れいわの 山本太郎はことあるごとに
敵国条項があるから反撃能力は持てないというが果たして本当か?
いつまで 金科玉条のように奉ってるんだよ!
そんなものは すでに死文化しているんだよ
そもそも国連憲章は、第二次世界大戦末期の1944年8月から10月にかけてワシントンで開催された米英ソ華の4カ国による国際会議で採択された「ダンバートン・オークス提案」をベースとして起案されています。
当時はまだ戦争中であり、同提案は「侵略国家である枢軸国に対する平和愛好国である連合国」という対立構造を前提としたものでした。国連憲章における旧敵国条項はその対立構造の残滓ともいうべき条項です。
すでに触れたように、旧敵国とされた国はいずれも国際連合の加盟国となっており、現在では平和愛好国となっています。そもそも枢軸国に対する連合国に端を発した国際連合ではありますが、旧敵国が国際連合の加盟国となった時点で、旧敵国条項の存在意義は消失しています。
また、国連憲章2条3項は「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない」と定めていることからすれば、不法な武力行使や武力による威嚇が存在しない状態において強制行動を許容することは国連憲章の基本理念と矛盾します。
このような議論をもとに、現在では旧敵国条項は実質的意義を失ったとして、1995年9月の国連総会より全ての常任理事国を含む155カ国の賛成によって旧敵国条項は既に死文化しているという認識を示す採択がなされています。さらに、2005年9月の国連首脳会合では、国連憲章上の「敵国」への言及を削除するという全加盟国首脳の決意を示す成果文書が採択されています。
それでも今なお旧敵国条項が削除されずに残っているのは、条項削除には、総会構成国の3分の2の多数で採択され、かつ、安全保障理事会の5常任理事国を含む国連加盟国の3分の2によって批准されるという国連憲章の改正手続が必要であり、これを現実に行うとすれば常任理事国である中国・ロシアの反対が予想されるためです。
我々は旧敵国条項にどう対峙するべきか
以上のように、旧敵国条項はすでに死文化していることが確認されています。また、反撃能力の保有自体は、過渡的安全保障に抵触するものではなく、旧敵国を対象とした地域的取極は現存していません。
したがって「旧敵国条項があるから反撃能力を持つことは認められない」とか、「反撃能力を持つことによって旧敵国条項が発動される」といったような発言は、事実誤認を含んでおり、ミスリーディングなものであるといえるでしょう。
現に、ドイツをはじめとする旧敵国の中には反撃能力を有している国もありますが、旧敵国条項が妨げとなったということはありません。主権平等を旨とする国連憲章において、特定の国だけが国際法上認められている自衛権を否定されることなどあってはならないことです。
およそ国政に携わろうとする者であれば、国益のために国連憲章改正・旧敵国条項削除に向けて活動すべきであり、旧敵国条項があるがゆえに日本の手足を縛るべきであるとする立論には疑問なしとしません。
おわり