポンプロック(プログレッシブロックといっていいのか?)バンドIT BITESの、約20年ぶりとなる復活アルバム(通算4枚目)。
彼らが活躍していた80年代後期~90年代初頭の時期、個人的には全くといっていい程興味を覚えなかった。彼らの3rdアルバム「Eat Me In St Louis」を友人からもらって聴いたが、当時よりハードなものを好んで音楽を聴くようになっていた自分の耳には、彼らの音はあまりにも大人し過ぎた。
しかし年をとって落ち着いた(?)今、こうして彼らの新しい音に接してみると、非常に心地よい。
新加入となるジョン・ミッチェル(vo、g)の歌う、いかにも英国的なメロディは耳に馴染みやすい。地味といえば確かに地味だが、あえて喩えるなら「水墨画」的な味わいのある彼の歌唱は、メロハーをある程度好んで聴くような人なら魅力を十分理解できるであろう。そのあたりは軽快なテンポで進む#2”Ghosts”や、温かみを感じさせるバラード#3”Playground”で特に表れている。
またライブでもメンバー4人が歌うというだけあって、印象的なコーラスワークが耳につく。#1”Oh My God”や#7”Great Disasters”の出だしのコーラスは「音が宙を舞う」ような錯覚(?)を与えてくれる(まあこれについてはライブでの再現は無理だろうが・・・)。
一応国内盤のオビには「プログレッシブロック」とあるが、確かに随所にテクニカルなフレーズが盛り込まれていたり、展開が複雑で長尺な曲もある(しかし一般的なプログレバンドよりははるかにとっつきやすい)。一時プログレにはまっていた自分にはこのあたりの要素も嬉しいところ。中でも彼らの曲の中ではへヴィな#5”The Tall Ships”や、同じ英国出身のPOLICEのような歌メロが登場する#6”The Wind That Shakes The Barley”などが、そういった要素を強く感じさせてくれる。ちなみに#11”This Is England”は約13分半の曲である。
というわけで「HM/HRでないから」と彼らを敬遠していた人でも、美しいメロディを愛するファンにはぜひお勧めしたい。





IMPELLITTERI「Wicked Maiden」

2009-05-02 | 2009年購入新譜感想
オリジナルメンバーであるロブ・ロック(vo)が復帰、かつての全盛期の音楽性を復活させるという狙いのもとに作られた、クリス・インぺリテリ(g)率いるIMPELLITTERIの復活アルバム(通算9枚目)。
クリスの言う通り、かつてのキレを感じさせるシュレッディングなギターリフ、腕の衰えを全く感じさせないソロが満載である。ロブも最近のソロアルバムで披露している通りの、強靭な高音域のスクリーム、歌唱を聴かせてくれる。
特に速いテンポの楽曲でグイグイ押していくアルバム前半、幕開けに相応しい勢いのある#1”Wicked Maiden”、PVにもなった、歌メロが印象的な#2”Last Of A Dying Breed”、GとKeyの掛け合いがスリリングな#3”Weapons Of Mass Distortion”、さらに#4”Garden Of Eden”や#8”Wonderful Life”も、ファンが抱くIMPELLITTERIスタイルを踏襲する良質な楽曲である。
しかし他の楽曲のクオリティが、上記のものと比べて下がる。特に安っぽいKeyの音色が全体をぶち壊している#6”Eye Of An Angel”や、IMPELLITTERIらしからぬ軽めのR&Rナンバー#7”Hi-Scool Revolution”は、「・・・」と思ってしまう。
さらに先ほど挙げた「良質な楽曲」も、かつての名曲”Rat Race”や”Speed Demon”などの、「突き抜ける高揚感」を持つ楽曲にはやはり及ばないし、また#6”Eye Of An Angel”をぶち壊しているKeyの音(ピアノの鍵盤を単音で叩いているような、荘厳さが皆無のもの)が結構色々な個所で聴かれ、これがどうも気になってしまう・・・
全体的には5th「Eye Of The Hurricane」あたりを受け継ぐ音楽性だが、あれほど楽曲の完成度は高くないし、楽曲のバリエーションにも問題がある。「Eye~」には”On And On”などの優れたバラードや凄まじいインスト”Race Into The Light”があったが、今回はバラードもインストもなし・・・
復活作としては及第点は与えられるだろう。もはやこのスタイルに戻らないと思われていたのに帰ってきてくれたわけだから・・・しかしやはり昔のアルバムからずっと聴いてきた者としてはやはり不満が残ってしまうのである・・・





HINDER「Take It To The Limit」

2009-04-30 | 2009年購入新譜感想
80'sメタルに多大な影響を受けたサウンドが詰まったファーストアルバムである前作「Extream Behavior」が300万枚を超えるヒットを記録した、アメリカ出身のHINDERの2ndアルバム。
最初に聴いた時、勢いのあるオープニングナンバーである#1”Use Me”や#4”Up All Night”あたりが印象的で、WARRANTやDANGER DANGERといったバンドに影響を受けた、ドラムがドッカンドッカン、「オーオーオ」などキャッチーなコーラスが入る、80年代後期型バブルメタル(?)かと思った。
しかしバラード#5”Without You”や、落ち着いたメロディックナンバー#6”Best Is Yet To Come”、そしてほんのりした哀愁を感じさせる#7”Heaven Sent”・・・5曲目以降は勢いのあるR&Rサウンドが鳴りを潜め、優れたメロディックナンバーが目白押しである。
このあたりの楽曲を聴いていると、メロディの展開の仕方、音作り、ヴォーカルが力を入れた時の声質といった点でHAREM SCAREMの名盤である2nd「Mood Swings」を思い出してしまう(褒めすぎ?)・・・まあHAREMほどヒネた所はなく、素直な音楽性ではあるが。
まあどんなバンド似て聴こえようが、アメリカからまた良質のメロディを生み出せる強力なバンドが出てきたという事実には変わりない。昨年彼らと同系統といえるCINDER ROADが登場したが、この80'sメタルブームは今後も良質なバンドを産んでくれそうだ。








H.E.A.T「H.e.a.t」

2009-04-27 | 2009年購入新譜感想
スウェーデン出身のメロディアスHRバンドH.E.A.Tのデビューアルバム。
EDGUYのトビアス・サメット(vo)が気に入っているという発言していたことや、高得点のレビューが「BURRN!」誌上に載っていたこともあり、リリース前からかなり注目されていたかと思う。
そういった期待に違わぬ出来に仕上がっている。
楽曲構成はAORといえるほど軽くないものの、SURVIVORのようなバンドの楽曲にあってもおかしくような、印象的なメロディを聴かせるスタイルが多い。それをケニー・レクレモ(vo)が力強く歌い上げる。
また北欧出身らしい翳りあるメロディを用いた展開も含みながら、アメリカ的な明るさを感じさせる部分も少なくない。このあたり彼らの同郷の先輩であるEUROPEやTREATなどを彷彿させるところがある。
そういった彼らの優れた面が最も表れたのが#7”Straight For Your Heart”である。哀愁、劇的、力強さといったHRにおける必要要素がふんだんに盛り込まれている。
しかしミドルテンポで力強いメロディを聴かせる、というスタイルの楽曲が大半を占めるため、バリエーションの狭さが気にならなくもない。まあこのあたりは今後キャリアを積むにつれて解消されていくことを期待したい。